第36回
掲載:/更新:お金がない時どうする?対処法と具体的な対策
この記事は約12分30秒で読むことができます。
この記事のポイント
- まずは自分の月々の支出を把握しよう
- 家計簿をつける、節約するなどで家計の見直しを検討しよう
- 状況によっては金融機関でお金を借りることを検討しよう
- お金がない時にするべきポイント《対処法》
- お金がない時に検討したいポイント 《時間的猶予がある場合》
- お金がない時に検討したいポイント《金融機関で借り入れする場合》
- お金がない時に気をつけるべきこと
- まとめ
お金がなくて次の給料日まで過ごせないという人は案外少なくないようです。多くの場合は、家計の見直しで対処することができますが、収支を見直すだけでは不十分で、お金の調達が必要となるケースもあります。
そこで、今回はお金がない時に、まずは実行したい家計の見直しの方法や、家計の見直しで対処しきれない場合にはどのような方法があるのかを見ていきましょう。
お金がない時にするべきポイント《対処法》
本来、収入に見合った支出をしていかなければなりませんが、お金がないという人の多くは、それができていないのかもしれません。
例えば、「欲しいと思った物をすぐに買ってしまう」「カードで支払った分を忘れてしまう」、このようなことに心当たりはないでしょうか。
大雑把なお金の使い方をしているために、あとで生活費として必要な支出分が足りなくなってしまうような場合は要注意です。まずは、健全な家計運営をするための方法を知っておきましょう。
月々の支出を知る
家計管理ではじめに行なうべきことは、月々の支出を把握することです。お金がないという人のなかには、自分が「何に」「いくら」使っているのかを把握できていない人が多いのではないでしょうか。
限られた収入のなかで各費目のバランスをとりながら支出をすべきというのは誰にでも当てはまることです。自分が「何に」「いくら」使っているかきちんと確認し、見直せるポイントを探しましょう。
ここでは、一人暮らしをしている独身男性の支出例を見てみましょう。1ヵ月の手取り給与額は25万円。独身男性の一人暮らしということもあり、料理や洗濯など家事にかかる手間をお金で解決する傾向があります。クレジットカードの利用で簡単に払えてしまうため、ムダな支出をしていることにも気づきにくいようで、リボ払いも利用しています。
費目 | 支出現状 | 見直しポイント | 理想の割合 | 見直し後 |
---|---|---|---|---|
住居費 | 70,000円 | 居住地域によっては難しいが、理想は月収の28%~30%以内 | 28% | 70,000円 |
食費 | 50,000円 | 外食やコンビニ買いが多い。健康のためにも外食回数を減らし、スーパーで野菜などを買って自宅で調理を | 18% | 45,000円 |
水道光熱費 | 15,000円 | 6% | 15,000円 | |
通信費 | 20,000円 | 携帯の無駄なオプションを解約したり、契約を見直したりして節約を | 6% | 15,000円 |
保険料 | 10,000円 | 独身の場合は過度な加入は不要 | 3% | 7,500円 |
衣類 | 12,000円 | 安いものでも買い続ければ支出は増えることを考えて | 3% | 7,500円 |
趣味・娯楽費 | 18,000円 | 理想割合より多めの場合、節約の工夫を考えたい | 4% | 10,000円 |
交際費 | 18,000円 | 飲み会などへの参加を減らす努力を | 5% | 12,500円 |
日用雑費 | 13,000円 | クリーニング代などがかかりがちだが、自分でアイロンがけするなどできるだけの努力を | 5% | 12,500円 |
その他支出 | 14,000円 | カードのリボ払い分も含まれる。少しずつ繰り上げ返済をして、返済額の縮小を | 4% | 10,000円 |
支出計 | 240,000円 | カード利用が多く、ついつい支出してしまいがち。手取り月収のほとんどを支出している状態。 | 82% | 205,000円 |
手取り収入 | 250,000円 | ― | 250,000円 | |
貯蓄 | 10,000円 | 支出管理を正しくすれば、一人暮らしでも貯金はできるはず。支出を削減して貯蓄に回したい | 18% | 45,000円 |
支出割合は家族のこだわりによって変動するものです。「収入=貯蓄+支出」となるように、ご自身のオリジナルの割合を調整してみましょう。
家計簿をつける
世帯の状況によって家計の支出割合を確認できるように、家計簿をつけることも大切です。支出の状況を常に確認するようにしましょう。家計簿は、市販の家計簿以外にもノートやエクセルのような表計算ソフトで自作しても構いません。
