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第656回

新しい契約方法も登場!2016年の最新住宅ローン事情

そろそろ住宅購入を…と物件を探しつつ、住宅ローンについても情報を集めています。金利が低くて、手数料が安くて、手続きもしやすくて、病気の補償もあれば安心かも…と、あれもこれも気になってしまいます。最近の住宅ローンの注目点や選び方を教えてください。(千葉県 M)
住宅ローン情報を集めながら、だんだん自分や家族が求める条件をはっきりさせて、優先順位も考えていきましょう。条件が洗い出せたら、家計にも心理的にも、無理なく返済できるローンをピックアップしていきましょう。住宅ローン選びは、金利や手数料、手続き方法など比較検討すべきポイントが多くて迷ってしまいますね。最近の住宅ローンの状況をチェックしながら、ローンの選び方を考えていきましょう。

2016年1月住宅ローン金利は低下。金利タイプの選択は?

長期固定金利の住宅ローン【フラット35】の1月適用金利は1.54%と前月を0.01%下回りました (融資率9割以下、借入期間21年以上35年以下、取扱金融機関の提供する金利で最も多い金利) 。大手銀行の変動金利型も0.6%台前半~、ネット専業銀行などは0.5%台~と、超低金利の状況が継続しています。

住宅ローンは、低金利期には固定金利、高金利期には変動金利や短期固定金利で組むのが基本です。でも、この超低金利はまだ続くかも…と考えると金利の選択にも迷いますよね。いずれにしろ、住宅ローンの返済期間は数十年も続きますから、国内外の経済情勢の変化によって金利が上昇するリスクは必ず考えておかなければなりません。

「変動金利で借りておいて、金利が上がってきたら固定金利に切り替えればよい」と考えるのか、「多少金利が高めでも、はじめから長期固定金利で借りたほうが安心」と考えるのか。金利による返済額の違いは、下記の表のようになります。金利動向の確実な予想はできないので悩ましいところですが、「家計にも心理的にも、無理なく返済を続けられる」と思える金利タイプは何か、考えてみましょう。

借入額3,000万円、返済期間30年、元利均等返済の場合の返済額(単位:円)
  金利 0.6% 金利 1% 金利 1.54% 金利 2%
毎月返済額 91,079 96,492 104,113 110,886
総返済額 32,788,435 34,737,068 37,480,629 39,918,903

イー・ローン 住宅ローンシミュレーション より筆者試算

【フラット35】Sの優遇金利は1月29日申込受付分まで

長期固定金利タイプの利用を考えているなら、選択肢の1つとして住宅金融支援機構の住宅ローン【フラット35】Sがあります。これは、耐震性、省エネルギー性に優れた住宅など一定の条件を満たす住宅を購入する場合に利用でき、通常は当初5年間あるいは10年間、【フラット35】の金利から-0.3%優遇された金利となるローン商品です。2016年1月29日申込受付分までは、政府の緊急経済対策として、この金利優遇幅が年-0.3%から年-0.6%に拡大されています。ご相談者の住宅購入には間に合わないかもしれませんが、購入物件が決まり、手続きが間に合う方は早めにご検討ください。

なお、【フラット35】や【フラット35】Sを利用するには、住宅金融支援機構の定めた要件を満たした住宅である必要があります。購入希望物件が要件を満たさない場合などは、民間金融機関の住宅ローンの長期固定ローンも選択肢になりますね。民間金融機関の長期固定金利の住宅ローンも、現在は1%台後半の金利と低めになっています。

申込から契約までネット完結の住宅ローンもある

住宅ローンを選ぶ際には、手続き方法にも注目しましょう。担当者と顔を合わせて、じっくりと相談して手続きを進めたほうが安心だ、という方もおられるでしょう。一方、仕事などで忙しく時間がとれないので、できれば金融機関に出向かずに手続きを進めたいという方もおられるでしょう。平日の日中に金融機関の店頭に出向く時間を取るのが難しい方や近くに金融機関の店舗がない方には、ネット専業銀行の住宅ローンやネット専用住宅ローンが便利でしょう。ネット上で申込ができ、書類の提出なども郵送等で行って店頭に出向くことなく手続きができます。ただし、書類のやりとりのための郵送にも時間がかかるので、時間的ゆとりをもって利用したほうがよいでしょう。

なお、昨年末に発売された「じぶん銀行」の住宅ローンは、申込はもちろん、書類の提出などもネットで完結できます。郵送の時間もかからないため、「申込から契約まで最短約10日を目指す」と、手続き期間も短くなっています。

疾病保障付き住宅ローンはニーズとコストを考えて

最近テレビCMでも見かけることの多いのが、疾病保障付きの住宅ローンです。以前は、がんや三大疾病を対象としたものがほとんどでしたが、最近は「8大疾病」「9大疾病」等、対象になる病気の数が多いものも目につきます。

そもそも、住宅ローンを借りる際には、ほとんどの場合団体信用生命保険に加入するので、ローンを借りた人が死亡・高度障害となった場合には、住宅ローンの残債は保険金で完済されます。しかし、通常の団体信用生命保険では、重い病気のために職を失い収入が無くなっても、住宅ローンの返済義務は残ります。そこで登場したのが、希望すれば利用できる疾病保障のついた住宅ローンです。

利用者の負担する費用が不要のタイプもありますが、住宅ローン金利に0.05%~0.4%程度を上乗せして払っていくタイプが多くなっています。金利上乗せではなく「保険料」として払っていくタイプもあります。

保障内容は、商品や病気の種類によって、その病気と診断されればその後のローン返済が一部または全部不要になるもの、一定期間以上就業不能状態が続いた場合にローン返済が一部または全部不要になるもの、ローン返済は続くけれども病気の種類によっては給付金が得られるものなどさまざまです。

手厚い保障を得たい場合には、上乗せ金利も高くなります。保障の費用と万一のときに得られる保障、給付の条件などを慎重に検討しましょう。もちろん、疾病保障付きのローンを利用しない選択もあります。特に何が心配なのか、自分や家族の状況を考えて、複数の商品を比較検討してみてください。

住宅ローンのチェックポイントはこのように数多くあり、新商品も続々登場して迷ってしまいますが、自分や家族の状況に合わせて条件を考えていくと、おのずと条件に合う住宅ローンは絞られてくるはずです。今回取り上げた項目のほか、諸費用や手数料についても考えあわせて、無理なく返済を続けられる住宅ローンを見つけてください。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2016年01月08日