第122回

住宅ローンで叶ったナチュラルモダンな家。設計コンペで工務店を決めました。

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栃木県にお住まいの真空色さんは、住宅ローンを使って、ナチュラルモダンな家を建てました。4社の工務店に設計コンペを依頼し、気に入った工務店に建ててもらいました。無垢材と和の雰囲気が調和し、温かみのある家になりました。

オーナーさんデータ
栃木県 真空色さん(仮名)
家族構成:
真空色さん(39歳・団体職員)、妻(40歳・会社員)、子ども(4歳)
建設時の世帯年収:
600万~650万円
購入した住宅:
地元工務店「注文住宅」
延床面積と間取り:
32.53坪(敷地面積64.93坪)、3LDK
購入価格:
2,875万円
利用ローン:
オリックス・クレジット「フラット35S・フラット35ONE」
金利タイプ:
フラット35S:固定期間選択型、フラット35ONE:変動金利型
金利:
フラット35S:1.1%(固定金利、優良住宅が適用される最初の10年は0.85%)、フラット35ONE2.4%(2021年10月実行)
ローン借入金額:
約3,000万円(フラット35Sで2,700万円(9割)、フラット35ONEで300万円(1割))
借入期間:
35年
毎月の返済額:
約8.5万円

明るい無垢材とガルバニウム鋼板の外観が印象的な、真空色さんの新居。リビング・ダイニングにはスギやサワラの無垢材がふんだんに用いられ、天然木のぬくもりが感じられます。幅2,600mmの窓を開け放つと、気持ちのいい風が通り抜け、いつも空を眺めることができます。
真空色
新居に引っ越してきてからは、リビングの窓を開けて、自然の風や光を楽しむようになりました。涼しい時期は窓をフルオープンにして、ただ眺めているだけのことも多いですね。無垢材の心地よい香りに包まれながら、真っ白な壁に植栽の影が映るのを眺めているだけでも癒されるんです。
とても開放的で、いつも誰かがのんびりとくつろいでいます。自然と家族が集まる場所になりました。
子どもも周囲に気兼ねすることなく、庭でも家でものびのびと遊んでいます。その姿を見ているのも楽しく、「家を建ててよかったな」と感じる毎日です。

天井に照明を付けず、造作建具が天井いっぱいまで伸びているので、のびやかに見える。
ダイニングテーブルも造作にした

玄関からリビングを見たところ。
開放的で風通しがいい

リビングは開口部の幅いっぱいに開けられる掃き出し窓がある。
「伊礼ガラリ」と呼ばれる木製ガラリ戸を付けた。
建具職人の造作で、雨戸、網戸、日光遮蔽、目隠しなど、いろいろと担ってくれる頼もしい存在

以前は実家で両親と同居していていた真空色さん。子どもが生まれたことで手狭になり、実家の敷地に新居を建てることにしました。
真空色
家を建てようと決めたものの、具体的なイメージがまったくありませんでした。そのため、何から始めたらいいかさえわからない状態だったんです。住宅展示場は一度も行かず、資料請求もまったくしていません。
我が家が採った方法は「設計コンペ」という方法です。たまたま妻が購入した住宅情報誌で知りました。
設計コンペでは、まずこちらの要望と予算を提示し、ハウスメーカーや工務店に手を挙げてもらいます。複数選んだ会社とオリエンテーションを行い、プランと見積もりを作成してもらいます。そのなかから気に入った建築会社を決定し、改めて打ち合わせと契約を行います。
設計コンペをプロデュースしてくれる会社とやり取りすれば、ハウスメーカーとやり取りすることなく、複数のプランと見積もりが手に入ります。
我が家では、4社の工務店に設計コンペをお願いしました。実は建築をお願いした工務店は、最初はそれほどピンと来ていませんでした。決め手はモデルハウスを見学したことでした。驚くほど居心地がよく、使用されている素材も気に入り、即決でした。
間取りなども自分たちで考えていませんでしたが、工務店からの提案でイメージが広がっていきました。
真空色
モデルルームを見学したおかげで「あの感じがいい」という希望だけは伝えました。工務店の方たちは、僕たちのちょっとした一言も聞き逃さず、丁寧に形にしてくれたと思います。ほぼ工務店に丸投げした形ですが、素敵な家にしてくれました。

