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第385回

2010年中に、入居するメリットは?

今年になって気に入った土地がみつかり、憧れの建築家に設計を依頼して、念願のマイホーム建築を進めています。新居への入居は、あわただしいので年明けに・・・と思っていますが、入居時期によって、何か違いがありますか?(福岡県 Mさん)
2010年中に入居すれば、住宅ローン減税を受ける場合に最大限の優遇策を受けることが可能です。

2010年内入居なら、住宅ローンの控除対象借入限度額は5000万円

「住宅ローン控除」は、住宅ローンを利用してマイホームの購入や増改築をした場合に一定の条件を満たせば、借入金のローン残高の一定割合が所得税から減税されるという制度です。
この住宅ローン控除を受ける条件の1つに「新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること」というものがあり、減税額が入居時期によって違ってきます。

<表1:住宅ローン控除の概要>※認定長期優良住宅の場合は( )内の数字
住宅ローンから控除される額=年末ローン残高×控除率
居住年 住宅ローン等の
年末残高の限度
控除期間 控除率 10年間の
最大控除可能額
2010年 5,000万円
(5,000万円)
10年間 1.0%
(1.2%)
500万円
(600万円)
2011年 4,000万円
(5,000万円)
1.0%
(1.2%)
400万円
(600万円)
2012年 3,000万円
(4,000万円)
1.0%
(1.0%)
300万円
(400万円)
2013年 2,000万円
(3,000万円)
1.0%
(1.0%)
200万円
(300万円)

*筆者作成

表1のように、2010年中に入居した場合の住宅ローン控除は過去最大規模で、最大で年間50万円、10年間で合計500万円の控除が受けられます。また、認定長期優良住宅※の場合には、控除額は最大600万円となります。さらに、所得税から控除しきれない住宅ローン控除額は、翌年度分の住民税からも控除されます。
※認定長期優良住宅…住宅を長期にわたり良好な状態で使用するために法律で定められた基準に基づき、国が性能等を認定した住宅
ただし、「年間最大50万円の控除」が受けられるのは、年末時点のローン残高が5,000万円以上あり、納めるべき所得税額が50万円以上ある場合です。仮に年末時点のローン残高が2,000万円であれば、控除可能額は20万円となります。
Mさんの住宅ローン借入額が多ければ、2010年中の入居を急いだほうがよいでしょう。

省エネ改修工事、バリアフリー改修工事の特別税額控除は2010年入居分まで

そのほか、2010年の年末までが期限となっている優遇策に省エネ改修工事やバリアフリー改修工事にかかった費用に対する税額控除(住宅特定改修特別税額控除)があります。
これは住宅ローン等の利用がなくても適用できるもので、居住者が、自己所有の居住用家屋について一定の省エネ改修工事やバリアフリー改修工事を行った場合に、かかった費用のうち最高200万円の10%相当額(20万円まで)がその年分の所得税額から控除されるもの。条件の1つに「平成21年4月1日から平成22年12月31日までに自己の居住の用に供していること」があります。
改修工事に住宅ローンを利用して要件を満たしていれば、2010年末以降も制度が継続する通常の住宅ローン控除や特定増改築等住宅借入金特別控除も利用できます(いずれか1つの選択適用)。住宅ローン控除は知っていても、自己資金で改修工事を行う場合にも税額控除が受けられることをご存知ない方もおられるかもしれませんね。自己資金のみで改修工事をする場合に受けられる税額控除は2010年末が締めきりです。リフォームを考えられている方は、条件を確認し、利用を検討されてはいかがでしょうか。

そのほかにも、住宅優遇策は目白押しですが、いずれも、適用を受けるには、申込み時期、着工時期、入居時期などの「締めきり」があります。住宅購入や増改築を検討中の方は、新築購入ローン中古購入ローン増改築ローンの利用も視野に入れ、住宅優遇策の適用条件も忘れずに確認しましょう。

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2010年09月17日