ただ、これらの場合、毎日記帳するのが面倒であったり、当てはめる費目を難しく考えすぎたりして断念する人も少なくありません。
レシートをスマートフォンのカメラで撮影するだけで、自動的に各費目に振り分けし計算してくれる、無料の家計簿アプリも多くあります。
クレジットカードでの買い物が多い人は、カードと連動できるアプリもあるので、自分の支出スタイルに合わせてアプリを選ぶと便利でしょう。
節約をする
お金がない原因のほとんどは、収入に対して支出が多いということです。無駄な支出を省き、節約に努めましょう。効率よく節約するには、家計の固定費を見直すのが効果的です。前述の例では、「住居費」「水道光熱費」「通信費」「保険料」が固定費に該当します。
住居費の節約のために、家賃の安いところに引っ越しすることを検討してみましょう。引っ越し時には敷金・礼金のような一時費用が必要になります。長い目で節約した家賃と一時的に発生するコストを比較してメリットがでるか確認してみましょう。
また、光熱費が高い人は、電気代を抑える工夫をしてみましょう。こまめにコンセントを抜いたり、電源を切ったりすることも省エネには大切ですが、契約の見直しを行なうこともおすすめです。
なお、夏・冬の電気代の多くはエアコンによるものといわれています。遮熱によりエアコンの稼働量を下げる工夫もしてみましょう。
ほかにも「携帯電話やスマホを格安スマホにする」「外食を控えて自炊を増やす」「欲しいと思ってもすぐ買わず、数日考えるようにする」といったことも効果があります。
また、一人暮らしの場合、趣味や娯楽にお金をかける傾向がありますが、貯蓄することも意識しながら節度のあるお金の使い方をすることが大切です。
不用品を売る
支出を削減する以外にも、お金を生み出すことも考えてみましょう。今ではネットのオークションサイトやフリマサイトが多数あり、誰でも手軽に物を売りやすい時代です。
例えば、趣味で買いそろえたブランドのスニーカー、車やパソコン周辺機器など、あればうれしいけれども、特に使わないようなものが家のなかにたくさん眠っているかもしれません。
オークションやフリマサイトで売るのが面倒という人は、買い取りショップに持っていくのも一つの方法です。一般的に買い取りショップでは、その場で価格査定をしてくれますし、買値がつく物はその場で買い取ってくれます。
収入を増やす
最近では、副業を許可している会社も増えてきているため、アルバイトや副業をはじめてみるのもいいかもしれません。
ただし、仮に会社の許可があるとしても本業に支障をきたすことや、家族との時間が少なくなってトラブルを起こすようなことがあっては困ります。副業を検討する場合には、これらの点にも注意してください。
配偶者が働いていない場合には、共働きをすることで世帯収入を増やすことを検討するのも良いでしょう。しかし、子どもがいる場合は保育費が発生したり、外に働きに出ることで衣服代や交通費が増えたりするケースもあります。見込める収入増と支出増のバランスを考えながら検討してください。
なお、お金がない時の対処法として即効性がある方法ではないものの、長い目で見ればキャリアアップや転職などで収入を上げることも考えたいことの一つです。ただし、収入が上がったからといって支出がさらに増えるようでは元も子もありません。この点にも注意が必要です。
お金がない時に検討したいポイント 《時間的猶予がある場合》
病気や災害、失業などのやむを得ない事情で支出があると、まずは貯蓄を取り崩そうとする人もいるかもしれません。ただ、蓄えたお金を使ってしまうと、あとで困ることになる可能性もあります。下記で紹介する方法も検討してみましょう。
親や親族に借りる
どうしても支払期日までに現金が必要な場合は、親や親族にお金を借りられないか頼んでみましょう。親しい間柄であれば、困っている事情をきちんと説明することでお金を貸してもらえる可能性があります。ただし、お金の貸し借りの内容をあいまいにしてしまうと、その後の人間関係を悪化させてしまいかねません。
借用書の作成や、利息を含めた返済計画を提示するなど、親しいからこその配慮を忘れないようにしてください。
給与を前借りする
給料の前借りができないか、職場の担当部署に相談してみるのも良いでしょう。労働基準法第25条では、労働者に出産や病気、災害といった特別の事情がある場合は、給料日前でも働いた分の給料を支払わなければならないことが定められています。
労働基準法第25条
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
引用:e-Gov
これらの事情に該当する場合には、検討してみましょう。
