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第694回

返済が厳しくなったら債務整理を考えるべき?

クレジットカードのリボ払いやカードローンでの借り入れが複数あり、毎月の返済がとても厳しい状況です。おまとめローンを検討していますが、債務整理も考えています。そもそも債務整理とはどんなものですか?注意点などを教えてください。(Eさん 30歳 会社員)
クレジットカードのリボ払いやカードローンは手軽に利用できる反面、借金だという認識が甘くなりがちです。計画的に利用しないと借り入れが増えやすく、返済が厳しくなると別のところで借りる、というような悪循環に陥ってしまうことがあります。おまとめローンや債務整理についてしっかり理解して、この悪循環を断ち切り生活を立て直しましょう。

債務整理とは

債務整理と聞くと自己破産が思い浮かぶ方もいるかと思いますが、自己破産は債務整理の方法のひとつです。 債務整理の方法には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。

任意整理とは、債務者(利用者)が債権者(金融機関)と交渉し、債務額や月々の返済額、利息の減額などについて和解を成立させる方法です。過払い金があればその請求もできます。 手続きを自分で行うこともできますが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。ただし、任意での話し合いなので、和解に応じてもらえるとは限りません。

個人再生とは、裁判所に申し立てをして債務を大幅に減額し、原則3年間で返済するものです。 住宅ローンを除く債務総額が5,000万円以下で、継続的な収入が見込める場合に利用できます。 債務が1,500万円以下の場合は最大5分の1(最低100万円)まで債務を減らすことができ、「住宅ローン特別条項」を使えば家を手放す必要もありません。 しかし手続きが複雑で費用と時間がかかります。

自己破産とは、裁判所で破産手続開始決定を受け、全ての債務を免除してもらう手続きです。 99万円までの現金や生活必需品などは保有できますが、預貯金、車や家、20万円以上の財産等は処分して弁済に充てることになります。 ただし、ギャンブル等が理由の場合は免責されないことがあります。 また、免責決定までの間は士業や金融業、警備員など特定の職業に就けなくなります。

そして、3つの債務整理に共通するデメリットは、個人信用情報機関に記録される(いわゆるブラックリストに載る)ことです。 任意整理の場合は完済後5年程度、個人再生と自己破産の場合は5~10年程度は原則新規の借り入れはできませんし、新規のクレジットカードの発行もできません。

おまとめローンの特徴

おまとめローンは、複数ある借り入れを一本化する方法です。 借入先が1つになることで管理がしやすくなりますし、一般的には利息が低くなり、返済総額を減らすことができます。 返済は継続されるため債務整理の情報が個人信用情報機関に記録されることもありません。 ただし、債務整理のように債務を大幅に減額することはできず、また金融機関の審査に通らなければ利用できません。

これまでの借入先の債務は完済している形になるため、新たに借り入れをしてしまう人もいますが、これでは本末転倒です。 おまとめローンを利用する場合には、完済するまで新たな借り入れはしないことを徹底しましょう。

専門家に相談してみるのも一手

このように、おまとめローンと債務整理とでは大きな違いがあります。 債務整理をすれば返済はかなり楽になる一方、上記のような費用や時間、個人信用情報への影響などのデメリットがあります。債務整理は最後の手段と考え、まずはおまとめローンで債務を一本化し、自力再建を目指しましょう。

どうしても返済が苦しい場合や不安がある場合には、1人で悩まず借入先の金融機関や公的な相談窓口を利用すると良いでしょう。相談窓口には自治体、消費生活センター、法テラス、財務局、日本クレジットカウンセリング協会、日本貸金業協会などがあります。敷居が高いイメージがあるかもしれませんが、支援体制が整っていますので早めに相談してください。借り入れを見直し、生活を立て直すための一歩を踏み出しましょう。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2016年10月03日