第211回
公庫から機構へ。更に充実『フラット35』
- 住宅購入を考えています。金利上昇に備えて固定金利のローンがよいと思うのですが、公庫は廃止とか。公庫のローンはもう利用できないのですか?(神奈川県 S)
- 4月から住宅金融公庫は「住宅金融支援機構」に。民間金融機関と提携して長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の提供などを行っています。
住宅金融公庫から「住宅金融支援機構」に
この春(平成19年4月)から、「住宅金融公庫(以下、公庫)」は、独立行政法人である「住宅金融支援機構」になりました。公的サービスとして住宅ローンを提供してきた住宅金融公庫から、民間金融機関が住宅ローンを提供する際の支援を行ったり、民間金融機関では扱いにくい融資業務などを行ったりする「住宅金融支援機構」として生まれ変わったのです。したがって、今までの「公庫ローン」は使えなくなりました。代わりに、住宅取得支援機構は、民間金融機関による長期・固定金利の住宅ローン「フラット35」の供給を支援する証券化支援業務を中心に行っています。そのほかに、民間では実施が困難な災害関連、都市居住再生、高齢者・子育て世帯向け賃貸住宅などの融資業務や団体信用生命保険に関する業務、住宅関連の情報提供などを行っています。
(なお、現在返済中の旧住宅金融公庫の住宅ローンの返済条件などに変更はありません)。
「フラット35」とは
公庫ローンに代わって、長期固定の住宅ローンの選択肢となった「フラット35」の商品内容をみてみましょう。
フラット35は、民間金融機関等が販売した住宅ローンを住宅金融支援機構が買い取り、そのローンを複数まとめて証券化し、機関投資家などに買ってもらって資金調達を行う、証券化ローン。最近は、「フラット35(保証型)※」も発売されています。
※保証型・・・民間金融機関等が販売した住宅ローンについて、利用者の返済が遅れたりした場合などに金融機関に対して保険金を支払う住宅融資保険(保証型用)を引き受けたり、フラット35(保証型)(その信託の受益権を含む。)を担保として発行される債券等に係る債務の支払の保証を行う。金利や有し手数料、繰上返済手数料などは金融機関によって異なる。
「フラット35」の申込みは各民間金融機関で行います。その商品性は「フラット35」であればほぼ同様ですが、金利や融資手数料は金融機関・商品ごとに異なります。
<フラット35の共通する商品内容・特徴>
フラット35の特徴の第一は、最長35年の長期固定金利商品であること。優良住宅などなら、金利優遇されることもあります。また、4月から(一部金融機関では3月から)融資限度額が物件価格の9割まで(以前は8割)までとなり、より使いやすくなりました。そのほか、内容や特徴は以下のようになります。
- 長期固定金利(最長35年)
適用金利は、申込時点ではなく融資実行時の金利 - 保証料0円、繰上返済手数料0円、返済条件変更手数料0円
- 住宅支援機構独自の審査を行うことで、住宅の質を確保
物件検査は検査機関または適合証明技術者(中古住宅のみ)が行い、交付される「適合証明書」を申し込み時に提出します。物件検査手数料は、検査機関や地域、一戸建てかマンションかによって異なります(市街地に建設される一戸建て住宅の平均的な手数料(新築の場合)はおおむね2~3万円台)。 - 最高8,000万円、建設費・購入価格の90%までの借り入れが可能
- 融資対象となる土地、建物に住宅金融支援機構が第一順位の抵当権を登記する
- 借り換えでの利用は不可
- 優良住宅の場合などは、期間限定でさらに金利が優遇されることもある。
【フラット35】S(優良住宅取得支援制度)・・・【フラット35】の申込をして、省エネルギー、耐震などの要件を満たす住宅を取得する場合に、当初5年間の融資金利に0.3%の優遇を受けられる制度。
第1回の受付期間は、平成19年4月23日(月)~ 平成19年7月31日(火)。
フラット35を比較してみると
一方、「フラット35」の金利や融資手数料は金融機関・商品ごとに異なり、金融機関独自のキャンペーンが行われる場合もあります。イー・ローンのサイトでご紹介しているSBIモーゲージ、楽天モーゲージ、ジェイ・モーゲージバンクの「フラット35」の内容をチェックしてみましょう。
SBIモーゲージ 「フラット35」 |
楽天モーゲージ 「楽天モーゲージフラット35」 |
ジェイ・モーゲージバンク 「JMBフラット35」 (A・B・Cの3タイプあり) | |
---|---|---|---|
金利(年) | 2.761% | 2.761% | A:2.761% B:2.96% C:2.91% |
融資手数料 | 融資額の2.1%(消費税込)最低事務手数料額10.5万円 | 融資額の0.95%(税込) | A:融資額の2.1% B:一律52,500円 C:一律105,000円 |
キャンペーン等 | 事務手数料を融資額×1.785%に。2007/4/2~6/29 | Aタイプ:ネット申込の場合は事務手数料を融資額×1.7%に。 |
※2007年4月11日時点
融資手数料は、「融資額の○%」というタイプと「一律○万円」の定額タイプがあります。借入額にもよりますが、「融資額の○%」というタイプのほうが事務手数料は高額(融資額によっては数十万円)になる一方、金利は低く抑えられています。フラット35のコスト(ここでは金利+事務手数料)を、ジェイ・モーゲージのフラット35を例に試算してみましょう。
金利 | 手数料 | 2,000万円を 35年返済 | 2,000万円を 20年返済 | 1,000万円を 20年返済 | |
---|---|---|---|---|---|
Aタイプ | 2.761% | 融資額の2.1% | 11,637,482円 | 6,470,068円 | 3,235,034円 |
Bタイプ | 2.96% | 一律52,500円 | 12,192,691円 | 6,577,173円 | 3,314,836円 |
Cタイプ | 2.91% | 一律105,000円 | 12,011,984円 | 6,509,947円 | 3,307,473円 |
※毎月返済のみ(ボーナス返済なし)、元利金等返済で試算
※2007年4月11日時点
今回の設定では、低金利で手数料は「融資額の○%」のAタイプが最も低コストという結果でした。ただし、「融資額の○%」のタイプは、借入時に数十万円の手数料を払わなければなりません。自己資金に余裕がなければ、手数料一律タイプを選んで当初の経費負担を軽くしたほうがよい場合もあるでしょう。フラット35を選ぶ際には、シミュレーションが欠かせません。イー・ローンのサイトでもシミュレーションのページがありますし、住宅金融支援機構のフラット35の金利情報のページでは、総返済額(金利+融資手数料)での検索もできます。うまく活用して、目先の金利や手数料の数字に惑わされず、自分にとってオトクなものを総合的に判断するようにしたいですね。
また、ローンの商品内容、借入条件の詳細は、各金融機関にご確認ください。
→ ローンシミュレーション
なお、民間金融機関独自の20年、30年といった長期固定の住宅ローンのラインナップも増えているので、フラット35と合わせてご検討を。イー・ローンのサイトでは、金利のタイプや返済期間などさまざまな条件によって、住宅ローンを検索することができます。 (→ イー・ローン 住宅ローン)