カードローン

マイカーローン

住宅ローン

おまとめローン

ビジネスローン

教育ローン

不動産担保ローン

フリーローン

リフォームローン

その他のローン

第995回

フラット35の団信加入が任意(原則加入)なのはなぜ?

住宅ローンを検討中です。フラット35は団体信用生命保険(団信)を外すと金利が下がるので、返済額を抑えるために団信未加入で利用しようかと考えていますが、何か問題はあるでしょうか。(Rさん 会社員、31歳)
フラット35の団信は「原則加入」となっていて、加入しなくても利用することができます。ただし、団信に加入しない場合は、ご自身に「もしも」のことがあると、ご家族が住宅ローン残債を返済しなければならないことを理解しておく必要があります。

団信とは?一般の住宅ローンでは加入が必須

住宅ローンを利用する際、多くの場合、金融機関から団信への加入が求められます。団信とは、契約者=金融機関、被保険者=住宅ローン契約者、保険金受取人=金融機関として契約する団体保険で、住宅ローンの契約者が死亡・高度障害などに認定された場合、保険金で住宅ローンの残債が完済されます。そのため、ご家族に住宅ローンを残さずに、自宅を残してあげられるのが、団信加入の最大のメリットです。

ほとんどの住宅ローンでは加入が必須要件となっている団信ですが、多くは金融機関が保険料を負担しています(金利に含まれています)。

ちなみに、死亡・高度障害に備える団信は「普通団信」とも言われますが、この普通団信にさまざまな特約が付加されたタイプもあります。がん保障や、3大疾病保障、8大疾病就業不能保障、全疾病就業不能保障などの特約付き団信については、商品によって金利が上乗せされるものがあります(無料のものもあります)。

さらに、持病があって団信に加入することができない方のための、「ワイド団信(引受条件緩和型団信)」を扱う金融機関も増えました。なお、ワイド団信を利用する場合も金利は上乗せされます。

フラット35の団信が「原則加入」なのはなぜ?

一方、住宅金融支援機構が金融機関と提携して提供している全期間固定型のフラット35については、団信は「原則加入」とされ必須要件ではありません。健康上の理由やその他の事情によっては、団信に加入せずに利用することも可能です。

これは、住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫が、公的な住宅ローンとして、民間が貸しにくい、勤続年数が短い人や健康上の理由などで団信に加入できない方への貸し出しを行ってきた延長上にあるためと考えられます。

フラット35の団信には次の3種類があります。ワイド団信(引受基準緩和型団信)はありません。

  • 新機構団信
  • 新機構団信デュエット(夫婦連生団信) 
  • 新3大疾病付機構団信

2022年9月現在、フラット35の金利は、新機構団信を含む金利で表示することになっています。新機構団信デュエット(夫婦連生団信)の場合は新機構団信付きフラット35の金利+0.18%、新3大疾病付機構団信なら+0.24%です。

Rさんがおっしゃっていたように、この新機構団信を外せば、フラット35の金利から▲0.2%を差し引くことができます。

フラット35の団信
団信 新機構団信 新3大疾病付機構団信
加入条件 両方に該当する人(健康上の理由などで加入できない場合がある)
・満15歳以上満70歳未満
・保険会社の加入承諾がある
※デュエットの場合は2人とも
・満15歳以上満51歳未満
・保険会社の加入承諾がある
※過去にがんと診断された人は加入できない
デュエット 利用可 利用不可
保障開始 フラット35の資金受取日
保険により全額弁済されるケース ・死亡時
・傷害または疾病により、身体障害者福祉法に定める1級・2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けた
※デュエットの場合、夫婦のどちらかが死亡・所定の身体障害状態になったとき。故意により、もう一方の加入者が死亡・所定の身体障害状態になったときは弁済されない ・がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になったとき(上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がん、保障開始から90日以内にがんと診断確定された場合などは対象外)
・公的介護保険制度の要介護2~5と認定、または180日以上要介護状態が継続したと医師が診断確定したとき

(住宅金融支援機構サイトを参照し作成)

団信に加入せず住宅ローンを利用するリスク

健康上の理由ではなく、返済額を抑える目的で団信を付けずにフラット35を利用することのリスクについて考えてみましょう。団信に加入せずに住宅ローンを利用すると、契約者に万が一のことが起きた際、ご家族等に大きな経済的負担をかけることになります。

それを承知のうえで、団信を外して住宅ローンを契約しても問題ない方はかなり限られます。

  • 生命保険に手厚く加入していて、残債を相殺したうえで家族に必要な保障を残すことができる
  • 団信の代わりに、新たに収入保障保険などに加入する
  • 夫婦とも高収入で、住宅ローンが残っても経済的に負担ではない

Rさんが上記のいずれにも該当しなければ、やはり団信加入を検討すべきと考えます。住宅金融支援機構のサイトにも次のように記載されています。

「団信に加入していないお客さまに万一のことがあった場合、残されたご家族がフラット35のローン残債を返済する義務が発生します。健康上の理由以外の事情で団体信用生命保険に加入しないご予定の方は、ご家族と十分にご検討いただきますようお願いいたします」

ぜひ、ご家族と話し合ってみてください。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2022年09月27日