第1084回
自宅が未登記でリフォームローンが利用できない!?
- 相続した築50年ほどの自宅をリフォームしようと、リフォームローンを申込んだのですが、未登記なのでこのままではローンを利用できないと言われました。どうしたらいいですか?(Uさん 48歳 会社員)
- 古い物件では諸事情で取得時に未登記の不動産や、相続登記をおこなっていないケースもあります。このままだとトラブル発生時に所有権を主張できない、売却も難しいといったデメリットもあります。未登記が発覚したらなるべく早めに登記をするようにしましょう。
不動産登記とは?
不動産登記とは、不動産についての権利関係およびその所在地、面積等の物理的情報を登録し、公に証明する制度です。登記簿は一筆の土地または一個の建物ごとに作成され、表題部と権利部から構成されています。
表題部には、所在・地番・地目等(土地の場合)、家屋番号・種類・構造・床面積等(建物の場合)が記載されています。建物の新築時や未登記の物件を取得した際には、不動産登記法により1ヶ月以内に「表題登記」をする義務が定められています。怠ると10万円以下の過料に処せられることになっています。
権利部には、所有権・地上権・賃借権・抵当権等が記載されています。この登記を「保存登記」といいます。これは義務ではありませんので未登記の場合もあるようです。
自宅の未登記が発覚するケースは?どんな問題がある?
住宅ローンを利用して住宅を購入する場合、金融機関はその物件を担保として抵当権を設定するため、登記事項証明書で所在地や所有権など確認します。よって、ローンを利用して不動産を購入した場合には未登記である可能性は低いと考えられます。
しかし、物件を現金で購入した場合や相続で得た場合には登記を行っていないことも少なくなく、相談者のように金融機関にローンを申込んだ際に未登記が発覚することもあります。登記をしていなくても、市町村は建物の存在を把握して実際の所有者に固定資産税を課すため、「税金を払っているのだから登記もされているだろう」と思い込んでいるケースもあるようです。
金融機関で不動産を担保としたローンを利用する際はもちろん、無担保のリフォームローンでも登記事項証明書の提出が必要な場合があります。未登記や、相続登記がされていないままだとローンを組めないだけでなく、売却も難しいでしょう。また、相続時にトラブルとなる可能性もあります。所有する不動産が未登記状態であることが発覚したら、早急に登記手続きをとりましょう。
自宅の登記は必要!どのように行う?
不動産の登記情報は誰でも閲覧可能で、登記事項証明書の交付を受けることもできますので、「もしかしたら自宅が未登記なのでは?」と不安な方は確認してみることをお勧めします。
相続が発生した時に所有権を移転しないと、時間の経過とともに相続人の数が増え、さらに手続きが大変になります。未登記のまま放置された空き家が隣地へ影響を与えたり、土地の円滑な活用を妨げたりと、社会問題となっています。そこで、2024年4月1日以降、不動産を相続した際の不動産所有者の相続人に対し、不動産の取得を知ってから3年以内の相続登記が義務付けられました。2024年4月1日より前に相続した不動産で、相続登記がされていないものについても、2027年3月31日までに相続登記が必要です。
未登記物件をこれから登記するには、表題登記の場合は土地家屋調査士、保存登記は司法書士に依頼する場合が多いと思われますが、自分で行うことが可能な場合もあります。自分で行う場合、一般の方は登記の申請にどんな書類を揃えるべきかもわからないことが多いでしょう。その際は、法務局で登記手続案内として、登記申請書の作成等に必要な情報の提供を行っていますので、相談すると良いでしょう。大切な不動産ですから、今後のためにも早めに登記をしておきましょう。