第744回

住宅ローン【フラット35】がリニューアル。団信付きで保障も充実!

住宅ローンの【フラット35】が変わると聞きました。 ちょうど利用を考えていたのですが、どのような点が変わるのでしょうか?(kさん 会社員、33歳)
2017年10月1日より、長期固定金利の住宅ローン【フラット35】がリニューアルされます。 制度の変更点を押さえ、上手に活用できるようにしましょう。

【フラット35】が団信付きに

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡・高度障害になった時に保険金が支払われ、それによって住宅ローン残債が相殺される保険です。 民間の住宅ローンでは加入が必須で、しかも保険料は金利に含まれている場合が多いです。

一方、【フラット35】は団信への加入が任意になっている住宅ローンでした。そのため、他の保険でカバーするなどで不要な方は団信なしで利用することもできました。 希望すれば団信への加入も可能でしたが、別途団信のコスト(特約料)も発生していました。 しかも年1回、残高に応じて支払う形でした。 まずは、この点が大きく変わります。 今後は【フラット35】も団信付きになり、団信のコストも金利に含まれます(新機構団信)。これにより、年払いでの団信特約料の支払いもなくなります。

対象になるのは2017年10月1日以降に【フラット35】を「申し込んだ人」です。 住宅ローン実行の時期が10月1日以降であっても、住宅ローンを10月より前に申し込んでいた場合は対象になりません(制度変更後の【フラット35】を利用したい場合は、再度申し込みをし直す方法はあります)。 ちなみに、団信が不要な場合は外して加入することは可能で、その場合は金利が▲0.2%となります。

保障内容も充実!

【フラット35】の団信の変更点は、もう1つあります。 保障内容も充実したのです。

【フラット35】には、機構団信と呼ばれる死亡・高度障害の状態に備えるものの他、3大疾病保障も付いた機構団信がありましたが、いずれも表1のように保障が充実されました。

表1 【フラット35】の保障内容の変更点
旧制度 新制度(2017年10月1日以降申込)
名称 機構団信 新機構団信 コストは【フラット35】の金利に含まれる
保障内容 ・高度障害
・死亡保障
身体障害保障
・死亡保障
名称 3大疾病付機構団信 新3大疾病付機構団信 コストは【フラット35】の金利+0.24%
保障内容 ・3大疾病保障
・高度障害保障
・死亡保障
介護保障
・3大疾病保障
身体障害保障
・死亡保障

赤文字の部分が変更点ですが、「新機構団信」では加入者が死亡した時の他、「所定の身体障害状態」になった場合に債務の返済が不要となります。 具体的には、「身体障害者福祉法に定める1級または2級の障害に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき」となりました。 【フラット35】のホームページで紹介されているのは、「心臓にペースメーカーを埋め込んでいたり、人工透析を受けていて日常生活活動が極度に制限されているケース」でこれらは身体障害認定1級に該当します。

「新3大疾病付機構団信」の方は、「新機構団信」同様、高度障害保障が所定の身体障害保障に変わったほか、介護保障(要介護2以上で返済不要)がプラスされました。 つまり、死亡・所定の身体障害状態になったときや、3大疾病が原因で一定要件に該当した場合、公的介護保険制度で要介護2以上になった場合は残りの返済が不要となります。

【参考リンク】

私が書きました

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豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2017年09月25日