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第317回

“住宅借換えの困った”を解消!「つなぎ融資」とは?

現在マンションに住んでいますが、今年中に一戸建てに買い換える予定です。マンションの売却金を次の住宅ローンの頭金に充当するつもりですが、なかなか売却が予定通り進みません。どうしたら良いでしょうか?(H.Sさん 45歳・会社員)
ご相談者のようにマンションの売却が予定通り進まない場合、一時的なつなぎ資金として、売却予定の不動産を担保にした「つなぎ融資」を利用する方法があります。

あなたは“買い先行”派?それとも“売り先行”派?

今の家を売って新しい家を買う(=つまり“買換え”)には、資金計画とタイミングが重要で、 例えば、中古住宅の価格動向が先行き不透明な場合など、自宅の売却金額が確定した後に新居を買う“売り先行”の方が、 資金計画上、狂いが生じることが少なく、安全です。 その上、売り急ぐ必要もないため、ある程度納得のいく価格で売却できる可能性が高いといえます。 その反面、売却決定後は、買い主に物件を引き渡す日までに、買い換え物件を探さなければならなりません。 希望の物件が見つからないケースや、購入物件が未完成で引き渡しまでに時間がかかる場合は、仮住まいの必要も出てきます。

それに対し、先に買い換え物件を契約し、同時に旧自宅を売りに出す“買い先行”の場合、希望の物件をじっくりと探すことができますし、 未完成の物件なら、代金支払いまでに余裕があり、購入契約後に売り出してもうまくいくケースが多いようです。
その反面、どうしても売り急いで、納得のいく価格で売却できないケースや、新居の取得日までになかなか売却できず、 二重ローンを背負うケースも出てきます。

「つなぎ融資」とは?

このように“買い先行”の場合、買い換え物件の決済時までに旧自宅を売却できなければ、別途、資金を用意しなければなりません。 このようなトラブルを未然に防ぐ手段として、「つなぎ融資」を利用する方法があります。

「つなぎ融資」とは、一時的に借りる短期のローンのことです。 一般的に、不動産を取得する場合に、「つなぎ融資」を利用するケースは2つあり、1つは、 前述のような“買換え”のケースで、“買換えつなぎ”とも呼ばれます。つまり、売却による資金ができるまでの“間”をつなぐためのローンというわけです。

もう1つは、財形住宅融資などの公的融資を主に利用するケースで、“抵当権抹消つなぎ”とも呼ばれます。 公的融資の場合、実際に融資が実行されるのは、取得する物件に対して抵当権の設定登記が行われた後ですが、 抵当権を登記するためには、不動産会社に不動産の代金を支払い、物件を自分のものにしなければなりません。このような際に利用されるのが、 “抵当権抹消つなぎ”です。

「つなぎ融資」にも利息や手数料がかかる!

このように、一時的な資金繰りとして利用できる「つなぎ融資」ですが、住宅ローンの内容とは異なるため、 別途契約書が必要になります。金利も別に決められていますし、それぞれ利息や手数料などがかかります。 また、「つなぎ融資」はスピードが命なので、つなぎ融資を希望する人の多くは、資金を必要とする期限が迫っており、時間的な余裕がありません。 申込をしても審査に時間がかかれば間に合いませんので、あらかじめ、融資までの時間を確認しておきましょう。 インターネットで仮審査申込可能な金融機関もありますので、申込と同時に、ホームページを確認し、 審査・契約等に必要な書類もきちんと準備しておきましょう。

以上のように、お住まいの買換え時には、不動産会社等に対して、代金の支払い期限やその金額、 その代金を自己資金でまかなうのか?「つなぎ融資」が必要かどうか?などの資金計画をしっかり立てておくことが大切です。

私が書きました

黒田 尚子 (くろだ なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、第2種情報処理技術者、初級システムアドミニストレータ。

92年大学卒業後、日本総合研究所に入社。約5年3ヶ月間、システム開発に携る。退社後、98年ファイナンシャル・プランナーとして独立。 まったくの異業種からの転職のため、できるだけ幅広いテーマを手掛けるようにしている。雑誌・インターネットなどの連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。モットーは「夢をカタチに」。現在、夫1人&猫1匹と暮らす。

※執筆日:2009年05月21日