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第76回

住宅ローンで叶った北欧×ミッドセンチュリーな家。低コストでできました。

兵庫県にお住まいの山本さん(仮名)ご夫婦は、住宅ローンを使って「北欧×ミッドセンチュリー」をテーマにした注文住宅を建設。コツコツ買い揃えた北欧家具やミッドセンチュリー家具に合わせてデザインしたことで、調和のとれた居住空間をつくりあげました。

オーナーさんデータ
兵庫県 山本さんご一家(仮名)
家族構成:
夫・隆さん(32歳・会社員)妻・育美さん(32歳・会社員)
建設時の世帯年収:
400~500万円
購入した住宅:
株式会社アレッタ・注文住宅(3LDK、土地面積約140m2、建物面積約102m2
購入価格:
3,600万円(建物2,600万円、土地1,000万円)
利用ローン:
ARUHI「フラット35S・金利Aプラン・団信不加入型」
金利タイプ:
固定金利型
金利:
0.78%(2018年4月実行)
ローン借入金額:
3,600万円
借入期間:
35年
毎月の返済額:
約9万円

山本さんご夫妻が家を建てたきっかけの一つは、妻の育美さんがインテリアや家具が大好きで、主に北欧やアメリカのミッドセンチュリー家具をコツコツ集めていたことです。
育美
このヴィンテージ家具たちに囲まれているだけでも幸せだったのですが、賃貸住宅だとコーディネートに限界があります。できれば、それを自由にコーディネートできる場所が欲しいと考えていました。
また、賃貸住宅の家賃が高い地域に住んでいて、払い続けるのはもったいないとも感じていました。住宅ローンを60~65歳の退職時までに返すとなると、できるだけ早く家づくりを始めたほうがいいと夫婦で話し合い、家を建てることにしました。
家を建てるとなると、夢はどんどんふくらんでいきました。
育美
基本テーマは「北欧×ミッドセンチュリー」ですが、持っている家具に合わせて部屋ごとにテイストを変えたいと考えました。リビングダイニングは北欧×ミッドセンチュリーだけど、客間はアンティーク風、バスルームはホテルライクなモノトーンでまとめるといった具合です。持っている家具に合わせてコーディネートしていき、それに合わせて壁の色や建具などを決めようと考えました。
加えて、自然素材もふんだんに使いたい。珪藻土の壁や無垢の床、無垢のドアといった、使ううちに経年変化で味が出るものがいいと考えました。また、高断熱高気密で快適なのはもちろん、建て直しをせず自分で直しながら長持ちさせられる家がいい。
10件以上のハウスメーカーや工務店をまわり、そうした理想を叶えてくれる工務店を探し出しました。

ロンドンのアパートをイメージした外観

ただ、理想を追求するばかりでは、コストもふくらみ予算を簡単にオーバーしてしまいます。そこで、山本さん夫婦は、家づくりを開始する前にとことん話し合ったそうです。
育美
まずはライフプランを考えることからはじめました。コストを抑えながらやりたいことを実現するには、「今後の人生で、どんな生活をし、何を優先するか」をハッキリさせることが必要だからです。それを明確にした上で、現在、収入と支出がいくらあるかすべて洗い出し、そのうちのいくらを家に充てるべきかを考えました。ちなみに我が家では、家ができてからも定期的にライフプランニングを行なっています。
また、家を作る上で何を重視するか、優先順位をつけました。家づくりをしているときは舞い上がって「あれもこれも」という心境になります。予算オーバーに陥り、あとで困らないためには、「本当に必要か?」を冷静に判断することが必要です。そこで、紙とペンを使って、実現したいことのメリット・デメリットを書き出し、取捨選択。本当にしたいことにお金をかけ、それ以外は徹底して削ろうと考えました。
たとえば、高気密・高断熱という性能部分と、珪藻土や無垢材といった素材選びは絶対に外せない部分だったので、ここはお金をかけました。一方で、当初検討していた海外製の食洗機やビルトインのオーブンはあきらめました。あるに越したことはありませんが、他のものと比べると優先順位は低かったからです。そうして予算を浮かせた分は、実現したかった海外スタイルのバスルームに充てました。

