第291回
大型住宅ローン減税!?効果のほどは?
- 昨年結婚し、そろそろマイホームの購入を考えています。最近、ニュースで『住宅ローン減税』のことが取り上げられていますが、どのように変わるのでしょうか?(Kさん 30歳 会社員)
- 住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合などに、税金が戻ってくるのが『住宅ローン減税』です。1986年に創設され、20年以上も継続されています。制度の内容は毎年改正されており、控除額の上限が2008年度は160万円なのに対して、2009年度は600万円になるなど、これまでにない大型減税となる案が浮上していることから注目されています。
住宅ローン減税とは?
『住宅ローン減税』とは、金融機関等にて住宅ローンを利用してマイホームを新築したり、増改築をしたときに、年末の住宅ローン残高に応じて所得税が戻ってくる制度のことです。正式名称は『住宅借入金等特別控除』で、住宅ローン控除とも呼ばれています。
住宅ローン減税を利用するには、住宅の使用方法や床面積の広さ、購入者の収入、住宅ローンの借入先や借入期間など、一定の要件を満たしている必要があります。また、その住宅に住むタイミングや引っ越したことを証明するための住民票の移動など、さまざまな要件をクリアしなければなりません。そのため、住宅を購入する前に、要件に該当するかどうか税務署や不動産会社などに確認しておきましょう。
また、購入した翌年には自分で確定申告が必要ですが、会社員の場合、その後は必要書類を会社に提出することで、年末調整で対応してくれます。
どれくらい効果に違いがあるの?
2009年度の改正で注目されているのが、最大控除額の合計です。2008年度が160万円なのに対して、過去最高の600万円に引き上げるという案が検討されています。控除期間が10年になれば、均等にした場合、年間60万円の控除となります。つまり、2008年度が年間20万円または12万円なのに対して(2008年度は控除期間10年か15年のどちらかを選択)、2009年度はその3倍以上の控除を受けられる可能性があるということです。
<2008年度の内容と2009年度の案>
居住年 | ローン残高 | 控除期間 | 控除率(年間の控除額の上限) | 最大控除額合計 |
2008年 | 2,000万円以下 の部分 |
10年 | 1~6年目:ローン残高×1.0%(20万円) 7~10年目:ローン残高×0.5%(10万円) |
160万円 |
15年 | 1~10年目:ローン残高×0.6%(12万円) 11~15年目:ローン残高×0.4%(8万円) |
|||
2009年 | -(未定) | 10年(案) | -(未定) | 600万円(案) |
例えば、年間の所得税が25万円の人の場合、2008年であれば最大でも20万円しか戻ってこないのに対して、2009年は25万円の全額が戻ってくる可能性があります。その差5万円ですから、10年で50万円も差がつくことになります。さらに、現在は所得税しか減税の対象となりませんが、住民税も対象にするという案が出ています。その場合は、さらなる減税の恩恵を受けられることになります。
あくまでも支払った税金が戻ってくる制度
このように、2009年度の住宅ローン減税は過去最高の条件となりそうです。まだまだ条件面は検討中ですから、今後の動きに目が離せないところです。
ただし、『住宅ローン減税』とは、あくまでも税金が減額される制度ですから、そもそも税金が少ない場合には戻ってくる金額も少ないということになります。ご自身にどれくらい減税を受けられる金額があるのかは、給与明細や源泉徴収票で今年支払った所得税や住民税を調べてみると良いでしょう。