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第421回

住宅ローン選びには、コストの比較も忘れずに

住宅購入を前に、ローン選びに迷っています。金利が低いに越したことはないけれど、便利なほうがいいし、手数料も結構な金額だし・・・。比べるポイントを教えてください。
「わが家に合うローン」の条件をはっきりさせて、納得できるコストのローンを選びましょう。

わが家に合うのは、どんなローン?

多くの人にとって住宅は人生で最も大きな買い物ですから、ローン選びにも迷ってしまいますよね。さまざまなタイプの住宅ローンがあり、イー・ローンのような比較サイトをみると、とにかく比較検討をはじめてみたくなるものです。

でも、まずは、「わが家に合う住宅ローン」はどんなものか、基本的な条件をはっきりさせていくのが先決です。借入額や返済期間、金利タイプ(変動or固定)等の基本的な条件を決め、さらに、「ネット上で手続きできるローンがいい」「店頭で相談したい」「病気になったら保険金でローンが返済される保険付きのローンがいい」等の希望条件も考えていきます。年収の何倍もの金額を借りて、数十年に渡って返済していくのですから、安心して無理なく返済していけるローンの条件をはっきりさせておくことが大切です。

なお、「わが家に合うローン」を検討する際には、過去のコラムや住宅ローンガイド、賢い借り方も参考になさってください。

【参考リンク】

コストや利便性を比べてみよう

住宅ローンに求める基本的な条件が決まったら、次に、その条件を満たすローンをピックアップして、気になる点を具体的に比較検討していきます。金利はもちろん、手数料や保証料なども含めてトータルのコストを比べ、さらに、自分にとって返済しやすい仕組みを持つローンを選びたいものです。イー・ローンの「ローン比較リスト」なら、気になるローンを5件まで登録して、項目ごとに比較検討できるので便利です。また、金利を比較する際は、「住宅ローンシミュレーション」を利用すれば、具体的に総利息額や月々の返済額などがわかります。

借り入れ時のコスト

借り入れ時のコストとして金額が大きいのが、保証料と事務手数料です。保証会社を利用せず、保証料がかからない住宅ローンもありますが、その場合は、手数料が高めに設定されている場合もあるようです。借り入れ時のコストを比較する際には、保証料と手数料を合わせた金額で比べる必要があります。

事務手数料の設定のしかたには、「50,000円」といった一律の金額で設定される定額タイプと、「融資金額×2.1%」といった定率タイプがあります。表1のように、定額タイプの場合は借入金額が大きいほど、定率タイプに比べて手数料は割安になります。

一方、保証料には、一括払い方式と金利上乗せ方式があり、借入額や借入期間、返済方法や年収などの諸条件によっても異なります。

<表1:事務手数料の借入金額に対する割合の例>
  定額タイプ 定率タイプ
事務手数料の設定例 一律50,000円 借入金額の2%
・借入額1,000万円の場合 50,000円 200,000円
↑事務手数料の借入金額に対する割合 0.5% 2%
・借入額2,000万円の場合 50,000円 400,000円
↑事務手数料の借入金額に対する割合 0.25% 2%

* 著者作成

表2は、3つの変動金利のローンを比較した例です。
 1,000万円を20年返済で借りた場合の「保証料+事務手数料の合計額」を比べてみると、中央三井信託銀行や群馬銀行のように保証料のかかる場合でも、保証料が最低ラインに抑えられれば、保証料なしの住信SBIネット銀行よりも割安です。しかし、審査の結果、高い保証料を支払うことになれば、「保証料なし」のほうが割安ということになります。

また、失業して返済できなくなった場合に保険金で返済される保険や、病気になって返済ができなくなった場合に保険金で返済される保険が付加された住宅ローンもあります。通常は保険料として年0.1~0.3%程度の金利を上乗せして払う必要がありますが、群馬銀行や住信SBIネット銀行のローンでは保険料の負担なく付加することができます。したがって、住宅ローンに保険付加をすることを決めているなら、保険料負担がない分、トータルではコストが割安と判断されるケースもあるでしょう。

※住宅ローンに付加できる保険の保障範囲や保険金が支払われる条件は商品によって異なります。保険料だけでなく、保険内容も事前によくご確認・ご検討ください。

<表2:ローン比較リストの例>
  中央三井信託銀行 群馬銀行 住信SBIネット銀行
  中央三井の住宅ローン<全期間一律引下げプラン>「変動金利コース」 住宅ローン「金利選択プラン」 住信SBIネット銀行の住宅ローン(通期引下げプラン)
金利体系

変動金利

変動金利

変動金利

適用金利(年率)

0.775%~ 1.175%

0.925%~ 0.975%

0.875%

保証料
・金利上乗せ方式…お借入れ利率に年0.2%~3.0%上乗せ。
・一括前払い方式…元利均等返済、ご融資額1,000万円の場合の保証料:5年45,790円~686,970円/10年85,450円~1,281,600円/15年119,820円~1,797,290円/20年148,350円~2,225,480円/25年172,590円~2,588,810円/30年191,350円~2,870,650円/35年206,110円~3,092,130円
※お借入れ金額、お借入れ期間、ご返済方法、年収に占めるご返済額の割合等により保証料は異なります。
・保証料一括前払方式の場合、保証料(お借入例:1,000万円、期間20年の場合148,340円~445,100円)をお借り入れ時に一括してお支払いいただきます。審査結果により保証料が異なります。
なし
保証会社の保証付ではありません。このため保証料は必要ありません
手数料(借入時)

