第206回

金利タイプ変更か借換えのどちらがいい?

金利上昇待ったなし!金利タイプ変更か借換えのどちらがいい? 住宅ローンを2年固定で借りていますが、金利が変わる時期が迫り、冷や冷やしています。今後も金利優遇は-0.4%ありますが、今のローンで10年固定などを選ぶのと、借換えをするのとどちらがいいでしょうか?(Oさん会社員)

2月の金融政策決定会合で政策金利の引き上げが決まり、住宅ローンは、3月1日現在、多くの金融機関で2年固定タイプから20年固定タイプを中心に0.1%~0.2%引き上げられています。金融機関は、既に2月1日からも金利を上げ始めているので、この2ヶ月で店頭表示の金利が0.25%も上がった金融機関もあります。
Oさんは、ちょうどご自身の金利切り替え期を目前にし、今後は、少しでも安心して構えていられるよう、今のローンの優遇金利 -0.4%を利用しながら10年固定を選ぶか、あるいは借換えをすべきか悩んでいるご様子。今現在の残高は3,030万円、残りの返済期間が30年と(ボーナス返済なし)のことなので、以下、実際に試算をして検証してみましょう(以下の返済額や合計額は、概算です)。

金利優遇があっても実際の金利負担はかなり上がっている!

まず、今のローンのまま、固定金利期間10年タイプを選んだ場合、店頭金利は既に4.0%前後に上がっている金融機関がほとんどです。よって店頭金利4.0%の場合、-0.4%の金利優遇を受けられたとしても、10年間3.6%の金利が適用されることになります。その場合の返済内容は以下のとおりです。

  • 今後10年間の毎月返済額は137,758円。
  • もし、今後30年間の金利が同じ金利水準だったと仮定すると、今後の返済額合計は3,030万円の借入残高に対して約4,959万円。

ただし、実際は30年間もの長期の返済になるので、金利動向は非常に不確定な要素で、低金利から脱した現状から考えると、更に金利が上がる可能性もあると思っておいたほうがいいでしょう。

30年固定の住宅ローンに借換えをすると?

一方、現時点で長期間固定金利の住宅ローンの中で、キャンペーンで比較的低い金利が提供されている商品もあります。例えば、SBIモーゲージのマイホームローンは借換えを対象とし、期間30年の場合は固定金利で2.9%となっています。この内容で試算すると、

  • 毎月返済額は126,118円。
  • 残りの返済期間30年分の金利が固定なので、返済額合計も確定し、4,540万2,366円。
  • 借換え時には保証料はかからず、事務手数料4.2%と、登記費用や税金などを含めて30年間の合計支払額は約4,691万円。

Oさんのようにまだ長期間返済していく場合、今のローンのまま、比較的薄い金利優遇で10年固定タイプなどを選ぶよりも、今、金利3%前後でも長期固定金利を確保したほうが安心でき、かつ上記の試算のように最低でも10年間の毎月返済額が抑えられる例が多くあります。
また、手元資金を残すために、借換えの諸費用分の負担を避けたい場合、その分を上乗せして住宅ローンの借換えをすることも可能です。上記の例で、150万円上乗せし、3,150万円の借入にした場合でも

  • 毎月返済額は132,361円
  • 今後30年間の総負担額は約4,765万円

となり、借換えのメリットは十分にあるといえるでしょう。

その他にも、長期間固定金利のローンを扱っている金融機関は、ソニー銀行、三井住友銀行、中央三井信託銀行などがあり、イー・ローンのサイトには、住宅ローンのさまざまな金利タイプの一覧と、住宅ローンシミュレーションコーナーが充実しています。
金利に動きがある今の時期は、長期的な安心感と効率的な返済をできるよう、ひと手間かけてシミュレーションをしながら、しっかり検討することが必要だと思います。

私が書きました

吹田 朝子 (すいた ともこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、企業福祉管理士。

1989年一橋大学卒業後、生命保険会社に入社し、企画・予算管理を経て1994年に独立。TV「発掘!あるある大事典」「株式ワイドオープニングベル」などにも出演。「ステキなマネープランニング(ハルアンドアーク出版)」など著書多数。相談業務、セミナーなどでも活動中。

※執筆日:2007年03月02日