第1021回
固定金利選択型の住宅ローンが適している人の特徴は?
- マンションの購入を決め、これから住宅ローン選びを本格化しようと思っています。さまざまな金利タイプの中で、どれにしようかと考えていますが、固定金利選択型はどのような人に適しているのでしょうか。(千葉県 会社員 男性33歳)
- 固定金利選択型は、借入当初から一定期間、金利変動による返済額のアップを避けたい人に適している金利タイプです。金利が固定される期間を選択できるため、自分の将来の家計状況に合ったものを選ぶとよいでしょう。
「固定金利選択型」は、一定期間、金利が固定される金利タイプ
住宅ローンの金利タイプには「変動金利型」「全期間固定金利型」「固定金利選択型」の3種類があります。
変動金利型は半年に1度金利が見直されるタイプで、3種類の中では最も金利が低く設定されます。その代わりに、市場金利が変動すると、住宅ローンの金利も変動します。そのため市場金利が上がると、毎月の返済額等が増えて家計を圧迫し、他のライフイベントの実現に影響を及ぼす可能性があります。なお、変動金利型には、金利が上昇しても返済額は5年間据え置かれ、増額される場合も1.25倍までとする激変緩和措置があります。しかしトータルでは支払利息額が増えて、返済負担が重くなることに変わりはありません。
全期間固定金利型は、借入当初に決まった金利が返済終了まで固定されるタイプで、3種類の中では、最も金利が高く設定されます。その代わり、返済中に市場金利が変動しても、住宅ローンの金利は変わらず、毎月の返済額も変わりません。そのため、家計管理がしやすく返済計画も立てやすい特徴があります。なお、返済中に市場金利が下落した場合は、他の金融機関の住宅ローンへの借り換えを行うことで、返済負担を軽減できる場合があります。
固定金利選択型は、借入当初から一定期間の金利が固定されるタイプです。金利水準は、変動金利型と全期間固定金利型の中間です。金融機関によって異なるものの「3年固定」「5年固定」「7年固定」「10年固定」「15年固定」「20年固定」など、複数の固定金利期間から選べるようになっています。金利は、固定金利期間が長いものほど高く設定される傾向があります。
固定金利期間が終了したあとは、一般的には変動金利型になりますが、あらためて、固定金利選択型を選ぶこともできるようにもなっています。ただし、固定金利期間が終了したあとの金利は、その時の市場金利に応じて見直されます。
金利上昇リスクを避けたい期間に合わせて固定金利期間を選ぶ!
固定金利選択型の活用する場合は、「今後、家計を運営していく上で、金利上昇による返済負担増を避けたい期間は何年程度か?」を見極めることがポイントになります。
たとえば、子供が小さくて、産休や時短勤務で今後5年程度は収入が少なくなるが、それ以降はフルタイム勤務に戻り、収入が増えて家計にゆとりが生まれそうな場合は、「5年固定」を選んではいかがでしょうか。5年経過後の返済額が金利上昇によって増えても、収入増によって家計にゆとりができれば、負担は軽減されます。
また、定年までの期間に近い固定金利期間を選択する方法もあります。たとえば、40歳時に住宅ローンを借り入れて、返済期間を35年とし、60歳の定年までは家計にゆとりがなさそうなので、金利上昇リスクを避けて「20年固定」を選択する方法です。20年経過後に金利が上昇していた場合でも、定年時の退職金でその時のローン残高の全部、あるいは一部を繰上返済すれば、固定期間終了後の返済負担は大きくなりません。
なお、固定金利選択型も金利変動リスクがあるため、家計にゆとりがあるなら、他のライフイベントの実現に大きな影響を与えない範囲で、積極的に繰上返済を行いたいものです。
住宅は、価格が高いだけに住宅ローンの返済負担も大きくなります。できるだけ負担を軽減するためには、将来のライフプラン、マネープランをしっかりと立てて、収支や貯蓄額の推移についてさまざまなシミュレーションを行った上で、適切な金融機関や金利タイプ、固定金利選択額の固定金利期間などを選ぶようにしましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2023年03月31日