第199回
ネットで申し込める証券担保ローン
- 子どもの進学のためにまとまったお金が必要なのですが、保有している株式はもう少しタイミングをみてから売却したいと思っています。株式で借りられるローンがあるそうですが、教育資金にも利用できますか?(群馬県 KM)
- 株式などの証券を担保に借りる「証券担保ローン」は利用目的に制限なし。店頭に行かず、ネット申込み可能なローンもあります。
証券担保ローンとは
証券担保ローンとは、本人名義の株式、国債、社債、投資信託(ETFなど)の有価証券を担保に、借り入れができるローンです。借り入れ限度は、有価証券の評価額の一定範囲内(日本証券金融の場合、国債は90%以内、債券は80%以内、株式は65%以内)に限られますが、低金利で、利用目的にも制限はないので、教育資金や結婚資金、住宅資金、株式購入資金などに自由に利用できます。
担保となった株式であっても、株主の権利である株主優待や配当金はそのまま受けられます。
ネットで申込み可能な証券担保ローン
イー・ローンのサイトでは、来店不要でネット申込み可能な証券担保ローンとして、大阪証券金融の商品をご紹介しています。日興コーディアル証券の利用者向けの「イージー・コムストックローン」、イー・トレード証券の利用者向けの「コムストックローン・E*トレード」、その他の証券会社利用者も利用できる「コムストックローン・ダイレクト」があります。
ローンの内容を「イージー・コムストックローン」を例にみてみましょう。「イージー・コムストックローン」は、利用申し込みから借入手続きまでインターネットを利用して行うことができます。金利は3.925%(2007年1月1日現在)で、借入可能額は30万円~1億円、融資限度は担保時価額の60%です。保有している株式の時価によっては、かなりの高額な借入も可能ですね。担保となる株式は、利用者の日興コーディアル証券の口座から同証券の大証金口座(大証金が担保の保管を目的に開設した口座)に振り替えることにより、担保として差し入れることになります。もちろん、株主優待や配当金は借入中も受けることができます。担保にできるのは、国内の証券取引所に上場している株券や優先出資証券(例:信金中央金庫)、投資証券(例:REIT)、投資信託の受益証券(例:ETF)のうち、大証金が適当と認めるものです。
担保の扱いや価格変動に注意
なお、担保となる株式等の扱いや条件は、証券担保ローンの各商品で異なります。たとえば、「イージー・コムストックローン」の場合は、担保として差し入れた有価証券は自由に売買することができなくなり、また特定口座を利用していた銘柄でも、特定口座扱いとはされなくなります。一方、「コムストックローン・E*トレード」は売買は自由です。ローン利用中の担保株式等の扱いや制約、条件を利用の前によく確認しておくようにしましょう。
また、ローンの利用中に担保である株式等の価格が下がり、担保不足になったら、追加担保の差し入れや一部返済等が必要になります。それができなければ全額返済が求められ、それもできないと、保有株式等を手放すことになってしまいます。低金利が魅力のローンではありますが、借入にはゆとりを持って、借り入れ中も株式等の価格には注意しておきましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。
大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。
※執筆日:2007年01月11日