第270回

不動産担保ローンと無担保ローンを金利で比較する

不動産を担保にして、低い金利で借りられるローンがあると聞きました。どのくらい有利なのか教えてください。(横浜市 Iさん)
不動産を担保にして借りる“不動産担保ローン”は、無担保のローンに比べて一般に金利が低いなどのメリットがあります。また、いくつか注意したい点もありますので、よく理解の上、検討しましょう。

不動産担保ローンの特徴

万一、ローンの借り手が返済困難になった時でも、不動産の担保があることで、貸し手のリスクは軽減されます。 そのため、無担保ローンと比べて、不動産担保ローンには以下のような有利な点が挙げられます。
・金利が低めに抑えられている
・借入額の上限が高く、まとまった資金需要にも対応してもらえる
・資金使途が比較的自由な商品が多い
・長期間にわたっての返済が可能なため、毎月の返済額を低く抑えることができる

金利差がどのくらい返済額に影響があるのが、具体的な例で見てみましょう。
<借入金1,000万円、返済期間10年(元利均等返済)の場合の比較>

 

金利(固定)

毎月返済額

総返済額

不動産担保ローン

8.5%

123,986円

14,873,283円

無担保ローン

12.0%

143,471円

17,216,514円

差額

 

19,485円

2,338,231円

※金利は一例です。

このように、毎月の差は約2万円であっても、10年間では元金1000万円に対して、233万円の差になります。返済期間が長くなれば、その差はもっと大きくなります。

不動産担保ローンを利用する場合の注意点

不動産を担保に借入れをするには、その不動産の担保としての価値を事前に調査・鑑定し、融資実行時には登記する必要があります。 そのため、登記費用、印紙代が実費負担となる点に注意しましょう。 また、融資事務手数料が必要となる場合もあります。

1000万円を借入れる場合、登記費用、印紙代、手数料を含めて30~40万円ほどの費用負担を考えておく必要があります。 また、審査時間はだいたい3日から4日、融資の実行までの時間は、最短で1週間程度と言われておりますが、 物件によっては、調査・鑑定や審査に時間がかかるケースもありますので、時間的な余裕もみておいた方がいいでしょう。 さらに、担保物件の価値によっては、借入限度額が変わってくることも考慮しておきましょう。

また、返済期間を長くできるということは、それだけしっかりした返済計画をたてておかなければなりません。 万一返済できない場合には、当然ながら遅延損害金の支払いが必要になりますし、最悪の場合は担保とした不動産を失うことになるわけですから、 金融機関の担当者と借入れ条件や返済計画については事前に相談をし、ご自身でも検討をしておくことが必要です。 また、変動金利で借りる場合は、たとえ金利が上昇しても返済していける見通しを立てておく必要があります。

金融機関によって、不動産担保ローンの融資条件はさまざまです。 個人向け・事業主向け資金の用途が限定されているか、変動金利か固定金利か、また担保不動産の地域が限定されているかなど、 条件に違いがありますので、事前に各社を比較してみたり、場合によっては直接問い合わせをしてみるのもいいでしょう。

私が書きました

田辺 南香 (たなべ みか)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

上智大学卒業後、情報出版会社に入社。求人・旅行・自動車など数々の情報誌の社内ITコンサルタントとして、課題解決のためのプロジェクトを多く経験。退職後、その経験を個人のライフプランの実現に役立てたいとFPとして独立。現在は、資産運用、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆、セミナー講師などを中心に活動中。

※執筆日:2008年06月16日