第583回
住宅ローンは過去最低金利を更新!?条件を確認して借り換えのチャンスを検討しよう!
- 住宅ローンの金利がまた低くなったとニュースで見ました。住宅を購入して1年半程度が経ちます。今は変動金利1.5%、残高2,800万円、残りの返済期間は33年と半年の状況、毎月の支払いは9万円程度です。今の条件よりも良くなるのであれば借り換えを検討したいのですが、借り換えの際に気を付けるポイントを教えてください。(Hさん 34歳 会社員)
- 質問者様のおっしゃるとおり、ここにきてまた住宅ローンの金利は低下傾向にあります。 金融機関によって特に力を入れている金利体系が違いますので、各社の金利体系ごとの住宅ローン商品を見てみましょう。また、借り換えの際には各種手数料がかかる場合もありますので、総返済額の負担が減ることを事前に確認してから申し込みましょう。
住宅ローンの金利が低下し続けている理由は?
リーマン・ショックや東日本大震災の影響により追加的な金融緩和が続けられ、金利の低い状況が続いていました。昨年4月には、日銀による「量的・質的金融緩和(別名、異次元金融緩和)」が打ち出され、長期金利の低下に伴い長期固定型の住宅ローンを中心にさらに金利が低下しています。これに加えて、今年4月の消費税の増税により住宅を購入する人が減少し、金融機関の住宅ローン金利の引き下げ競争が激しくなったことで、住宅ローン金利は一段と低下し、過去最低水準となっています。
中でも、変動金利型で0.5%台、2年固定金利型で0.3%台の商品が出るなど、変動金利や短期固定金利型の商品設計に力を入れる金融機関が増えているようです。
アベノミクスによる物価上昇や経済成長は期待されますが、消費税のさらなる増税の可能性などを考えると、しばらくは住宅ローン金利の低い状況が続きそうです。
借り換えの際にはどんな点に注意すればいい?
金融機関によって、最も力を入れている住宅ローン商品の金利体系が異なります。どの金利体系に力を入れているかは、その金融機関の広告やホームページで目につく形で掲載をされている商品ですので、いくつかの金融機関を比較してみるのが一番です。同じ金融機関でも、全期間の金利を一定率で引き下げるタイプ、一定期間の金利を手厚く引き下げるタイプなど、何種類かある場合もあるので、適用金利だけでなく金利の引き下げ幅と引き下げが適用される期間をよく確認してください。
商品によっては金利の引き下げ条件として給与口座に設定するなどの条件を設けているところもあります。自分がどこまで行動できるのか、恩恵としていくら返済額が減るのかを天秤にかけた上で借り換えを検討しましょう。
また、借り換えの際には各種手数料や保証料などの諸費用がかかります。手数料や保証料の金額は金融機関によって異なりますし、選び方次第では数十万円の差になる場合もあります。金利だけでなく、諸費用を含めた総返済額を確認した上で借り換えを検討すると良いでしょう。
では、どれくらい返済額が変わるのか、ひとつ事例を見てみましょう。
質問者様の現在の借り入れ状況は、変動金利1.5%、残高2,800万円、残りの返済期間は33年6ヶ月、毎月の支払いは88,793円です。これを、変動金利0.65%、返済期間33年6ヶ月、手数料、印紙、不動産登記等全ての費用が60万円の住宅ローンに借り換えたとします。5年後の金利が現在の金利から1.65%上昇した場合の毎月返済額と、今後5年毎に0.5%ずつ金利が上昇した場合の総返済額は次のようになります。(若干の誤差が生じます)
【現在の住宅ローン】残債2,800万円、残返済期間33年6ヶ月、変動金利:1.5%
毎月返済額:88,793円
5年後の金利が3.15%に上昇した場合の毎月返済額:110,564円
5年毎に0.5%ずつ金利が上昇した場合の今後の総返済額:40,771,196円
【借り換え先の住宅ローン】変動金利0.65%(返済終了まで店頭金利から-2.125%引き下げとする。)、借り換え費用60万円
毎月返済額:77,529円
5年後の金利が2.30%に上昇した場合の毎月返済額:96,524円
5年毎に0.5%ずつ金利が上昇した場合の総返済額(借り換え費用込):36,572,755円
住宅ローンの借り換えは、下調べ、手続き、場合によっては給与振込口座の変更など面倒なことも多く、なかなか踏み切れない方もいらっしゃるかと思います。しかし、より良い条件での借り換えができれば数百万円もの差が出ることもあります。これは日々の節約ではなかなか生み出せる金額ではありません。
過去最低水準といわれる低金利の住宅ローン商品を賢く比較して、住宅ローンの借り換えを検討してみてはいかがでしょうか。