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第672回

人気上昇中!不動産担保ローンが今注目の理由とは?

母が経営してきた美容院を私が引き継ぐことになりました。改装と新設備導入のための資金を、母名義の不動産を担保にして、借り入れることはできるでしょうか。(千葉県 K)
不動産担保ローンは、本人名義の不動産だけでなく親や配偶者などの名義の不動産を担保に借り入れもできます。担保不動産の資産価値が高ければ、高額の借り入れも可能になります。

不動産担保ローンの利用が増えている

お母様名義の不動産を担保に、借り入れを考えておられるとのことですね。不動産担保ローンは、名義人の方の担保提供があれば、親族などの名義の不動産も担保にして利用することができます。

最近は、不動産を担保に融資を受ける不動産担保ローンの利用が増えています。 政府の金融・経済政策などで金利の低下が一層進み、景気が回復し資金需要が高まる中、都市部を中心とした不動産価格が上昇して担保となる不動産の資産価値が上がり、不動産担保ローンを利用しやすくなっているのでしょう。

不動産担保ローンの件数・残高
  2013年3月 2014年3月 2015年3月 2016年3月
件数(件) 2,514 3,337 4,797 6,707
残高(億円) 401 588 909 1,407

株式会社シー・アイ・シー 「貸金情報統計データ」より筆者抜粋

なお、不動産価格は三大都市圏や地方の中心都市では上昇傾向ですが、地域によってばらつきがあり、どの地域でも「借りやすく」なっているとは言えません。ご相談者の不動産のある地域の状況はいかがでしょうか。

最近の不動産の価格については、過去のコラムも参考になさってください。

【参考リンク】

担保不動産は本人名義でなくても可

では、利用を考えられている不動産担保ローンについて、確認しておきましょう。

不動産担保ローンとは、その名のとおり不動産を担保に融資を受ける有担保ローンのことです。 担保不動産の資産価値の範囲内で融資が受けられるので、資産価値が高ければ高額の借り入れも可能になり、借入可能額が10億円となっている商品もあります。 担保不動産は本人名義のものだけでなく、親や配偶者などの名義のものにすることも可能な商品が多くなっています(名義人の了承が必要です)。

ご相談者がお母様名義の不動産を担保してローンを利用する場合、その資産価値によって借入可能額が決まってくるということになります。

不動産担保ローンのその他の特徴としては、

・20年以上の長期に渡る返済期間を設定することもできる(すなわち、1回あたりの返済額負担を抑えることもできる)こと
・比較的低金利であること
・資金使途が原則自由で事業資金や教育資金、納税資金、リフォーム資金などさまざまな用途に使うことができること

などがあります。ただし、一部の商品では使途が「事業性資金は除く」とされているものや「事業性資金専用」とされているものもあるので、資金使途にあったローンを選ぶように注意しましょう。

なお、不動産担保ローンは不動産の資産価値によって借入可能額が大きくなるので、返済能力を超えた金額を借りてしまう危険性があるので注意しましょう。

万一返済が滞ると、担保不動産は金融機関によって競売に掛けられて売却され、売却代金が返済に充てられます。 売却時点で担保不動産の価値が下落していれば、売却代金だけでは全額返済できず、自宅やお店などの担保不動産を失った上に借金だけが残る可能性もあるのです。

借り入れは無理なく返済できる金額に抑えておくことが、利用のポイントになります。

また、借入希望額や借入条件によっては、無担保のビジネスローンなどのほうが利用しやすい場合もあります。合わせて比較検討してみてください。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2016年04月27日