第1111回
住宅ローンの返済方法は途中で変更できる?
- 近い将来、マイホームの購入を考えています。その際は住宅ローンを活用するつもりですが、長期に渡る返済の間には、家計に何が起こるかわかりません。世帯収入が減る事態に直面したり、やむを得ない出費が必要になったりして、返済に支障が生じることがあるかもしれません。また、逆にゆとりが生まれて返済方法を見直したくなるかもしれません。そんな時、住宅ローンは、返済方法を柔軟に変更することができるのでしょうか。(会社員、36歳、男性)
- 収入減などにより、住宅ローンの返済が難しくなりそうな場合は、滞納する前に、早めに借り入れをした金融機関に相談するのがよいとされています。滞納前であれば、返済方法の変更に応じてもらいやすくなります。どんな変更が可能かを具体的に公表している金融機関は少ないものの、フラット35については、変更のメニューが明示されています。なお、金融機関によって、一定の返済条件の変更に応じるところがあります。また、変更に手数料が発生する場合もあります。
住宅ローンの返済方法の変更は、フラット35が参考になる!
返済が長期に渡る住宅ローンは、途中で収入や生活状況に大きな変化が生じ、返済方法を見直したほうがよい、あるいは、見直さざるを得ない場合があります。
収入減などにより、安定した返済が困難になりそうな場合は、滞納する前に、早めに借り入れをした金融機関に相談しましょう。滞納前であれば、返済方法の変更に応じてもらいやすくなります。
逆に、収入が増えたり、当初予定していたライフイベントの費用が思ったより少なかったりすることなどによって、返済方法を見直したいケースもあります。
住宅ローンの返済方法の変更メニューを具体的に明示している金融機関は多くありませんが、独立行政法人住宅金融支援機構(以下、機構)と民間金融機関が提携して提供しているフラット35については、機構のホームページに明示されていますので参考にすることができます。
フラット35の返済方法の変更メニュー
- 振込期日の変更
- ボーナス払い月の変更
- 「毎月払いとボーナス払いの併用」から「毎月払いのみ」への変更
- 「毎月払いのみ」から「毎月払いとボーナス払いの併用」への変更
- 毎月払い分・ボーナス払い分の金額内訳の変更
- 元金均等返済から元利均等返済へ、または、元利均等返済から元金均等返済への変更
- 返済期間の短縮
上記の手続きに手数料はかかりません。
※機構が返済方法の変更を認めることが条件になります。
※事前に、借り入れた金融機関に相談する必要があります。
上記の他にも、フラット35では、「返済期間の延長による毎月返済額の軽減」や、「一定期間の毎月返済額の減額」などにも対応しています。
金融機関によって、一定の返済条件の変更に対応している!
それぞれの金融機関が独自に提供している住宅ローンでも、金融機関によっては、変更できる返済方法を商品詳細で明示している場合があります。
例えば、以下のようなものがあります。
- 変動金利から固定金利への変更(ただし、返済遅延している場合は不可)
- 借り入れ時から最長1年間の元金返済の据え置き
- ライフイベント(産休・育休時の収入減や、子供の進学による教育費支出の増加等)によって変化する家計の収支に応じた返済額の増減
- 返済期間中の一定期間の返済額の増額
※変更の内容によって、手数料の有無、手続き方法(窓口での書面、ネット等)による手数料の違いなどがあります。
返済方法の見直しや変更の内容が気になる場合は、住宅ローンを選ぶ前の検討項目のひとつに加えてもよいでしょう。
なお、家計にゆとりが生じる場合は、繰上返済をすることによって返済期間を短縮したり、毎月返済額を軽減したりする方法もあります。
また、他の金融機関の住宅ローンに借り換えをすることで、以後、新しい条件で返済を開始する方法もあります。借り換えには事務手数料などの諸経費が必要となります。諸経費以上に金利メリットがある場合や、返済方法の見直しで対応できない場合に検討するといいでしょう。
【参考リンク】
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2024年12月18日