支払いが延ばせるものがないか検討する
お金がなくて困っている場合には、本来支払うべきものを延ばす方法も選択肢の一つです。一定の条件を満たす必要がありますが、税金や年金、学費などは、延納や分納ができる場合があります。
例えば、国税であれば、災害や盗難、病気、事業廃業などの理由があり、一時的に納税できない場合に税務署長の承認を得ることで、原則1年以内に限って納税の猶予を認めてもらえる可能性があります。
猶予を認めてもらえると、財産の差し押えおよび、延滞税の全部または一部が免除されます。ただし、相談しないまま滞納すると督促が来るため、早めに連絡するようにしましょう。
公的機関に相談する
低所得世帯や、障害者世帯、高齢者世帯など、対象となる場合は、地域の福祉事務所が取り扱っている貸付制度を利用する方法もあります。
例えば、病気などで就労が難しい場合や仕事が見つからず生活に困っている場合、自立相談支援事業を利用すれば、緊急小口資金として無利息で融資を受けることが可能です(上限10万円)。
いずれも支給には条件があるため、まずは地域の自立相談支援機関の相談窓口で相談してみましょう。
お金がない時に検討したいポイント《金融機関で借り入れする場合》
お金がない事情にもよりますが、状況によっては金融機関でお金を借りることを検討してみましょう。
これまで計画性なく無秩序なお金の使い方をしていた人が、返済の目処なく借り入れをするのは返済不能となるリスクが高いためおすすめできませんが、きちんと考えたうえでの借り入れであれば一考の余地があります。
先に支出の見直しの例を見ましたが、「長い目で見ると住居費を削減するために引っ越しするほうが良い」「近いうちにボーナスなど臨時収入が見込める」といったケースで一時的にお金を借りるのは、調達手段の一つです。
借り入れをすると利息をつけて返済しなければいけませんが、家計の見直しで支出額が削減できる分を返済に回し、返済を早めるのも良いでしょう。
キャッシングのメリット
最近は、即日で対応してくれる金融機関も多いため、急を要する場合には非常に助かるものです。申し込みから、審査、借り入れまでのすべての手順をインターネット上で完結できる金融機関も増えてきています。
店舗へ行かなくても口座にお金が振り込まれたり、キャッシングカードや後述するスマートフォンアプリでATMから現金が引き出せたりする金融機関もあります。手続き面でも、このように手間が省けるのはメリットといえるかもしれません。
このように、スピード性のあるキャッシングは、おもに信販系や消費者金融系の金融機関が取り扱いしていることもあり、審査基準も銀行のローンよりも比較的通りやすい傾向です。また、比較的借入金額が低めだということも理由の一つといえます。
カードローンのメリット
カードローンは、住宅ローンやマイカーローン(自動車ローン)のように利用目的が限定されておらず、使途が自由です。
例えば、家計が困窮状態にあり、生活費の補填をするような目的でも可能です。一度契約すると、定められた限度額の範囲内なら何度でも借り入れできるのは利便性が高いといえるでしょう。
カードローンは、おもに銀行が取り扱いをしていますが、最近ではネット上で申し込みから契約までのすべてを一貫してできるところが多く、手続きが比較的簡単です。
現金の調達は、おもに提携ATMやコンビニATMから引き出すことになりますが、銀行とコンビニの提携関係によって、コンビニATMの利用手数料が無料となるところも多くあります。返済方法は、毎月口座振替で返済する以外に、ATMを利用しての返済や口座振込なども選択可能です。
繰上返済もできるため、細々とした金額でも余裕資金ができた時に繰上返済していければ、利息が節減できます。
キャッシングアプリのメリット
キャッシングアプリは、おもに大手消費者金融などが展開するスマホアプリから申し込めるキャッシングサービスです。営業時間内であれば審査完了まで最短30分、当日中に借り入れができたり、祝祭日でも審査に対応してもらえたりするサービスもあります。
借り入れの仕組み自体は、先に紹介したキャッシングと同様ですが、スマートフォンアプリに対応しているATMで現金を引き出せたり、アプリ画面から銀行口座への振込手続きをしたりできます。
スマートフォンがあれば、外出先で急にお金が必要になった時はもちろん、公共料金などの引き落とし前で口座残高が足りない時などに自宅からでも借り入れできるのは便利でしょう。
お金がない時に気をつけるべきこと
お金がない時に支払いの期限が迫ったり、急な出費ができたりすると焦ってしまう人が多いのではないでしょうか。しかし、そのような場合こそ、冷静になって手元資金をつくるための対策や借り入れの計画を立てることが大切です。お金に困ったからといって、決して以下のようなことはしないように心がけましょう。
