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第305回

景気悪化の今のベストな住宅ローン選びとは?

軽い気持ちで見学したマンションの内覧会で、「今が買い時です!」と強く勧められてマンションを購入することになりました。住宅ローンを組む予定ですが、住宅ローンも購入先の営業マンが勧める提携ローンになりそうです。このままで大丈夫でしょうか?(Y.Kさん 39歳・会社員)
住宅を購入する際に、多くの人が住宅ローンを利用しますが、住宅ローンについてきちんと理解しているかどうかで、将来の利息や総返済額が大きく変わってくる可能性があります。住宅ローンは、第三者に任せっぱなしにするのではなく、自分自身でよく比較検討して、その経済情勢等に応じてベストなものを選ぶことが大切です。

金利によって返済額はこんなに違う!

一般的に、住宅ローンの毎月返済額は、「金利」「借入額」「返済期間」の3つで決まりますが、その中でも、やはり気になるのは「金利」ではないでしょうか?
例えば、3,800万円のマンションを、借入額3,000万円、35年返済の住宅ローンを組んで購入する場合、金利2%なら毎月返済額は9万9,379円ですが、3%なら毎月は11万5,455円と1万6,076円もアップしてしまいます。

■金利ごとの毎月返済額および総返済額
借り入れ条件:借入額3,000万円、35年元利均等返済・ボーナス返済なし
金利 毎月返済額 総返済額
2.0% 99,379円 41,739,109円
2.5% 107,249円 45,044,397円
3.0% 115,455円 48,491,124円
3.5% 123,987円 52,074,620円
4.0% 132,832円 55,789,617円

金利が1%違えば、毎月の返済額に約1.6万円以上、総返済額に約675万円以上の差が!

イー・ローンの住宅ローンシミュレーション を元に筆者が作成)

目先の金利の低さにとらわれない!

しかし、「できるだけ金利の低いものを選ぶ」といっても、目に見える数字だけで判断してはいけません。住宅ローンには、「全期間固定金利型」「固定期間選択型」「変動金利型」という3つの金利タイプがあり、それぞれ金利が異なりますが、重要なのは、金利が固定される期間に対して、その金利が割安かどうかということです。

例えば、銀行などの住宅ローンの場合、変動金利型の金利が最も低くなります(下図参照)ただし、変動金利型は、金利の見直しが年2回、返済額の見直しが5年ごとという特徴があるため、適用される低い金利は半年間しか約束されていません。それに対し、固定5年や固定10年は、変動金利型の10倍、20倍の期間を通じて、当初設定された金利が適用されるにも関わらず、金利差は1%以下。これは、変動金利型よりも割安といえるのではないでしょうか?

■住宅ローンベスト金利一覧
金利タイプ 適用金利
変動金利 0.875%
固定3年 1.250%
固定5年 1.450%
固定10年 1.750%
固定30年 2.500%

(出典:イー・ローン 2009年2月2日現在)

しかし、夫婦共働きの場合などで、返済に余裕があり、返済期間を10年から15年程度と比較的短期に設定できる人は、金利が大幅に上昇しても、増額率は限定されるため、むしろ、金利の低い変動金利や固定期間の短い固定金利選択型を選んだ方がメリットは大きいでしょう。

自分の家計に合った住宅ローンを選ぼう!

このように、住宅ローンを借りる前に、自分自身で住宅ローンの基本を理解し、自分たちの家計にはどの金利タイプが合っているのかをしっかりと検討・選択することが大切です。これが、安全でベストな住宅ローン選びのスタートラインといえるでしょう。

とりわけ、現在のような景気が悪いといわれるような時期に住宅ローンを組む場合、給与・ボーナスカットやリストラなどのリスクに備えて、より慎重に資金計画を考える必要があるといえますね。

私が書きました

黒田 尚子 (くろだ なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、第2種情報処理技術者、初級システムアドミニストレータ。

92年大学卒業後、日本総合研究所に入社。約5年3ヶ月間、システム開発に携る。退社後、98年ファイナンシャル・プランナーとして独立。 まったくの異業種からの転職のため、できるだけ幅広いテーマを手掛けるようにしている。雑誌・インターネットなどの連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。モットーは「夢をカタチに」。現在、夫1人&猫1匹と暮らす。

※執筆日:2009年02月26日