第1118回NEW

金利上昇に備えて不動産投資ローンを借り換え!

賃貸物件を所有しています。利用している不動産投資ローンは変動金利のため、今後の金利上昇が心配です。借り換えをしたほうがいいのか悩んでいます。借り換えをする場合、どんな点に注意すればいいでしょうか?(会社員・45歳)
当初の借入条件で、万一、変動金利が上がった場合、どのような対応になるのかを確認することが先決です。その上で、融資条件のいい別の不動産投資ローンがあれば借り換えを検討してもいいでしょう。ただし、借り換えの諸費用も考慮した上で慎重に判断しましょう。
不動産の模型とグラフ

金利上昇した場合の収益性などをシミュレーションして確認しておく

不動産投資をする際、多くの場合は不動産投資ローンを利用します。不動産投資ローンは購入する物件を担保にして借り入れるものです。

不動産投資ローンの場合、借入期間が最長35年程度、融資上限は数億円程度、金利は変動金利の商品が一般的です。なかには固定金利の商品や、5年固定金利期間特約付きの変動金利といったように、当初5年間は金利上昇があっても返済額が変わらず、その後の金利状況で、5年後に改めて変動金利で設定し直すという商品もあります。また、金利上昇しても、従来の返済額の1.25倍までにとどめるという125%特約がある場合もあります。

ご相談者の場合、当初の借入条件がどのようになっているのか確認し、金利が上昇した場合の収益性の変化をシミュレーションしておくことが大切です。日銀の追加利上げが予想はされていますが、住宅ローンも変動金利タイプを利用している人が多いことを考慮し、急激な金利上昇にはならないという見方もあります。しかし今後の金利上昇に備えて、少しでも金利の低いローンに借り換える、収益性に問題が無ければ、固定金利タイプに借り換えておくというのも、ひとつの手です。現在の借入先の金融機関にもあらかじめ相談されておくといいでしょう。

投資物件の評価次第で、不動産担保ローンへの借り換えも視野に

一方で、都市部を中心に不動産価格は高騰しています。投資物件の資産価値が上昇すれば、金利上昇による返済の負担増は、賃料の値上げなどで対応することも可能です。物価上昇も続いていますので、収益性をシミュレーションする際は、金利だけではなく、管理費や修繕費、火災保険料、固定資産税などの経費、賃料の設定、空室率などを十分に考慮したものにする必要があるでしょう。

資産価値の上昇により、担保評価が上がり、金融機関の与信枠が増えることも考えられます。現在借りているローンよりいい条件で、新たに別の金融機関で借り換えができるケースもあるでしょう。借り換えによって返済額を減らせれば、より収益性を高めることも可能です。

借り換え先として、不動産投資ローンではなく、不動産担保ローンも候補になるでしょう。不動産担保ローンは所有している不動産を担保にして借り入れるものです。基本的に資金使途は自由で、自動車購入や教育費、リフォーム資金、セカンドハウス購入などにも利用できます。金利は変動金利、固定金利それぞれのタイプがあり、不動産を担保にするため金利は無担保ローンより低めに設定されています。

ただし、事業性資金や不動産投資には使えないとする商品もあります。なかには、新規の借り入れで不動産投資をするのは不可でも、他社からの借り換えであれば可能とする金融機関もあります。

不動産担保ローンも不動産投資ローンと同様に、物件の担保価値、収益性が重要視されます。借り換えを申込む際は、事業計画をまとめておくようにし、複数の金融機関から選択できるようにしましょう。

借り換え金額が大きければ、諸費用負担が重くなる点に注意する

借り換えをするにあたって注意が必要なのは、さまざまな諸費用がかかるということです。

主なものに、

  • 既存ローンを一括繰り上げ返済するための手数料
  • 新規のローン保証料、手数料
  • 印紙代
  • 登録免許税(抵当権設定登記)
  • 司法書士報酬

などが挙げられます。

借り入れ金額が多ければ、それだけ諸費用もかさみます。借り換えで返済額が軽減できたとしても、諸費用がかさめば、収益に影響がでてしまいます。金融機関によって必要な書類も諸費用のかかり方も異なります。この点も事前にチェックし、借り換えすべきかどうか検討するようにしましょう。

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私が書きました

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伊藤 加奈子 (いとう かなこ)

ファイナンシャル・プランナー。

大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。

※執筆日:2025年02月13日