第339回

安心マイホームを購入できる法律がスタート!

近々、念願のマイホームを購入するつもりです。資金的な準備はできたのですが、万が一欠陥住宅だった場合のことを考えると心配です。数年前にも耐震性に問題があり、購入者に大きな負担がかかったと記憶しております。その後、なんらかの対策は打たれているのでしょうか? (Wさん 35歳 会社員)
2009年10月1日から「住宅瑕疵(かし)担保履行法」がスタート! 万が一マイホームに欠陥があった場合、業者が倒産しても修復費用が確保されるようになりました。また、住宅に関する相談に専門家が答えてくれる機関もあります。

マイホーム購入者が泣き寝入りしなくてすむ法律

マイホームは「一生に一度の」や「夢の」「念願の」と表現され、大きな楽しみが得られるイベントです。 しかし、一方で数年前にも問題となったように、欠陥住宅のトラブルに巻き込まれている人も多かったのです。

建築業という専門家集団に任せているはずですから、本来であれば問題が起きたら、その業者が対応すべきです。 しかし、これまでは業者の倒産などによって、私たち消費者のマイホームが守られていませんでした。

そこで、2009年10月1日から「住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行を確保等に関する法律)」が施行されました。 この法律のおかげで、マイホームに欠陥があったときに業者が倒産などしても、欠陥の修復費用は確保されます。 つまり、万が一欠陥住宅であった場合も、私たち消費者は金銭的に守られるようになったわけです。

私たち消費者を守ってくれる2つの制度とその違い

この法律では、修復費用を確保するための方法として2つの制度が設けられています。 ひとつが「保険への加入」でもうひとつが「保証金の供託」です。 どちらを選択するのかは業者にまかされています。

万が一マイホームに問題が起きても、業者が倒産などで修復できないときは、保険の場合は指定の保険法人に保険金の支払いを請求し、 修復費用を確保します。また、供託の場合は供託所に補修費用の還付を請求することになります。 対応方法は異なりますが、どちらも安心が確保される制度になっています。

<保険の加入と保証金の供託の違い>
  保険の加入 保証金の供託
誰が払う? 業者
※住宅価格に含められる可能性あり
業者
どれくらい払う? 一戸あたり7~8万円前後 一戸の場合2,000万円
どこに払う? 国土交通大臣から指定を受けた「住宅瑕疵担保責任保険法人」 法務局等の供託所
どんなときに保証される? 柱や基礎、外壁、屋根などに欠陥が見つかったとき
どんな費用が払われる? 欠陥を補修する費用のほか、補修のための調査費用や工事期間中の仮住まいの費用、引越し費用など
トラブルになりそうなときは? ・「住宅紛争処理支援センター」にて相談が受けられる
※欠陥に関するトラブルだけでなく、工事代金や工期なども対象
・保険加入の場合は、申請手数料1万円で紛争処理制度(あっせん、調停、仲裁)が利用できる

私たち消費者がしておくべきこと

この法律ができたことによって、2009年10月1日以降に引渡しを受けるすべての「新築住宅」について業者は、 保険に加入するか保証金の供託のどちらかをしなければいけなくなりました。

そこで私たち消費者がしておくべきことは、この法律にのっとって業者が対応しているかどうかを確認することです。 まずは売買契約や請負契約を結ぶときに、どちらの制度を利用する予定なのか確認しましょう。 契約時にその内容の説明と書面への記載が業者に課せられていますので、しっかりと確認したいものです。

また、引渡しのときにも最終確認として、保険であれば契約を証する書面の交付を受けたり、供託金であれば供託した証明を受け取るようにしましょう。

法律ができたからと安心せずに、その法律が守られているかということを厳しい目でチェックしていきましょう。 大事なマイホームですから、「聞きにくい」とか「よくわからない」などと放置するのではなく、しっかり自分でも確認し、 自己責任のもと大切な我が家を手に入れてくださいね。

私が書きました

中森 順子 (なかもり じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー。

プログラマー・SEを経験後、結婚を機に税理士事務所へ転職。企業の税務・社会保障・融資のサポートなど幅広く経験。個人のお金に関する相談が増えたことから、FP資格を取得。10年勤務後、個人の家計サポートに集中すべく、2003年に独立。住宅購入や資産運用、保険見直しなど、自分自身の経験も交え、執筆・セミナー・相談と幅広く活動中。家計診断は500件以上の実績あり。

※執筆日:2009年10月22日