第1112回
2025年も継続決定!「先進的窓リノベ」とは?
- 親から相続した実家のリフォームを考えています。断熱性の高い窓に取り替えると補助金があると聞きました。どのような内容なのか教えてください。また、費用はリフォームローンを利用する予定です。どんな点に注意すればいいでしょうか?(会社員・40歳)
- 高い断熱性能を持つ窓への改修を行うと、国の「先進的窓リノベ事業」によって、工事費の二分の一に相当する補助を受けることができます。登録されたリフォーム事業者が申請を行いますので、事前にリフォーム内容などを相談し、補助が受けられる工事を進めるようにしましょう。
先進的窓リノベ事業2025が継続実施。制度内容を理解して補助金を活用
断熱性を高める窓のリフォームを考えている人にとって、事業の継続が決定したのは朗報です。2024年の制度利用に間に合わなかった人も、補助金を活用できるようになります。
先進的窓リノベ事業とは、国が行う「住宅省エネキャンペーン」にある4つの事業のうちの1つで、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」が正式な名称です。既存住宅の省エネ化、エネルギー費用負担の軽減、住まいの快適性の向上、さらに家庭からのCO2排出量を削減することなどを目的にした事業で、窓の改修工事の内容によって、補助金が支払われます。
現時点で公表されている内容は以下のとおりです。
- 対象期間/2024年11月22日(経済対策閣議決定日)以降に工事を着手し、補助金交付申請を2025年12月末までに行う。ただし、予算上限に達した場合はその時点で終了する。
補助対象となる窓のリフォーム工事内容 | 補助額(戸建て・低層集合住宅の場合) |
---|---|
ガラス交換 | 5,000円~5万5,000円 |
内窓設置 | 1万2,000円~10万6,000円 |
外窓交換(カバー工法) | 5万8,000円~22万円 |
外窓交換(はつり工法) | 4万6,000円~18万3,000円 |
申請は登録された事業者が行うため、リフォーム会社の選定が重要
注意する点としては、まず既存住宅であることが挙げられます。新築住宅は対象外で、その他、店舗併用住宅は居住部分のみなど、対象となる住宅に制限があります。
補助の対象となる工事については、窓の性能基準が決まっており、そのグレードやサイズによって補助額が変わります。対象となる商品も事前に登録されているものに限られます。ドアについては補助額が明記されていませんが、窓の改修と同一契約内の工事であれば、断熱性の高いドアへの改修も補助の対象となります。上限額は1戸につき200万円で、期限内であれば工事の時期が異なっても補助の対象になります。
補助金の申請は事前登録した事業者が行いますので、発注者である住宅所有者が細かい条件、性能を調べ上げる必要はありません。登録事業者かどうかを確認することが一番大事です。補助金は全額住宅所有者に還元されますが、交付は事業者あてにされますので、工事費の一部に充当するのが一般的なようです。現金で受け取ることもできます。
現時点で詳細が不明な点もありますが、決まり次第、登録事業者は環境省や経済産業省のホームページなどで公表されますので、窓のリフォームを検討している場合は、チェックしてみるといいでしょう。
リフォームローンを利用する場合は、早めの動き出しを
数カ所の窓の交換、内窓の設置であれば、工事費はそれほど高額にはならないため、預貯金から充当するケースもありますが、ご相談者のように、他の箇所のリフォームも行う場合は、リフォームローンの利用を検討することになるでしょう。
リフォームローンはさまざまな金融機関で取り扱っており、金融機関によって条件や審査内容は異なります。一般的に、借入可能額は1,000万円~1,500万円、返済期間は最長で10年~15年とするところが多いようです。金利は住宅ローンより高めの傾向がありますが、給与振込口座に利用しているなど、取引内容によって金利の優遇を受けられる金融機関もあります。
審査は無担保型であれば、審査結果の回答スピードは速いので、まずはリフォーム会社の選定を優先し、工事の見積もりを取ることです。特に、窓リノベ以外にも、省エネ、断熱対応、バリアフリーなどのリフォームを検討している場合は、その工事に対する補助制度があるのかも、リフォーム会社に確認するといいでしょう。
窓リノベ事業の継続が決まったばかりですが、予算は決まっていますので、早めの対応が望ましいでしょう。リフォーム工事が大がかりで長期にわたる場合は、期限内に工事が完了するよう、窓のリフォームを優先するなど、工事のスケジュールを決めてもいいでしょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。
大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。
※執筆日:2024年12月26日