第509回
住宅ローン減税、確定申告の手続き方法は?
- 消費税の増税前にマンションを購入しようと思っています。今年中に購入した場合、どれくらいの減税効果があるのでしょうか?また、税金の還付を受けるには確定申告が必要だと聞きましたが、どんな書類が必要で、どんな手続きをすればいいでしょうか?(東京都 Mさん 会社員 30代)
- 住宅ローン減税は、年末における住宅ローン残高の1%を限度に受けることができますが、控除を受けるためには確定申告が必要です。必要な書類を揃えるだけでも手間取ることもありますので、余裕を持って準備しましょう。
住宅ローン減税を受けるには確定申告が必要
今年も確定申告の時期になりました。昨年、住宅を購入した人や改築を行った人で住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を受けようとする人は、税務署への確定申告(還付申告)が必要です。
平成25年度税制改正大綱では、来年4月以降の住宅ローン減税が現在の倍となる最大400万円(長期優良住宅等は500万円)になることが盛り込まれました。一方で、消費税が8%に増税されますので、増税前に住宅購入しようとする人も増えそうです。
【参考リンク】
今年中にマンションを購入予定のMさんについては、今年ではなく、来年の確定申告となりますので、まだ先の話になりますが、どのくらいの控除が受けられるか見てみましょう。Mさんの状況は以下の通りです。
- ・Mさんの年収700万円
- ・専業主婦の妻と小学3年生の子どもが1人
- ・購入予定のマンションは3800万円(認定長期優良住宅ではない)
- ・2013年中に居住
- ・住宅ローンは3000万円で組む予定
以上の条件を踏まえると、来年3月まで購入分の住宅ローン減税の限度額は1年間で20万円ですので、今年の年末のローン残高が2000万以上でも、所得税が約25万円のMさんが受けられる住宅ローン減税は20万円です。年収だけでなく、扶養している家族や配偶者の所得、その他の控除によって所得税額は変わります。ローン残高が多くても、所得税額が少ない方は、限度額いっぱいの控除が受けられるわけではないことに注意しましょう。もちろん、「住宅ローン減税をたくさん受けるため」に、住宅ローンの借入額を増やすことはしてはいけません。
年収 | 給与所得 | 社会保険料 | 所得税額 |
---|---|---|---|
500 | 346 | 67.4 | 10.7 |
600 | 426 | 82.3 | 17.4 |
700 | 510 | 97.1 | 25.1 |
800 | 600 | 105.9 | 41.7 |
(国税庁・社会保険庁ホームページ等を参考に筆者作成)
※夫30代、妻30代の専業主婦、子供は小学生1人の設定。社会保険料控除以外の控除無しとした場合の概算額。(平成25年3月時の社会保険料率において計算)
住宅ローン減税を確定申告するために必要な書類は?
自営業者はともかく、普段、税金を給料から源泉徴収されている会社員にとっては、確定申告のハードルは高く感じられるかもしれません。ですが、税金のことを勉強できる良い機会ですし、わからないことは税務署等の申告会場で係員に聞きながら作成することもできますので心配はいりません。必要となる主な書類は、給与所得の源泉徴収票の原本、住民票の写し、借入金の残高証明書、売買契約書のコピー、土地、建物の登記事項証明書等です。取得する住宅が新築なのか、中古なのか、また敷地の取得の有無等によって必要な書類が異なりますので、詳しくは国税庁のホームページで確認の上、漏れの無いように準備し、しっかりと保管しておきましょう。また、同ホームページの確定申告書作成コーナーでは、順を追って申告書を作成することもできます。計算は自動で行われ、印刷をすれば申告書として提出することもできますので、利用してみても良いでしょう。
会社員の場合は、2回目以降は会社で行う年末調整で手続きができますので申告は不要ですが、自営業者は控除を受けようとする期間、毎年申告が必要です。また、所得税で控除しきれなかった分は住民税で控除することができますが(限度額あり)、所得税の申告を行えば自動的に行われますので、特別な手続きは不要です。
減税で戻ってきたお金の使い道で気を付けること
2014年3月までの入居で、10年間で最大200万円(認定長期優良住宅等は300万円)が戻ってくる住宅ローン減税。固定資産税の支払いに充てたり、生活費の補てんに使ってしまったりすると、ローン減税が終わった後に苦しい思いをすることになります。減税分はなるべく使わずに貯蓄しておいて、繰り上げ返済に回すとその後のローン返済がラクになります。また、10年後というと、水周りをはじめ、専有部分にも補修を必要とする部分が出てきてもおかしくはない頃ですので、家の修繕費に充てるのも良いかもしれません。いずれにしても、減税で戻ってきたお金は、住宅関連の費用として有効に活用しましょう。