第58回

医療ローンとは?特徴や利用する際に必要なものを把握しておこう

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この記事のポイント
  • 医療ローンは、カードローンなどと違って資金使途が制限される
  • 医療ローンを提供するのは、主に銀行や信用金庫などの金融機関と信販会社の2つに分類される
  • 銀行と信販会社では審査基準や金利が異なるため留意する
書類と電卓の画像

医療費の負担を軽減するために、分割で支払える「医療ローン」の利用を検討する方は多いのではないでしょうか。医療ローンを利用する際は、条件や借り入れまでのプロセスを理解し、滞りなく医療費を支払うことが大切です。
この記事では、医療ローンの特徴や利用するメリット・デメリット、手続きに関する情報をお伝えします。利用を検討している方は、利用前にご一読ください。

医療ローンはおもに2種類!

そもそも医療ローンとは、どのように利用すれば良いのでしょうか。ここでは、医療ローンの特徴や種類を紹介します。

医療ローンは目的別ローンの一種

医療ローンは、医療クレジットやメディカルローンとも呼ばれる目的別ローンの一種です。医療行為を受けた際の費用に利用できるため、治療費や入院費はもちろんのこと人間ドックや歯列矯正と、幅広く利用できるのが特徴です。

ただし、名前のとおり、医療費以外の支払いを目的としている場合には利用できません。資金使途に制限はありますが、高額な医療費を分割で支払うことが可能になるため、金銭面に対する不安は軽減できるでしょう。

銀行や信用金庫などの金融機関と信販会社に分類される

医療ローンを提供するのは、おもに「銀行」と「信販会社」の2つに分類されています。銀行と信販会社では、審査や金利に違いがあるため事前に確認することが大切です。

銀行の審査では、返済能力の有無が重要視されます。そのため、審査は厳しめで数日~1週間ほどかかると考えておく必要があるでしょう。

一方で信販会社のローンは銀行よりも金利が高い傾向にありますが、医療機関で手続きを行える商品もあるため手間が少ないという魅力があります。また、審査にかかる時間も数時間~数日ほどと、銀行よりも時間を要しません。

医療ローンを利用するメリット

女性とノートとペンを持った男性が会話している画像

ここでは、医療ローンを利用するメリットを紹介します。利用を検討している方は、他のローンと比較する際にお役立てください。

保険適用外の高額医療費に使用できる

利用目的が医療費の支払いであれば、保険が適用されない自由診療にも利用することが可能です。利用できる医療行為の一例として、以下のような医療行為が挙げられます。

  • 先進医療
  • 審美歯科
  • 美容整形
  • レーシック

なお、先進医療の場合、診察料や検査料は保険が適用されますが、技術料は全額自己負担です。医療ローンを利用することで、高額になりがちな先進医療の支払いも分割で支払えます。

金利が低め

目的別ローンの一種である医療ローンは、資金使途が自由なカードローンと比較すると金利が低く設定されています。特に、銀行の場合、審査は厳しめですが金利は低いため、返済時の金銭的負担は軽減されるでしょう。

しかし、信販会社の場合は、金利の設定に幅があります。なかには、フリーローンやカードローンと同等の金利に設定している信販会社もあるため、支払い時の負担を軽減したい場合は金利設定をしっかり確認しておいてください。

医療機関の窓口で申込めるローンもある

医療機関と提携している信販会社を利用する場合は、医療機関の窓口で直接申込めます。金融機関に足を運ぶ必要がないため、手続きにかかる労力を抑えたい方にとっては魅力の一つです。

また、申込みまでの時間が短いうえ審査もすぐに行なってもらえるので、少しでも早くローンを利用したい方にとっては、信販会社のほうが申込みやすいでしょう。

医療ローンを利用するデメリット

医療費の金銭的負担を軽くできるのが魅力の医療ローンですが、デメリットも理解しておくことが大切です。ここでは、医療ローンを利用する際のデメリットを紹介します。

銀行の医療ローンは審査に時間を要する

信販会社は銀行よりも審査に要する時間が比較的短いため、利用できるまでの期間が短めです。しかし、銀行ではすぐに審査結果が出ません。早くても数日、長引けば2週間ほど時間を要します。

審査を通過するまでの期間に医療費が発生する場合は、自身で用意しなければなりません。また、審査が厳しいことも考えると、審査で落ちる可能性も見据えて準備しておく必要があるでしょう。

医療機関の提携ローンは選択肢が少ない

医療機関によっては複数の信販会社と提携しているため、そのなかから利用したいローンを自身で選べるケースがあります。借入条件や金利を確認して選べるとなれば、メリットの要素が強いようにも思えるでしょう。

しかし、医療機関はすべての信販会社と提携しているわけではありません。他のローンを利用するよりも選択肢は少ない傾向があるため、じっくり比較検討して選びたい場合には不向きです。

転院が難しくなるケースがある

医療機関の窓口で申込む信販会社を利用する場合は、医療機関が提携しているローンを契約することになります。その場合、事情により転院する際は、残債を一括請求される可能性がある点に注意が必要です。

また、転院する際の手続きも複雑になるケースがあります。信販会社は、転院の可能性が極めて低いと思われるときに利用することをおすすめします。

医療ローンに申込む際に用意しておくもの5つ

医療ローンを申込む際に必要なものは、契約する金融機関や医療機関によって異なります。実際に手続きを進める際は、まず金融機関や医療機関に確認してください。

手続きの際に最低限用意しておくと良いのは、以下のとおりです。

  • 本人確認書類(例:運転免許証、マイナンバーカード)
  • 収入証明書(例:確定申告書、源泉徴収票)
  • 資金使途確認書類(例:見積書)
  • 銀行届出印
  • 通帳、キャッシュカード

