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第1024回

不動産担保ローンとは?基本を理解しよう

大学生の子どもが海外留学することになり、まとまった資金が必要です。教育ローンの他に、不動産担保ローンも比較的低い金利で利用できると聞きました。どのようなローンなのでしょうか。(Mさん 愛知県 50歳)
不動産担保ローンとは、所有している不動産を担保としてお金を借り入れるローンのことで、教育資金や生活費など、さまざまな用途で利用することができます。担保がある分、比較的低金利となる点もメリットになります。

そもそも、担保とは?

現代社会では、あたり前のように金融機関からお金を借り入れることができますが、昔は、個人でお金を調達するというと、質屋でした。質屋に着物や時計などを「担保」として預けると、それに見合った金額のお金を借り入れることができます。期限までに返済できれば担保は戻ってきますが、できなければ担保は戻ってきません。

つまり、担保とは、お金を借り入れる人「債務者」が、お金を貸してくれる人「債権者」に対し、借入金を返済できなくなった場合に備えて提供し、確実に返済を行うものなのです。この場合、債権者には、債務者にお金を返してもらうように求めることができる「債権」という権利が発生します。また、債権を消滅させることを「弁済」といいます。この場合は、お金を返すことが弁済です。なお、弁済は、債務者だけでなく第三者も行うことができます。

金融機関における資金調達の担保の種類

もちろん現在も質屋はありますが、金融機関であれば担保が無くてもお金を借り入れることができます。無担保ローンといわれるもので、カードローンや自動車ローン、教育ローンなどが代表的です。

しかし、担保があればより大きな金額を低金利で借り入れることができます。金融機関からお金を借り入れる場合の担保には、保証や連帯債務などの「人的担保」と、抵当権や質権などの「物的担保」があります。人的担保の代表的なものが連帯保証人です。連帯保証人は、債務者と連帯して借金を返済する義務があります。

不動産担保ローンとは?

不動産担保ローンは、物的担保のローンです。不動産担保ローンは、担保として自宅や自己所有の土地などの不動産を提供し、金融機関からお金を借り入れるというローンです。

融資の際、担保不動産に抵当権を設定し、債権者は債務者がお金を返済できなくなった時に、その担保物件を売却して優先的に弁済を受けられるのです。

このように、不動産担保ローンでは、もし返済が滞っても金融機関は担保となる不動産を売却して資金を回収できますから、無担保ローンより低金利で、大きな金額の融資をすることが可能となります。なお、抵当権が設定されても、物件の所有者はそれまでと同じように物件を利用でき、返済が完了したら抵当権を抹消することができます。

ただし、担保となる不動産の評価基準は金融機関によって異なる上、借入可能額は評価額の100%というわけではなく、評価額の60%から80%程度と言われています。また、担保となる物件の価値を審査する必要があるため、融資まで時間がかかることにも注意が必要です。

お子様の留学資金として利用を検討されるなら、教育ローンの金利と比較してみましょう。また、教育ローンの資金使途は教育資金に限られますが、不動産担保ローンは資金使途が比較的自由ですので、留学資金だけでなく生活費や他のローン返済の資金としても利用できます。資金の利用範囲によってローンの種類を決めても良いでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2023年04月24日