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第241回

長期固定の住宅ローン、商品の特徴は?

住宅購入を考えています。今後、子どもの教育費負担が増えることも考えて、支払額が一定の長期固定型のローンにしたいと思っています。いろいろ種類があるようなので、特徴を教えてください。(神奈川県 N)
「フラット35」は、最長35年の固定金利・保証料無料などの基本的内容は同一ですが、取扱金融機関によって金利・手数料などが異なります。民間金融機関の長期固定ローンには、独自の工夫・特色があるものも。

超低金利の時期は過ぎましたが、数十年単位で振り返れば、ローン金利はまだ低金利の水準です。これからの金利上昇も考えられますから、教育費などの今後のライフプラン上の出費を考え合わせれば、Nさんのように長期固定のローンを選ぶのが、最もリスクの少ない選択といえるでしょう。 長期固定のローンで代表的なものは、住宅金融支援機構と民間金融機関が組んで提供している「フラット35」。そのほか民間金融機関も、独自の特徴ある商品を競っています。それぞれの特徴をみてみましょう。

種類の増えた「フラット35」

フラット35は、「住宅金融支援機構が定めた基準の住宅ローン商品を、各金融機関が窓口となって販売」する住宅ローン。ローン内容は一定でも、金利や手数料は金融機関ごとによって異なります。フラット35を比較する際には、商品内容はもちろん、金利と手数料を合計した「総支払額」で比べることが大切です。(参照:住宅ローンジャストフィット特集
もともとは、「買取型」という仕組みではじまった「フラット35」ですが、最近は「保証型」という仕組みのものも登場してきました。返済期間が20年以内で金利が低い「フラット20」も登場しています。


・「フラット35(買取型)」

「フラット35」といえば、まずこのタイプです。買取型は、「住宅金融支援機構が定めた基準の住宅ローン商品を、各金融機関が窓口になって販売。そのローン債権を住宅金融公庫が買い取って証券化し、機関投資家などに販売して資金調達を行う」という仕組みです。そのメリットは、「最長35年の全期間固定金利」「保証料無料」「繰上返済手数料が無料」「適合証明書の提出が必要なため、住宅の質も確保」できることなどです。
平成19年10月1日から、返済期間が20年以内の場合には、21年以上の場合よりも低い金利が適用されるようになりました。たとえば、返済期間が15年以上20年以内の 楽天モーゲージの「フラット20」は、通常の最高35年返済の 楽天モーゲージの「フラット35(総支払額重視型)」に比べて、金利(年率)が0.21%低くなっています。


<フラット35(買取型)>のおもな特徴


利用者の条件

・申込時の年齢が70歳未満で安定した収入があること

  1. フラット35とその他のローンを合わせた総返済負担率が次の基準を満たすこと(平成19年10月1日以降申込の場合)

年収

400万円未満

400万円以上

基準

30%

35%


融資対象

新築住宅または中古住宅の購入資金
(リフォーム、借り換えは利用不可)


住宅の条件
  1. 一戸建て:床面積70平米以上
  2. マンション等:床面積30平米以上
  3. 住宅の耐久性などについて住宅金融試験機構が定めた基準に適合していること(適合証明書が必要)
  4. 店舗併用住宅の場合は、住宅部分の床面積が1/2以上
融資額

100万円以上8000万円以下で、建設費または購入価額の90%以内

融資期間

15年以上35年以内、かつ完済時の年齢が80歳未満

保証料・保証人

不要

繰上返済手数料

無料(返済額は1回100万円以上)


・「フラット35(保証型)」

「フラット35(保証型)」も「住宅金融支援機構が定めた基準の住宅ローン商品を民間金融機関が窓口となって販売する」という点では「買取型」同様なのですが、その後の「ローンの証券化や投資家への販売もその金融機関が行い、住宅金融支援機構は投資家に販売する債権に対して保証をする」という仕組み。現在は3つの金融機関が取り扱っており、「買取型」よりも独自性の高い商品内容となっています。たとえば、 SBIモーゲージの「SBI住宅ローンの【フラット35(保証型)】の場合は、「借り換えでも利用可能」「インターネットなら1万円から手数料無料で繰上返済可能」「住宅購入価格の100%までの借入可能(買取型の場合は、90%以内)」等、「買取型」にはない特色があります。

なお、「保証型」には、返済期間に応じた融資金利の設定はありません。

民間金融機関独自の長期固定ローン

「フラット35」は、一律に住宅金融支援機構が定めた「一定の基準」を満たしていることが魅力のひとつですが、民間金融機関のそれぞれのローンは、一律でない独自の特色で魅力を競っています。金利や手数料などのお金の面だけでなく、借りやすさ、使い勝手やサービスの面での特徴もチェックしたいものです。
たとえば、中央三井信託銀行の「エクゼリーナ」は女性専用の住宅ローン。男性に比べ、「借りにくい」と不安な女性にとっては頼もしい商品です。繰上返済手数料無料(1回50万円以上)、出産後1年間の金利優遇など、女性にとってうれしいサービスもあります。

また、新生銀行の「パワースマート住宅ローン」は、保証料不要な上、「返済」にも便利なローン。繰上返済の手数料は不要で、自動繰上返済(指定額を上回る部分の普通預金で自動的に繰上返済を行う)もできます。 住信SBIネット銀行の「住宅ローン」も利便性の高い住宅ローンです。来店不要で借入可能で、一部繰上返済の手数料は1円から無料。保険料は銀行負担で8疾病保障(8疾病で就業不能状態が続いた場合、住宅ローン残高が0円になる。詳細は確認を。)もついています。

イーローンの「住宅ローン」(http://www.eloan.co.jp/home/)のコーナーでは、「固定金利」を条件に検索し、さらに所在地や借入期間など条件を加えていけば、容易にローンの比較検討ができます。気になるローンがあったら、金利面を比較するだけでなく、融資条件や商品内容をチェックして、自分にあったローンを探してみましょう。

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2007年11月07日