第1125回NEW

「【フラット35】子育てプラス」開始から1年間の利用状況は?

マイホーム購入に向けて貯蓄をしながら情報を収集している最中です。子育て世帯が金利優遇を受けられる【フラット35】子育てプラスという制度があるようですが、実際に利用している人はどれくらいいるのでしょうか。内容や注意点も合わせて教えてください。(会社員 36歳)
子育て世帯または若年夫婦世帯を対象にした住宅ローン金利の優遇制度である「【フラット35】子育てプラス」の開始から1年が経過しました。住宅金融支援機構の調べによると、【フラット35】利用者のうち約63%が子育てプラスを利用しており、子育て世帯の住宅取得を後押ししています。住宅ローンの魅力的な選択肢のひとつとして制度をしっかりと理解しておきましょう。
芝生に座る家族

【フラット35】子育てプラスの利用状況

【フラット35】子育てプラスは、子育て世帯または若年夫婦世帯を対象に、住宅ローンの借入金利を一定期間引下げる制度です。対象となるのは、借入申込時に18歳未満の子どもがいる世帯と、借入申込時に夫婦のいずれかが40歳未満である世帯です。子どもの人数に応じてポイントが加算され、1ポイントにつき5年間、年0.25%、最大で年1%の金利が引下げられます。5ポイント以上の場合は、次の5年間にポイントを繰り越すことができます。

「子ども」には孫や胎児も含まれます。孫は債務者と同居している必要がありますが、子は別居でも構いません。また、夫婦には法律婚の他、同性パートナーおよび事実婚を含み、幅広い世帯が対象となっています。さらに【フラット35】子育てプラスは「住宅性能」「維持保全」「地域連携」による金利引下げと併用することが可能です。

住宅金融支援機構の調べによると、制度開始から2025年2月末までの【フラット35】全体の融資実行件数のうち、「子育てプラス」の利用件数は約63%を占めました。また、【フラット35】を選択した理由について、22.3%の人が「子どもの人数に応じた金利引下げ」を挙げており、子育て世帯にとって魅力的な選択肢の一つになっていることがうかがえます。

どれくらいお得になる?

では、【フラット35】子育てプラスを利用するとどれくらいお得になるのでしょうか。

借入額3,000万円、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.94%の例で、通常の【フラット35】、子どもが2人いる場合(2ポイント)、子育てプラスに加えて住宅性能などの条件を満たすことで金利引下げポイントが5ポイントになる場合を比較してみましょう。

子どもが2人いる場合は当初5年間の金利が0.5%引下げられ1.44%になります。これにより約80万円もの利息負担額を軽減させることができます。金利引下げポイントが5ポイントの場合、当初5年間は金利が1%引下げられて0.94%に、6〜10年目は0.25%引下げられて1.69%に、11年目以降は1.94%になります。これによる利息軽減効果は190万円にものぼります。

図表 子育てプラス等による金利引下げ効果の比較

  通常の【フラット35】 金利引下げポイント
2ポイントの場合
金利引下げポイント
5ポイントの場合
借入金利 1.94% 当初5年間 1.44%
6年目以降 1.94%
当初5年間 0.94%
6〜10年目 1.69%
11年目〜 1.94% 
毎月返済額 98,457円 当初5年間 90,976円
6年目以降 97,456円
当初5年間 83,849円
6〜10年目 93,162円
11年目〜 95,899円
返済総額 41,351,981円 40,542,560円 39,390,516円
利息総額 11,351,981円 10,542,560円 9,390,516円
フラット35との比較 ▲809,421円 ▲1,961,465円

筆者作成

【フラット35】子育てプラスの注意点

子育て世帯や若年世帯にとってはとてもありがたい制度ですが、金利引下げ期間終了後は金利が上がり、毎月返済額が増える点を理解した上で利用を検討しましょう。【フラット35】の金利引下げ期間終了後の金利は、融資実行月の金利引下げ制度を適用していない金利(上記シミュレーションでは1.94%)になります。

また、【フラット35】子育てプラスも含め、その他の金利優遇制度の多くには予算金額があり、予算金額に達する見込みとなった場合は受付が終了する点にも注意が必要です。

【参考リンク】

私が書きました

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宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2025年04月03日