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第875回

コロナ禍で当面の資金繰りを考えるなら不動産担保ローンも検討を

コロナ禍で、広告企画の仕事が激減。 給付金も手続き中ですが、実際に手にできるのはまだ先のようです。 5、6月は税金や固定費の支払いなどもあり、給付金が間に合わなかった時のために、ローンを検討しています。 持ち家を活用した不動産担保ローンがいいと聞きました。 どんな特徴があるのでしょうか?(Kさん 個人事業主、45歳)
まずは公的支援の活用を考えましょう。 それでも不足する場合の資金調達手段として不動産担保ローンという選択肢もあります。 有担保ローンのため、長期・低金利で比較的大きな額を借りることができます。

コロナ対策として利用できる制度は?

新型コロナウイルス感染症の影響でKさんのように仕事が減り、資金繰りで悩む個人事業主や中小企業経営者は少なくないでしょう。 特にこの時期は自動車税や法人税、消費税、固定資産税と納税が相次ぐタイミングも重なり、厳しさは増します。

現在用意されている給付としては一律10万円の「特別定額給付金」や、売上が半分以下に減った月がある場合に利用できる「持続化給付金」(中小企業で最大200万円、個人事業主で最大100万円)などがあります。 ただし、手続きをしても給付のタイミングは読めません。

税金の支払いが負担であるなら、新型コロナウイルス感染症の影響で、事業等の収入が前年同期と比較しておおむね20%以上減少した場合、税務署に申請すれば、1年間は納税の猶予が認められ、猶予期間中の延滞税は免除されます。

貸付についても、売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少していれば、日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を利用できます。 地銀や信金・信組等でも利用できるようになっています。

不動産担保ローンとは?

こうした公的支援を活用しても不足がある場合や、何かの事情で利用できないときは、他の方法を検討する必要があります。 その方法の1つがKさんの気になっている不動産担保ローンです。

不動産担保ローンは、文字通り、土地や一戸建て、マンションなどの不動産を担保にして借りるローンです。 資金使途としては使途が限定されないフリーローンや事業資金専用の商品があります。 担保とするのは一般的には本人名義の不動産が対象ですが、金融機関によっては配偶者や親族の名義でも利用できる場合があります。

不動産担保ローンの特徴は?

不動産担保ローンの特徴としては、次のような点が挙げられます。

・無担保のカードローンなどに比べ低金利で利用できる
・担保があるため借入限度額が大きい
・長期で借りることができる
・資金使途が幅広く赤字補填資金等にも利用できる

なお、住宅ローンが残る不動産でも利用できる場合があります。 住宅ローンがあると抵当権が設定されていますが、金融機関によっては第2順位でも利用できる場合があります。

不動産担保ローンのこんなことも知っておこう

一方、不動産担保ローンについて、次のような点も頭に入れておきましょう。

・不動産の鑑定・評価などもあり、融資実行まで2週間~1ヵ月程度かかる
・抵当権の設定が必要なため登記費用がかかる
・返済が滞ると担保不動産が処分される

特に、3点目に注意しましょう。 ローン返済が一定以上滞った場合、不動産が競売にかけられ処分されてしまいます。 無担保ローンに比べ有利な面が多い不動産担保ローンですが、だからといって借りすぎには注意が必要です。 コロナ禍であってもきちんと事業計画をたて、ムリのない借入にとどめたいものですね。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2020年05月26日