闇金やギャンブルに手を出さない
貸金業を営む者は、財務局長または都道府県知事の登録を受ける必要があります。貸金業者は、法律で定められた上限金利の範囲内でキャッシングやローンの金利を定めることが義務付けられています。
しかし、闇金はこれらの登録を受けずに違法で貸金をしている業者です。闇金の金利は法外なものが多いことが特徴です。これでは、返済が進まないだけでなく、仮に借入金額が少額でも返済請求額が雪だるま式に増えていく可能性があります。
もし、返済が遅れてしまうと、自宅や勤務先に取り立てに来たり、家族や親類などに脅迫まがいの取り立てをされたりする場合もあるため、絶対に手を出さないようにしてください。
また、ギャンブルや宝くじでお金を得ようと考える人もいるようですが、お金が増える確率は極めて低いでしょう。これらは、あくまでも娯楽のため、お金がない状況を乗り切らなければならない時の現実的解決方法とはなりません。
規約違法行為に手を出さない
インターネットや雑誌などで、お金がない人やお金が欲しい人の気持ちを誘惑するような広告を見かけたことはないでしょうか。しかし、魅力的な内容の広告のなかには、違法行為となるものがまぎれている可能性があります。
一例として、「クレジットカードの現金化」が挙げられます。これは、簡単にいうとクレジットカードで商品を購入し、現金を得ることです。実際の手口は多岐にわたりますが、具体的には以下のようなものがあります。
↓
購入した商品を業者が手数料を差し引いた金額で買い取る
↓
現金が手に入る
↓
翌月以降に購入した商品の支払いが回ってくる
例えば、30万円の指定商品をクレジットカードで購入し、それを即、その業者に買い取ってもらい、20%の手数料を差し引いた24万円を現金で受け取るといった具合です。
クレジットカードの現金化で、24万円を手にすることができましたが、翌月あるいは翌々月の請求日にはクレジットカード利用額の30万円を支払わなければなりません。
この30万円を一括払いできずに、返済方法を分割払いやリボ払いに変更するとさらに手数料がかかるため、より一層損をすることになります。なお、現金化の手数料率は業者によっても異なりますが、異常に高い場合がほとんどです。
そもそもクレジットカードを使って現金化するという行為は、明確な法律違反ではないにしても、一般的にはクレジットカード会社の規約違反に該当します。状況によっては、以後クレジットカードを使えなくなってしまう可能性もあるため、どんな事情があるにしろ、絶対に手を出してはいけません。
ほかにも、SNSなどで募集している詳細不明のバイトや副業にも注意が必要です。なかには、詐欺や違法行為がまぎれている場合があります。
まとめ
お金がないという人は、多くの場合は無秩序なお金の使い方が原因です。まずは、自分の支出内容を確認し、収入に見合った支出になるよう家計の見直しをしてみましょう。
家計の理想的な支出割合というのはありますが、世帯構成やライフスタイルなどによって変わります。自分なりの割合を決め、家計管理をしていくことが大切です。
支出を削減したり、不用品を売ったりしてもお金が足りない時には、一時的に借り入れをすることを検討してみるのも一つの方法です。
借り入れをする場合には、返済計画をきちんと立て、返済できる見込みを確認してから利用するようにしてください。滞りなく返済していくためにはローン選びも大切です。金利や返済の利便性など総合的に判断し、自分に合うローンを選ぶようにしましょう。
カードローンの選び方「イー・ローン」
無理なく返済していくためにも、カードローンを申し込む前に返済計画をしっかりと立てましょう。金利はできる限り低く、繰上返済の可否やATM手数料の有無などの利便性も合わせ、総合的にメリットが高いものを選ぶことがカードローン利用の基本です。
イー・ローンのローンデータベースなら、たくさんあるカードローンのなかから自分に合ったサービスを簡単に検索することができます。カードローンを検討している人は、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
また、イー・ローンではランキングを発表しています。金利や申込数などさまざまな視点からなるランキングをカードローン選びの参考にしてみてはいかがでしょうか。
ライター紹介
日本FP協会認定CFP®
生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。
融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。