なお、18歳未満は本人名義で申込めない、連帯保証人が必要など、状況に応じて用意しなければならないものは異なります。不備がないように、事前にしっかり確認しましょう。

医療ローンに申込む際の手続きの流れ

医療ローンに限らず他のローンに関しても、以下のような流れで申込み手続きは進められます。

  1. 申込み
  2. 必要書類を提出
  3. 審査
  4. 契約手続き
  5. 借り入れ

申込み後の審査では、金融機関の基準に基づいて信用情報や返済能力を判定します。銀行の審査は、簡易的な方法による「仮審査」と、すべての情報から判定する「本審査」の2段階で行なわれるのが一般的です。

審査を通過したら、正式な契約手続きに進みます。本契約の手続きが完了後、指定口座に振り込まれます。

なお、医療ローンは資金使途が制限されています。そのため、融資額は資金使途証明書類に記載された金額までであることを覚えておきましょう。

医療ローンを利用する際の注意点

医者がバインダーを持った画像

医療ローンを安心して利用するために、借り入れする際の注意点を確認しておきましょう。

申込み内容にミスがないかしっかり確認する

本来借り入れができる方も、申込み内容のミスや不備によって審査に落ちてしまう恐れがあります。書類の記載内容にミスがある場合、たとえ故意でなくても虚偽の申告を疑われる可能性があるため、注意が必要です。虚偽申告をしてしまうと、他のローンの審査も通りづらくなることがあります。

また、提出すべき書類が不足している場合は、審査が打ち切られるケースもあります。申込みの際は、記載内容や提出書類を念入りに確認しましょう。

在籍確認がある

申込み手続きを行なった際の、勤務先の確認方法として電話による「在籍確認」があります。たとえ本人が不在のタイミングでも、電話に出た相手から「席を外している」といった返答があれば在籍していると判断されるでしょう。

在籍確認はプライバシーに配慮されて行われるため、医療ローンの利用が職場に知られる心配はありません。

何社も申込まない

同時、あるいは短期間で複数のローンに申込んでしまうと、返済能力を疑われる原因となりえるため、たとえ審査に不安を感じたとしても、複数のローンに申込むのは控えましょう。

複数のローンに申込んだ場合、信用情報に6ヵ月間は申込んだ履歴が残る点に注意が必要です。複数のローンに申込んだ履歴が残っている期間は、他のローンを利用できなくなる可能性があります。

医療ローンの審査に落ちた場合はどうすれば良い?

たとえ信用情報に問題がなくても、審査に落ちる可能性はあります。受けたい医療を諦めずに済むように、審査に落ちた場合の対応を考えておきましょう。

提携先の多い医療機関を探す

銀行は審査が厳しいため、審査に落ちた場合の対策を事前に考えておくのがおすすめです。万が一審査に落ちた場合は、信販会社の医療ローンを取り扱っている医療機関を探すと良いでしょう。

信販会社に申込んだとしても、審査に落ちる可能性は考えられます。しかし、医療機関によっては複数の信販会社と提携しているため、自身に適した借入条件のローンが見つかるかもしれません。1社でも提携先の多い医療機関を見つけたい場合は、直接問い合わせてみてください。

自己資金を貯めてから再度申込む

前述のように、審査に落ちたからといって複数のローンに申込むのは、返済能力を疑われる可能性があるためおすすめできません。再度申込みたい場合は、自己資金を貯めて借入金額を最小限に抑えたり、返済比率を下げて審査に通るように工夫したりすると良いでしょう。

また審査に落ちたら、次に利用できるローンを見つけるまでの期間は、自身で医療費を支払う必要があります。支払いが滞らないようにするためにも、ある程度まとまった資金を貯めておくことが大切です。

他のローンを利用することも検討する

医療ローンの利用が厳しい場合は、他のローンの利用も検討してみてはいかがでしょうか。カードローンやフリーローンは、投資や事業への資金でなければ原則資金使途は自由です。

金利の低さでいえば医療ローンのほうが魅力的ですが、審査の厳しさや借り入れまでの時間で考えればカードローンやフリーローンのほうが適しているケースもあるでしょう。無利息期間が設けられているローンもあるため、短期間で返済可能な場合にはおすすめです。

まとめ

医療ローンは目的別ローンの一つであり、医療行為で発生した費用に利用できるローンです。主に銀行や信用金庫などの金融機関と信販会社が提供しており、審査や金利に違いがあるため、利用を検討する際はそれぞれの違いについて理解を深めることが大切です。

なお、医療ローンの利用が難しい場合は、他のローンにも目を向けてみてはいかがでしょうか。カードローンやフリーローンの利用も考えている場合は、日本最大級のローンデータベース「イー・ローン」をぜひご活用ください。

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ライター紹介

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齋藤 彩 (さいとう あや)

AFP(Affiliated Financial Planner)、薬剤師免許

急性期総合病院において薬剤師として勤める中、がん患者さんから「治療費が高くてこれ以上治療を継続できない」と相談を受けたことを機にファイナンシャルプランナーになることを決意。ひとりの人を健康とお金の両面からサポートすることを目標に個人の相談業務・執筆活動を行っている。

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