第729回
差別化が進む『団信』!仕組みを把握して納得の住宅ローン選びを。
- 住宅ローンを借りようと思って、借入先の金融機関を探している最中です。 その過程で、団信は、金融機関で異なることに気づきました。 住宅ローンを選ぶとき、団信の保障内容は気にしたほうがいいでしょうか?(Y・Kさん42歳会社員)
- 住宅ローンを選ぶときは、つい、金利や手数料などの諸費用に目が向きがちです。 これらも、もちろん大切なポイントですが、団信の保障内容もポイントに加えたほうがいい時代になっています。 というのは、保障内容が拡充されているからです。
団信の保障内容の拡充は差別化のため
団信とは、団体信用生命保険の通称で住宅ローンの借入者が被保険者となって加入する生命保険です。 返済中に死亡・高度障害状態になると生命保険金で残債を返済してくれるものです。 ほとんどの金融機関は、住宅ローン借入時に加入を義務づけています。 団信が誕生した当初は、死亡・高度障害の保障だけでした。 現在でも、このタイプの団信を提供している金融機関もありますが、三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や七疾病、八疾病、十一疾病、全疾病など、保障範囲は拡充の一途をたどっています。 その背景には、次のような事情があります。
住宅ローンを取り扱う金融機関は、都市銀行や地方銀行だけではなく、ネット専業銀行やノンバンクなども参入していて、競争が激しくなっています。 そのため、金利や手数料などの諸費用はもちろんのこと、手続きのしやすさや付帯サービスの充実で差別化を図る必要が生じています。 その1つが団信の保障内容の拡充なのです。
金融機関は生命保険会社や損害保険会社と提携し、団信を提供しています。 保障を引き受けるのは、あくまで保険会社です。
例えば、住信SBIネット銀行はSBI生命と提携し「団体信用就業不能保障保険」を、住宅ローン借入者の金利外の保険料負担は無料で提供しています。 これは、ほとんどの病気・ケガによる就業不能を保障する全疾病を対象としたものです。 ここまで保障対象の傷病数が多い団信は、まだ少数です。
団体信用生命保険 | 全疾病保障付き | |
---|---|---|
保障内容 |
死亡・高度障害 |
死亡・高度障害 がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎のほか、ほぼ全ての病気やケガを保障 |
保険料 |
住宅ローン金利に含む |
住宅ローン金利に含む |
主な取扱金融機関 |
住信SBIネット銀行 |
住信SBIネット銀行 |
団体信用生命保険 | 八大疾病保障付き | 全疾病保障付き | ||
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保障内容 |
死亡・高度障害 |
死亡・高度障害 がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎 |
死亡・高度障害 がん・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎のほか、ほぼ全ての病気やケガを保障 |
|
保険料 |
住宅ローン金利に含む |
年0.3%金利上乗せ |
年0.4%金利上乗せ |
住宅ローン金利に含む |
主な取扱金融機関 |
住信SBIネット銀行 イオン銀行 |
横浜銀行 福岡銀行 |
静岡銀行 |
住信SBIネット銀行 |
Gomez Webサイトレポート「多様化する団体信用生命保険と引受保険会社の提供する豊富な商品サービス」(2017年6月5日)より抜粋
住宅ローン選びは金利と諸費用、団信の保障内容の3ポイント
医療技術が進歩し、がんや急性心筋梗塞、脳卒中、その他の生活習慣病などによる死亡率は下がっています。といっても、すぐに仕事に戻れるとは限りません。 入院や自宅療養で仕事ができない期間が長引くこともあります。 こんな状態で住宅ローンの返済が続くのは辛いことですから、死亡・高度障害の保障だけの一般的な団信ではパワー不足といえそうです。
三大疾病、七疾病、八疾病、十一疾病、全疾病……どこまでの保障があれば安心かは人それぞれですが、住宅ローン選びで傷病による返済不能のリスクに備えられるならば、備えておくに越したことはありません。
つまり、住宅ローン選びは、金利と諸費用、団信の保障内容の3ポイントを総合的に検討して決定する時代に入っているということです。 ですから、団信の保障内容も比較してみてください。