リビングのソファは既存のものを使用するつもりだったが、一目ぼれして造作で作ってもらった。
幅が2,300mmあるので、大人でもゆったり横になれる

居心地のよさはもちろん、家事のしやすさも重視しています。共働きのライフスタイルに合わせてキッチンや洗濯スペースなども造作で作ってもらったおかげで、料理も洗濯もとても楽です。狩猟が趣味で、獲ってきた獲物をさばく場所が欲しかったので、土間も作りました。

コの字型の造作キッチン。
身体の向きを変えるだけで、あちこちに手が届く

共働きで洗濯物を外に干すことがないため、洗濯室を作った。
干す、畳む、しまうがこの部屋で完結する

リビングを通らず浴室に行ける土間スペース。
狩猟後、泥だらけで帰宅しても玄関を汚さずにすむ。
深めのシンクのある造作の作業台を設置した

2階の壁は珪藻土の塗り壁にしました。
家族と工務店の方で一緒に塗ったのもいい思い出です。

主寝室の壁。
均一ではないが、光が当たると味わい深くなる

ローン借入金額は約3,000万円。オリックス・クレジット「フラット35S・フラット35ONE」を選びました。
真空色
住宅ローンは設計コンペを相談した際に、我が家についてくれたファイナンシャルプランナーに紹介してもらいました。3,000万円の借入金額を、フラット35Sで2,700万円、フラット35ONEで300万円と2種類のローンに分けて借りました。1本のローンで住宅購入金額の全額を借りるより、フラット35Sを9割以下に抑えて、残り1割をフラット35ONEにした方が金利面で得だと説明を受けました。
ローンを組むまでにはいろいろな苦労がありました。というのも、僕はマイホームを計画する少し前に転職をしていたんです。
2社にローンの審査を申込んだのですが、1社は転職後1年未満のためNGでした。
オリックス・クレジットは妻が連帯債務者になることで通りましたが、その前に新車を購入していたため、融資実行前に借入金をゼロにする必要がありました。幸い、前の会社の退職金が手元にあり、新車のローンを一括返済できたものの、それがなければ審査には通らなかったと思います。
さらに複雑なのですが、家を建てる予定の土地に根抵当権(不動産上に設定される担保権)がかかっていて、そのままでは融資ができないと言われてしまいました。
おそらく私の親が根抵当権をかけたと思うのですが、昔のことで、どこの金融機関で手続きをしたのかさえ忘れている状態でした。なんとか金融機関を探し当てたものの、金融機関側は20数年前にすでに根抵当権解除の書類を実家に送っていたのに、親が書類を法務局に提出せず紛失していたので、宙ぶらりんになっていたのです。
解除申請書類の再発行手続きなどで融資実行が大幅に遅れ、気づけば着工金の振込が5カ月遅れました。その間も工務店の厚意で工事は進み、融資が実行されていないのに着々と家ができていくので焦りました。無事、住宅ローンが借り入れられたときはほっとしました。
こうした事情があり、団体信用生命保険は加入できませんでした。万が一の場合に備え、妻にはドル建ての積立式保険に加入してもらいました。
結びに、真空色さんのように、理想通りの家を建てたい人へのメッセージを伺いました。
真空色
自分や夫婦の感性に合った工務店や設計事務所を見つけると楽しく家づくりができるように思いました。施工事例やブログをたくさん読み、情報を集めることをおすすめします。ホームページやパンフレットだけではわからない部分も多いので、モデルハウスも見学したほうがいいと思います。
そして、家を建てる直前に転職するのはローンを組むときに苦労するので、本当にやめておいたほうが良いと思います。
ライターからのコメント。

無垢材の雰囲気が優しく、とてもリラックスできそうな家ですね。
多くの金融機関では、住宅ローンの審査をするにあたり、申込者の勤続年数をチェックしています。転職直後は「安定した収入が継続的にある」とみなされない場合が少なくありません。家を建てることを検討しているのであれば、転職するタイミングも考えたほうがいいでしょう。

※今回ご協力いただいた真空色さんのブログ「だいたいたてたい」のURLは https://ameblo.jp/daitai-tatetai/

ライター紹介

齋田 多恵 の写真

齋田 多恵 (さいだ たえ)

東京生まれ。成蹊大学文学部日本文学科卒業。
法律事務所で社会人生活をスタートした後、女性向けエンタメ系サイトのライター兼ディレクター、モバイルゲームの運営、女性向けモバイルゲームのシナリオディレクター、シナリオライターを経験。
妊娠、出産を機に2016年からフリーライターとして活動開始。

企画/カデナクリエイト、編集/イー・ローン