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第434回

住宅ローン、「変動金利」「固定金利」ともに低金利の今がチャンス!?

住宅ローンの金利が低くなっていると聞きますが、その背景にはどんなことがあるのでしょうか?(主婦 37歳)
住宅ローンの金利は、民間金融機関の金利競争や、市場金利の下落などによって「変動金利」も「固定金利」も低い水準で推移しています。したがって、今は、新規の借り入れや、借り換えのチャンスだと考えていいでしょうが、金利タイプの特徴を理解した上で、リスクに配慮して選ぶ必要があります。

変動金利は年0.8%台も!

住宅ローンの変動金利型の金利は、日本銀行の政策金利である「無担保コールレート(オーバーナイト物)」の影響を強く受けます。政策金利が上がればローン金利も上がり、下がれば下がります。しかし、リーマン・ショック後の2008年12月以降、日銀は政策金利を変化させていません。それでも住宅ローンの変動金利型の金利はやや下落傾向を示しており、最近では優遇後の適用金利が年0.8%台のものまで出てきています。その背景には、金融機関同士の顧客獲得のための金利競争があるようです。

【参考リンク】

固定金利も下落!

住宅ローンの固定金利型の金利は、長期金利の影響を受けて決まります。長期金利の代表的な指標は新発10年物の国債の利回り(価格)。これが上がると銀行の貸し出し金利である「長期プライムレート」も上昇し、連動して住宅ローンの固定金利型も上がります。
最近の新発10年物の国債の利回りは、昨年10月の0.8%台を底に、今年3月~4月は1.3%台に上昇しました。しかしその後ふたたび、8月末には1.1%程度に下落しました。背景には世界景気の減速懸念があり、そのために比較的安全な資産である日本の国債が買われ、利回りが低下しています。長期金利の低下に伴って、大手銀行が提供する9月の固定金利期間3年~10年のローン金利も下がっています。

【参考リンク】

固定金利型の代表的な住宅ローン「フラット35」の金利も4ヶ月連続で下がっており、各金融機関が提供している9月金利の幅は、返済期間が21年以上35年以下の場合で年2.260%~3.270%。最もたくさんの金融機関が提供している金利は年2.260%となっています。

フラット35については、9月末で【フラット35】Sの年1%の金利優遇が終わり、10月1日から来年の3月末までは年0.3%の優遇に戻ります。しかし、基準となる金利そのものが下がれば、年0.3%優遇でも低金利のメリットを享受することができます。

低金利の今は、住宅ローンを借りるチャンス!

変動金利、固定金利ともに金利が低い今は、新規で住宅ローンを借りたり、返済中のローンを借り換えるいいチャンスだということができます。
ただ、変動金利型は将来の金利変動の影響を受け、ローン金利が上がって返済額が増え、家計への負担が重くなる可能性があるため注意が必要です。金利が低いことをいいことに、家計にまったくゆとりがないギリギリの返済額を設定してしまうと、万が一金利がアップしたときの負担増に耐えられなくなるかもしれません。
将来、ある程度の金利が上昇することも想定したシミュレーションを行って、ゆとりを持った返済プランを立てましょう。

私が書きました

中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2011年09月09日