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第819回

早めの行動で憂いなし。「終活」のいろはを知っておこう

可愛がってくれていた叔父が急に亡くなり、叔母といとこたちが葬儀やお金関係の手続きで大変だったことを見聞きしていました。 我が身に置き換えてみて、自分が死んだときに家族に大変な思いをさせたくないと思いました。 何かできることはあるでしょうか?(N/Hさん 男性 42歳)
ある日、突然、身内が何も言い残さず、書き残さず亡くなってしまうと、「葬儀はどうしたかったんだろう…」、「お金関係はどうなっているんだろう…」など、遺族は戸惑いながら死後の手続きを進めることになります。 そんな際、自らの死の前後のことを書き残しておいてくれると、遺族は非常に助かります。 いわゆる「終活」という行動ですが、40代から始めても、早すぎることはありません。 どんなことをすればいいのか、大まかにご紹介します。

40代にベースになる「終活」をしておくと後が楽!

「終活」とは、「人生の終わりに備えてする活動」を略した言葉で、耳にしたり目にする機会が増えているでしょう。 40代で「終活」を始めるのは早いし、縁起でもないと思うかもしれませんが、死はまだ先と思える40代に「終活」のベースになる行動をしておくのはムダなことではありません。 本格的に必要になる50代・60代以降が楽になります。

では、どんなことをすればいいのでしょうか?  市販のエンディングノートに記入するか、そんな大げさなことはしたくない人は市販のノートに記入してもいいでしょう。 パソコンの文書ソフトで書いてもかまいません。 要は、今の自分の気持ちと状況をわかってもらうことが大切です。 この書類を「終活メモ」と呼ぶことにします。

「終活メモ」に書いておく項目はいろいろありますが、とりあえず下記のようなことを書いておけばいいでしょう。

自分のこと

生年月日、両親と兄弟姉妹、今の家族の名前など。 好きな食べ物や飲み物、好きな色、好きな花。特に書き残しておきたいこと。

⇒好きな食べ物・飲み物、色、花は祭壇やお墓にお供えをするときに助かる情報です。 遺影にして欲しい写真があれば、プリントアウトして同封しておくか、写真のデータのある場所も記入しておくといいでしょう。

死の前後のこと

延命治療を希望するかしないか、臓器提供の意思表示(健康保険証、運転免許証でもできる)、お葬式・お墓・法要はどうしたいか。

⇒これらは、死の前後に家族が直面し、しかも、答えをすぐに出さないといけない問題です。 これらをどうしたいかの気持ちを書き残しておけば、家族が答えを出す助けになります。

連絡先

自分に何かあったときに連絡して欲しい人のリスト。 仕事先、親族、親戚、友人などの名前と連絡先の電話番号、自分との続柄。

公的書類

健康保険証、運転免許証、パスポート、マイナンバーカード(または、通知書)などの公的書類の保管場所。

お金に関することを書いておくのはいちばん大切!

「終活メモ」に書いておくことでいちばん大切なのは、お金関係のことです。 相続に関係しているからです。次のようなことを記載しておきます。

取引金融機関

銀行(キャッシュカードの保管場所と暗証番号も)、証券会社の社名と連絡先の電話番号。

持っているクレジットカード

会社名と連絡先の電話番号。特に年会費を払っているカードはその旨も記載。

⇒カードで支払ったもので未払いの分、キャッシングしたお金の未払い分は、マイナス財産として相続人が相続することになります。

スマホで利用している電子マネー

電子マネーの名称。スマホの解除方法(暗証番号、指紋認証はどの指かなど)。

加入している保険

保険会社名、保険種類、連絡先の電話番号、担当者がいればその名前、保険証券の保管場所。

保有している不動産

不動産の種類と所在地、権利証の保管場所。

借入

借入先の名称と連絡先、借入額、毎月の返済額、返済終了時期。

⇒住宅ローンのように団体信用生命保険に加入しているローンは死亡保険金で残債は返済されます。 また最近では住宅ローン以外のローン、特に個人向け無担保ローンの商品でも団体信用生命保険やがん保険特約付きの商品が増えてきています。 もし今後、カードローンやマイカーローンなどの借入を検討する機会があれば、保障が付けられる商品かどうかも申込の判断基準とするとよいでしょう。 しかし、そのような保障付きではないローンの場合、残債はマイナスの遺産として相続人が相続することになります。 相続人が相続放棄をするかどうかの判断材料になるので、きちんと記入しておきましょう。

最後に、家族への感謝の気持ちを書いておくといいかもしれませんね。

40代の今、「終活メモ」を書いておけば、後は定期的に見直し、どれかの項目に変更があれは修正し、追加したい項目があれば書き足すだけですむので、50代・60代以降が楽です。
自分の財産の処分について遺言しておきたかったら、遺言書も書いて封をし、「終活メモ」と一緒に入れて保管しておきます。

「終活メモ」には、大切な個人情報が記載されているので、見て欲しくない人や泥棒に見つからないよう保管場所に注意しましょう。

せっかく、「終活メモ」や遺言書を書いておいても、その存在を誰も知らないのでは意味がありません。 信頼できる人に「終活メモ」などの存在と保管場所を教えておきましょう。

なお、貯蓄がほとんどなく生命保険にも加入していない状態で亡くなってしまった場合、亡くなるまで入院した病院に支払うお金は「医療・介護ローン」、お葬式代やお墓代、お仏壇購入などでかかるお金は「葬祭・仏具ローン」で用意ができます。 基本的には残高に関わりなく、故人となった方の預金口座等は、相続財産を確定させるために預金の預け払いができないように口座が凍結されます。 借りるのは、家族の誰かになるので、生命保険の給付金や保険金で返済できるようにしておきたいものです。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2019年03月18日