第1105回NEW

リフォームローンは何歳まで利用可能?計画的な資金準備で家を守ろう!

12年前に戸建て住宅を新築で購入しました。今後数年内にリフォームをする必要はありそうです。私は現在58歳で、勤務先の定年年齢は65歳です。なお、今後3年間は子供の大学の授業料など、教育費がかさみ、貯蓄をリフォーム資金に充てる余裕はありません。リフォームローンを活用したいと思っていますが、注意点などがあれば教えて下さい。 (滋賀県 会社員 50歳代 男性)
リフォームローンは、取り扱っている金融機関によって借入時年齢や完済時年齢等の条件が異なります。借り入れをする時期(年齢)や借入金額、返済期間などを検討した上で金融機関を絞り込みましょう。なお、住宅のリフォームは1回だけでは終わりません。その後も定期的に行う必要があります。住宅を守り、一生涯暮らせるように、今のうちに長期的なプランを立てて確実に資金準備をするようにしましょう。
考えるシニア男性

リフォームローンは、まず、年齢等の条件を確認して利用できる金融機関を絞り込む!

一般的に、ローンを利用する際は、複数の金融機関の金利タイプや適用金利、諸費用等を比較・検討して選択しますが、リフォームローンの場合は、まず、借入時年齢や完済時年齢をチェックして、利用できる金融機関を絞り込む必要があります。なぜなら、リフォームローンは、金融機関ごとに、借入時年齢は「64歳以下」、「69歳以下」、「74歳以下」などと異なり、また、完済時年齢は「69歳以下」、「74歳以下」、「79歳以下」などと設定されているからです。借入期間も、「最長10年」、「最長15年」、「最長20年」、「最長30年」などと設定されています。なお、同じ金融機関でも商品によって、条件が異なる場合もあります。

例えば、60歳の時に、借入期間が「最長20年」のリフォームローンを利用しようとしても、完済時年齢が「75歳以下」と設定されていれば、借入期間は最長でも60歳から75歳までの15年間になってしまいます。

リフォームローンを利用する際は、まず、自分のタイミングで利用できる金融機関を絞り込む必要があります。その上で、複数の金融機関の中から、金利タイプ、適用金利、諸費用等の条件を比較・検討し、できるだけ負担が小さい有利なものを選ぶようにしましょう。

高齢期にリフォームをすることも勘案し、長期的なプランを立てて資金準備をする!

リフォームは一般的に、目安として10年から15年ごとに実施することが推奨されています。例えば、40歳の時に新築戸建てを取得し、その後15年ごとにリフォームをすると仮定すると、単純に考えても、最低3回か4回のリフォームが必要になります。勤労収入があるうちは、貯蓄やリフォームローンを利用して資金を捻出しても、その後の収入でカバーできる可能性が高いでしょう。しかし、定年退職後、高齢期を迎え、主な収入が公的年金のみになると、収入の中からリフォーム資金の準備をするのは厳しくなるかもしれません。資金不足で住宅の改修や修繕をしないまま放置すると、やがて傷みがひどくなって自宅での暮らしに支障を来すおそれもあります。

高齢期は収入が減って貯蓄余力が小さくなることや、リフォームローンは年齢条件などの制限によって利用しにくくなる場合があること、また、少ない収入からのローン返済は、暮らしを圧迫しかねないことなどを勘案すると、勤労収入があるうちに、将来のリフォームの時期、リフォームの場所ごとの必要資金の見積もり、資金の準備方法等に関する長期計画を作り、着実に資金が準備できるように取り組んだほうがよさそうです。なお、プラン作りの際には、将来の夫婦の公的年金や退職金の見込額を必ず確認しましょう。

資金が不足してリフォームローンを利用する場合、一部でも自己資金を充当できれば、借入金額を少なくすることができたり、借入期間を短くすることができたりと、負担が軽減されます。

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私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2024年11月07日