第932回
住宅ローンの選び方は、金利以外で何がポイントになる?
- 住宅ローン選びで悩んでいます。給与振込口座になっている銀行だと金利が高く、金利が低い銀行とは取引がありません。住宅ローンを借りると、さまざまな特典があるとも聞きます。どんな選び方をすればいいのでしょうか?(神奈川県 Mさん)
- 住宅ローンは、まずは金利で比較して、どの銀行がいいのか選ぶことになります。最近は疾病保障付きの団信に加入できるかも選択基準となる傾向があります。また、住宅ローンやクレジットカードを保有、預入残高によって、金利優遇やサービス内容が変わったりもします。金利だけではなく、自分にとってメリットがある住宅ローン選びをしましょう。
メインバンク1つに頼る時代ではなくなり、金融サービスの違いを比較検討すること
ひと昔前は、給与振込口座にしている銀行で、公共料金の引き落とし、定期預金、住宅ローンの借り入れとすべて完結する世帯がほとんどでした。しかし、現在では、ネット銀行が当たり前に使われるようになり、銀行サービスの変化や住宅ローンの多様化に伴い、複数の銀行と取引をするケースが多くなりました。
特に住宅ローンは、固定金利型か変動金利型かだけではなく、住宅ローンを借りる際に加入する団体信用生命保険(団信)のバリエーションが増え、がん特約付き団信や全疾病特約付き団信に加入できるかどうかも、住宅ローン選びのポイントになっています。
また、ローン事務手数料や保証料の扱いも銀行によって異なり、金利の高低だけではなく、複数の要素を加味して検討することで、自分にとってメリットの大きい住宅ローンを利用することができるようになっています。
取引内容で住宅ローン金利の優遇が決まるケースも
住宅ローンを借りる際、基準金利が示されていますが、ほとんどの場合、優遇金利の適用を受けています。たとえば、A銀行では、変動金利の基準金利が2.370%と表示されていても、実際の適用金利は0.520%と格段に低い金利に設定されています。
B銀行では適用金利が0.410~0.540%と幅を持たせた設定がされています。下限金利に近づけるには、取引条件次第となります。当該銀行発行のクレジットカードを申込む、定期預金などの預け入れがある、投資信託積み立て口座の開設をするといった複数の取引をすることで金利の優遇幅が異なります。
住宅ローン利用でATM時間外手数料や振込手数料が無料に
一方、住宅ローンを利用することで金利以外の優遇サービスを受けられるケースもあります。
一般的なケースでは、ポイントプログラム(各銀行で呼称は異なる)が用意されており、取引内容によって優遇サービスが受けられます。今回のような住宅ローンの利用や預入残高、公共料金の引き落とし、クレジットカードの利用など取引内容に応じてポイントが加算され、それによって、ATM時間外手数料や振込手数料が無料(月間一定回数のところもある)となるサービスを設けています。
特殊な例として、イオン銀行は住宅ローンの利用があれば、イオングループでの買い物が毎日5%オフという特典があります。
金利を比較して、同レベルであれば、こうしたサービスの違いを確認して、住宅ローンを選ぶといいでしょう。
ただし、給与振込口座になっていないと、取引のたびに振り込みや送金をしなくてはなりません。これでは面倒になるだけではなく、コストも余分にかかってしまい本末転倒です。住宅ローンを利用する金融機関に給与振込口座の変更ができるかどうか、勤務先に確認することが大事で、変更できない場合は、比較サイトで複数の金融機関の商品を比べ、0.1%でも金利が低い住宅ローンを選ぶというシンプルな選び方にするのがいいでしょう。またイー・ローンではネット銀行の他、地方銀行の住宅ローン商品も掲載されているため、様々な角度から幅広く比較ができます。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。
大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。
※執筆日:2021年07月06日