リビングダイニング。青色のデイベッドはデンマークを代表する家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーのGE258

「本当に必要なものは何か?」を熟慮して決めたことで、コストを抑えながら、快適で後悔のない家ができあがったそうです。
育美
まずは、なんといっても居心地が良いですね。大好きなヴィンテージ家具が存分に生きる環境ができあがったことに加えて、家の性能によって、想像以上に過ごしやすい空間になりました。高断熱高気密の家は、魔法瓶のような家で、一旦温まったり涼しくなったりすると、それが持続します。また、珪藻土の壁は梅雨の時期でもカラッとしていますね。さらに、家の性能が高く、オール電化にしたことで、光熱費が賃貸時の半分以下になりました。

リビングの床には無垢材を用いた。奥のサイドボードは、北欧家具の影響が見られる、イギリスのG-PLAN社製

ダイニングのテーブルは、デンマークの巨匠、カイ・クリスチャンセンのエクステンションダイニングテーブル

開放感のあるテラス。アクセントのいすは、プラスチックチェアの先駆けとなった、ヴェルナー・パントンのパントンチェア

育美
まだ家を建てて1年半ぐらいですが、今後は、家と家具を自分の手で直しながら、暮らしながら成長していくことが楽しみです。珪藻土の壁は汚れても自分で直せますし、床に傷がついても、むしろそれは味となっていきます。家具に関しても、私は以前家具のリペアの仕事をしていたので、自分で直すのが苦ではありません。そうやって年を一緒に重ねて変化していくことができるのが嬉しいですね。

海外の高級ホテルにいるような錯覚を覚えるバスルーム

洗面所。職人が一つひとつ手で貼ったサブウェイタイルがお気に入り

インダストリアルなキッチン

寝室は、落ち着きのあるアンティークな雰囲気

ローン借入額は3,600万円。ARUHIの「フラット35S・金利Aプラン・団信不加入型」を選びました。
育美
初めは変動金利型のローンも検討したのですが、夫が転職してまもなく、勤続年数が短かかったため、変動金利は厳しい状況でした。ただ、省エネ住宅だったことで、当初10年間金利が下がる「フラット35S・金利Aプラン」を借りられた上、団体信用保険に加入しないプランを選んだので、変動金利型にも負けないほど、金利を低く抑えられました。団信に関しては、年齢が若かったので、別途生命保険に入った方が低コストだと判断し、入りませんでした。
結びに、北欧×ミッドセンチュリーの注文住宅の購入を検討している人へのメッセージを伺いました。
育美
北欧やミッドセンチュリーのヴィンテージ家具はものづくりが最も熱い時代の家具です。モダンでありながら温かみがある空間ができ、使い勝手も良いのですが、安くはないので一度に揃えるのは大変です。無理なく心地よい空間をつくるには、一度に買わずに少しずつお気に入りを揃えていくこと。すると、空間を作る一つ一つの家具や小物に無駄なものが一切なく、すべてが大切に愛おしく思えます。また、長い間使っていくという意識を持つこと。壊れても直して使うことで、他にない家の雰囲気が生み出されていきます。北欧×ミッドセンチュリーの空間を作る場合は、そういった「こだわり」を大事にしてください。
ライターからのコメント。

ライフプランをしっかりと考えたり、優先順位を決めて出費にメリハリをつけたりすれば、価格を抑えながら、北欧のモデルハウスのような素敵なお宅ができるのですね!
山本さんが借りた固定金利型の「フラット35」は、さまざまな金融機関で借りられますが、金融機関によって金利が異なる上、種類も異なります。たとえば、「フラット35S」は、省エネルギー性や耐震性に応じて最大10年間金利が下がりますし、新たに登場した「保証型」は扱っている金融機関が6つと少ないですが、従来のものに比べて、さらに低金利で借りられます。どの金融機関で借りれば最も良い条件になるか、しっかり見極めることをおすすめします。

※今回ご協力いただいた山本さんのブログ「My Midcentury Scandinavian home ~北欧ミッドセンチュリーの家~」のURLは https://www.mashley1203.com/

文/杉山直隆、企画/カデナクリエイト、編集/イー・ローン