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第838回

家のリフォーム、消費税増税の影響は?

自宅のキッチンとトイレのリフォームを考えています。10月に消費税が10%に増税されますが、その前に申し込めば消費税8%が適用されるのでしょうか。(Fさん 会社員 55歳)
リフォームは工事が完了したタイミングで課税されますので、10月以降の引渡しだと消費税率は10%になってしまいます。 但し、10月1日以降の引渡しで使えるポイント制度を使えば、増税の影響を少なく出来る可能性もあります。

リフォームの消費税10%課税のタイミングは?

いよいよ2019年10月1日から消費税が10%に増税されます。 飲食料品や週2回以上発行される新聞には軽減税率が適用され消費税は8%のままですが、リフォームについては軽減税率の対象外ですので消費税は10%です。

少しでも費用を少なくしようと『増税前にリフォームを!』と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、リフォームは工事完了(引渡し)のタイミングで課税されます。 そのため、税率8%でリフォームしたいと思っても、2019年9月30日までに引渡しが完了しなければなりません。 但し、2019年3月31日までに契約が完了していれば、工事完了が10月1日以降になっても税率は8%になります。

増税後のリフォームに使える「次世代住宅ポイント」とは?

増税により消費が落ち込むことも懸念されていることから、政府は景気対策として様々な対策を用意しています。 住宅関連では、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能、家事負担軽減設備の設置などを満たす住宅の購入やリフォームでポイントがもらえる「次世代住宅ポイント制度」が利用できます。 この制度は、基本的に2019年4月1日~2020年3月31日に工事請負契約、着手したもので、引渡しが2019年10月1日以降になるリフォームが対象になります。 つまり、消費税が10%になった分をポイントで還元しようという趣旨になります。

リフォームの場合は最大30万円(40歳未満の若者世帯や、18歳未満の子を有する子育て世帯なら最大45万円)相当のポイントがもらえて、家電やインテリア商品、食料品などの様々な商品と交換できます。 また、住宅購入を伴うリフォームの場合は、もらえるポイントの上限が上がります。

ポイントを申請するには、工事が行われたことを証明する納品書や、工事内容が申請に必要な条件を満たしているかを証明する書類が必要です。 どのような工事ならポイントがもらえるかは、次世代住宅ポイント事務局のホームページで確認できますが、契約時にリフォーム業者やメーカー等に問い合わせると良いでしょう。 工事の完了期限は2020年3月31日、ポイントの交換申込期間は2019年10月1日から2020年6月30日ですが、予算の上限に達した時点でポイント申請を締め切る予定だということです。

キッチン・トイレのリフォームでもらえる次世代住宅ポイントの例
ビルトイン自動調理対応コンロ 12,000ポイント
ビルトイン食器洗機 18,000ポイント
掃除しやすいレンジフード 9,000ポイント
掃除しやすいトイレ 18,000ポイント
節湯水栓 4,000ポイント
合計 61,000ポイント

出典:次世代住宅ポイント事務局ホームページより筆者作成

住宅ローン減税や自治体の補助金なども活用しよう!

リフォームでまとまった費用がかかる場合には、リフォームローンを利用することもあるでしょう。 金融機関も消費税増税を意識して、金利引下げなどのキャンペーンを実施している場合があります。 工事費が100万円を超えて、10年以上のローンで返済する場合は、住宅購入の場合と同様に「住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)」が利用でき、年末のローン残高の1%を10年にわたって所得税から控除できます。 次世代住宅ポイント制度と住宅ローン減税の併用も可能です。

また、もう少し短い期間で5年以上のリフォームローンを組んで、対象となるバリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事を含む増改築等を行った場合には「ローン型減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)」が利用できます。

他にも、各自治体で住宅の耐震化やバリアフリー工事等で補助金を出しているところも多くありますので、お住まいの自治体のホームページを確認するなどして、使える補助金制度がないか確認してみましょう。 これらの補助金や減税制度をうまく利用してリフォームすれば、消費増税の影響を少なくすることもできそうです。

【参考リンク】

私が書きました

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2019年09月02日