保証取扱手数料:1件につき31,500円(消費税等を含む)を中央三井信用保証(株)へお支払いいただきます。

・保証取扱手数料として、31,500円(消費税含む)が必要となります。

お借入れの際に、ご融資金額に対して2.1%の銀行事務取扱手数料(消費税込)がかかります。
※別途、印紙代・登記費用等の実費が必要です。
団体信用生命保険
込み
込み
込み
特徴
 
・失業信用費用保険(保険料不要)がついています。
・8疾病保障付帯(保険料は銀行負担)
 : :例:借入額1000万円、返済期間20年の場合の総利息、保証料(一括払い方式)と手数料の合計額
総利息
798,235~1,225,851円
957,347~1,010,717
904,144円
保証料+手数料
179,830円~2256980円
179,840円~476,600円
210,000円

* 「ローン比較リスト(2011年6月1日現在)」より抜粋。「例」の行は著者が試算。

返済中のコスト

返済中のコストは、どんな返済の仕方を希望するかで違ってきます。借り入れ時に決まった条件どおりに返済を続けていくなら、返済中に余分な手数料はかかりません。しかし、返済期間中に「変動金利→固定金利」といった金利タイプの変更や繰上返済などを行う場合は、手数料がかかります(金融機関・商品によっては、無料の場合もあります)。数十年に及ぶ返済期間中、景気の変化によっては金利タイプを変更したい、家計に余裕ができたら繰上返済をしたいと考えているなら、返済期間中のコストが少ないローンを選びたいところです。

表3は、返済中の手数料の例です。取り上げた3つのローンはいずれも金利タイプの変更は可能(特約期間中は不可)ですが、中央三井信託銀行や群馬銀行の場合は手数料がかかります。

また、繰上返済をする場合は、どのタイミングでどれだけ返済するかによっても手数料が違ってきます。こまめに何度も繰上返済をしたいなら手数料無料は欠かせないポイントです。しかし、「繰り上げ返済はできないかも。」「繰上返済を行うとしたら、子どもの教育費負担が終わった時点で、まとまった金額で1度だけ」などと考えている場合などは、「繰上返済手数料無料」はそれほど大きなポイントとはならないでしょう。

<表3:返済中の手数料>
  中央三井信託銀行 群馬銀行 住信SBIネット銀行
金利体系の変更
可(特約期間中は不可)
変更可能ですが、固定金利期間中は不可となります。
お借入期間中はご希望に応じて「変動金利タイプ」「固定金利特約タイプ」をお選びいただけます。ただし、固定金利特約タイプを選択されている場合、特約期間が終了するまで変更できません。
金利体系の変更手数料
「固定金利コース」をお選びいただく場合、取扱手数料 5,250円(消費税等含む)が必要となります。
固定金利を再選択する場合、事務取扱手数料として5,250円(消費税含む)が必要となります。
不要
繰上返済手数料
【特約期間中】一部繰上返済 21,000円、一括繰上返済 31,500円 (消費税等含む)
※特約期間終了時の一時繰上返済は無料
【変動金利適用期間中】一部繰上返済 5,250円、一括繰上返済 3,150円 (消費税等含む)
<固定金利適用期間中>
・一部繰り上げ返済…21,000円(消費税含む)
・全額繰り上げ返済…31,500円(  〃  )
<変動金利適用期間中>
・一部繰り上げ返済…5,250円(消費税含む)
・全額繰り上げ返済…5,250円(  〃  )
一部繰上返済手数料は0円、全額繰上げ返済で固定金利特約期間中の場合のみ31,500円(消費税込)
インターネット繰上返済

ご利用にあたっては、別途、インターネットバンキング(中央三井ダイレクト)の利用申込が必要となります。
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WEBサイトで、1円以上1円単位で、何回でも無料で、一部繰上返済が可能です。

* 「ローン比較リスト(2011年6月1日現在)」より抜粋。

このように、住宅ローンに求める条件によって、また、審査結果によっても、コストは変わってきます。安心や利便性を考えて、サービスの充実した住宅ローンを希望していたけれど、具体的にチェックしてみると、思った以上にコストがかかることがわかる場合もあるでしょう。また、逆に、比較検討するうちに思ってもみなかったサービスが、納得できる範囲内のコストで得られることがわかる場合もあるのではないでしょうか。

土地や住宅は大きな買い物です。慌てないで、希望に合いそうなローンをピックアップして、具体的なコストやサービスを比較し、再度住宅ローンに求める条件を見直して・・・という作業を何度か繰り返して、わが家にあったローンを見つけていかれてはいかがでしょうか。

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2011年06月10日