第793回

地方移住は得なのか?!移住のメリット、デメリット

子どもが生まれてから、自然環境のよいところでの子育てを考えて地方移住を検討するようになりました。 地方移住のメリットやデメリット、気をつけることなどを教えてください。(東京都 M)
「移住」に何を求めるのか、どんな暮らしをしたいのかをまず考えて、何がメリット・デメリットになるかを考えましょう。 さらに、移住後の仕事や住環境、頼れる制度などについて情報を集め、事前に短期滞在や移住体験なども行うとよいでしょう。

地方移住のメリット・デメリット

国の政策として「地方創生」が挙げられ、多くの自治体でも「地方移住」に関する施策が進められています。 都会での慌ただしい生活から離れたい、自然に恵まれた暮らしにあこがれる等、動機はそれぞれだと思いますが、地方移住を考える方も多くおられますね。

一般的な「地方移住」のメリットとしては、都市部よりも通勤に時間がかからずラッシュなどもないこと、地価が安く家賃等も安いこと、 新鮮な野菜などが手に入り食費が安いこと、自然の中で暮らせること、自然豊かな環境で子育てができることなどが挙げられるでしょうか。

一方、地方移住のデメリットとしては、公共交通機関が少ないためマイカー保有が必須であること、大きな病院が遠く通院に時間がかかる、 学校数が少なく子どもの進学時の選択肢が限られる、企業などが少なく就職先の選択肢が少ない、などが考えられます。

もちろん、「地方」と言っても、東西南北場所によって気候も地形も違いますし、たとえ同じ県内であっても、 都市部と田園地帯では暮らし方が全く違う場合もあるので、「メリット」「デメリット」はそれぞれ違ってくるでしょう。

地方移住に何を期待するのか

仮に同じ地域に移住する場合でも、何を期待して移住するかによって満足度も違うでしょう。 地方移住に自分が期待するものをまずは確認し、期待するものが得られる地域の情報を集め、その地域に自分にとってのメリットがたくさんあるのか、デメリットとなる点は許容できるのかなどをチェックすることが必要でしょう。

また、現在の生活がどのように変わるのかも、想定してみましょう。 住居費は安くなるが車関係の支出が増える、通勤ラッシュはないが車通勤に時間がかかる、近くにスーパーやコンビニが少なく気軽に買い物はしづらくなる、企業が少ないので現在と同じ職種での就職は難しく、異なる職種への転職が必要、等、生活習慣もかかる費用も異なってくる面があるはずです。 現在の生活を顧みた上で、地方移住による変化に対応できるかどうか検討しましょう。 特に、地方で何を仕事にするのかはその後の生活を決める重要な問題なので、多くの情報を集め、慎重に検討しましょう。 自治体の移住相談窓口に相談したり、移住体験や短期滞在などの制度を利用したりして検討を進められるとよいでしょう。

移住者向けの優遇制度や助成金もチェック

地方移住に関しては、多くの自治体で優遇制度や助成金制度、移住情報を提供する窓口やホームページが設けられています。 移住先の候補が絞られてきたら、各自治体のホームページや総務省の「全国移住ナビ」などで制度をチェックしてみましょう。

また、地方は都市部よりも地価が安いので、広い住宅を安く手に入れられる可能性も高まります。 【フラット35】には「地域活性型」があり、民間金融機関にも移住者向けの住宅ローンが用意されている場合があるのでチェックしておきましょう。

さらに、地方ではマイカーが必須の場合が多いので、移住早々、車を購入する必要があるかもしれません。 マイカーローンについても情報を集めておくとよいでしょう。

地方移住者向けの住宅ローンの例
  概要
【フラット35】
地域活性化型
一部の地方公共団体が行うUIJターンなどでのマイホーム取得者に対する財政的支援とセットで、【フラット35】の当初5年間の借入金利を年0.25%引き下げる制度
千葉銀行
ちばぎん移住・定住促進プラン
自治体が実施する移住・定住に係る助成制度を利用し千葉県内に移住・定住をするための住宅取得・住み替え・増改築・改修をされる方向けのプラン。 特別金利適用。
鳥取銀行
移住・定住促進ローン[住宅取得プラン・リフォームプラン]
これから鳥取県内に移住・定住を考える人や、移住されて5年以内の人が、住宅を新築またはリフォームする時の資金として利用可能。 鳥取銀行の住宅ローン商品の中では一番低い金利設定。

【参考リンク】

私が書きました

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大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2018年09月11日