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第176回

ゼロ金利解除で住宅ローン返済はどうなる?

2年ほど前に都銀のキャンペーン金利で住宅ローン3200万円を借りましたが、変動金利タイプ(借入当初1.375%)でした。今回、ゼロ金利解除のニュースで、自分の住宅ローンはこのままだとどうなるのかとても心配です。35年で借りたのでまだ先が長く、どんなことに注意すべきで、どんな対策がありますか?(35歳、会社員Bさん)

半年ごとに金利が変わる変動金利は、金利上昇で利息負担増の影響が大きい

ゼロ金利政策が解除され、短期プライムレート(優良企業向けの貸し出し金利)が上がり始めています。住宅ローンの変動金利タイプは短期プライムレートに連動する商品が多いので、Bさんをはじめ、金利上昇の影響を気にする方も多いと思います。変動金利タイプは、半年ごとに金利が変わるタイプで、Bさんは金利の切り替わり時期も近く、不安を感じているようです。

変動金利ってどんな内容?

変動金利タイプには、ただ金利が変わるというだけでなく、次のような特徴があります。
・金利は半年ごとに変動し、その変動幅に制限はない。
・多くの金融機関では、毎回の返済額は5年間は一定というルールがある(ソニー銀行など一部の銀行を除く)。

都銀で借りたBさんの場合、毎回の返済額は借入後5年間は変わらない商品ですが、金利は6ヶ月ごとに変わるので、金利が変われば、毎回の返済額のうち元金と利息部分の内訳が変わります。

Bさんの毎回返済額の内訳はどう変わる?

借入額3200万円、期間35年、借入当初はキャンペーン金利で1.375%とのことなので、 Bさんの毎月返済額は96,031円(ボーナス返済はなし)。これは、借入後も5年間は変わらないので、金利上昇でも返済額はすぐにアップしないといえます。

しかし、毎月返済の96,031円の内訳は、次のように借入残高や適用金利によって変わってきます。

<変動金利の返済額の内訳>(3,200万円、35年返済、元利均等返済方式の例)
  適用金利 毎月返済額
(円)
(内  訳) 借入残高
(万円)
元金(円) 利息(円)
1回目
1.375%
96,031
59,365
36,666
3,194.1
24回目
1.375%
96,031
60,949
35,082
3,055.6
25回目
2.5%
96,031
32,373
63,658
3,052.4
もし25回目に約3.77%になれば?
25回目
3.7713%
96,031
0
96,031
3,055.6

つまり、金利が上がれば、それだけ利息部分が膨らみ、毎月返済額は一定でも、元金部分の減り方が小さくなってしまいます。そして、仮に3.77%近くにまで金利が上がれば、毎月返済額全部が利息にあてられてしまい、元金は全く減らず、借入残高も減らない状態になってしまいます。怖いことですが、もし4%など金利が更に上がれば、毎月返済額では、利息支払が足りず、未払利息がたまってしまうということにもなりかねません。そうなると、総返済額はどんどん膨らんでしまいますよね。

今とれる対策は?

このように金利そのものは半年ごとに変動していくので、変動金利タイプを利用している人は、金利が上昇したときに金利負担を軽くするために、借入残高をすぐに減らせるかどうかが大きなポイントになります。もし、繰上返済で残高を減らす余裕がない、金利負担が上がっては困るということなら、あなたは金利上昇リスクをとれない人と判断できるでしょう。その場合は、すぐにでも借換えをして、金利を少しでも長く固定させるタイプへ切り替えたほうが安心できると思います。

イーローンの一覧表では、 住宅ローンの金利タイプや金利の比較はもちろん、コストや商品特徴などを確認ができます。 ローンシミュレーションコーナーもありますので、ご確認されてはいかがでしょうか?

私が書きました

吹田 朝子 (すいた ともこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、企業福祉管理士。

1989年一橋大学卒業後、生命保険会社に入社し、企画・予算管理を経て1994年に独立。TV「発掘!あるある大事典」「株式ワイドオープニングベル」などにも出演。「ステキなマネープランニング(ハルアンドアーク出版)」など著書多数。相談業務、セミナーなどでも活動中。

※執筆日:2006年07月22日