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第1103回

注目度上昇中!住宅ローンの「ペアローン団信」とは?

夫婦2人で住宅ローンを組んで、マンション購入をしようと検討中です。住宅ローンを見ていたら、「ペアローン団信」というものがあり、自分たちに合っていると感じました。利用する際に知っておくべきことなどあれば教えてほしいです。(Tさん・会社員、32歳)
最近、提供を開始する金融機関が増えた「ペアローン団信」。メリットが強調されることが多いですが、デメリットもしっかり把握したうえで利用するようにしましょう。

ペアローンとは?

Tさんご夫婦が検討されているペアローン。共働き世帯が増えたことや、都市部でマンション等の価格が高騰したことなどもあり、住宅取得に際して、夫婦がそれぞれに住宅ローンを組んで借入可能額を増やすことができることから、ペアローンの利用が増えています。

ぺアローンは1つの物件に対し、夫婦が同じ金融機関でそれぞれに住宅ローンを組む方法です。ペアローンを組む場合、通常は、住宅ローンを借りた相手の連帯保証人にもなります。借り入れをする金融機関は同じでないといけませんが、借入期間や金利タイプなどの条件はそれぞれで自由に選択できます。例えば、5,400万円の住宅ローンを借りる場合、夫が3,000万円を期間35年の長期固定金利で借り、妻が2,400万円を期間25年の変動金利で借りる、といったことも可能です。

ペアローンのメリットは、1人で借りるときよりも借入可能額を増やせる点とともに、夫婦2人とも住宅ローン控除を利用できる点、さらには、将来、売却時に物件が大きく値上がりした場合、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」を夫婦ともに利用できる点などを挙げることができます。

ペアローン団信とは?

一方、ペアローンを組んで、従来型の団体信用生命保険(団信)に入った場合、例えば夫に万が一のことがあったとき、夫の残債は団信で返済されるものの、妻の残債は残ってしまいます。1人で家計を支える状況になっても返済が続くのです。これを保障するため、ローン残債分程度の生命保険(死亡保険)に入って備える方法などがとられてきました。しかし、この問題を解消する団信として「ペアローン団信」を扱う金融機関が増え、利用も広がり始めています。

ペアローン団信とは、ペアローンを組む際に、2人のうち一方に万が一のこと(死亡・高度障害)が起きた時には、2人分の住宅ローン残債合計額が保険金で支払われ、住宅ローンの残高が0円になる団信です。

ペアローン団信の基本的な保障は同じでも、商品によっては、死亡・高度障害だけでなく、がんで所定の状態になった時などに残債が0円になるものもあります。団信のコストは、保障内容に応じて0.2~0.4%など金利上乗せとなっています。実際に検討する際には、ペアローン団信のコストと、保険でカバーする場合の保険料とを比較して検討したいものです。

ペアローン団信のデメリットも知っておこう

ペアローン団信について、利用する際には、しっかり理解しておかなければならないデメリットがあります。それは、課税関係です。金融機関のサイトを見ると、ペアローン団信の近くにはそのような説明が掲載されています。

ペアローン団信に加入していて、一方に万が一のことが発生した場合、亡くなった方の残債免除分は非課税となるものの、生存している方の残債免除分は一時所得とみなされます。一時所得は、特別控除50万円を引いた残額の1/2を、ほかの所得と合算して課税されます(確定申告が必要です)。一時所得となる残債額が大きいほど、また、所得税率が高いほど納税額が大きくなり、場合によってはペアローン団信で免除を受けたことで、数百万円の納税が発生することもありえます。この点は理解した上で利用する必要があります。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2024年10月29日