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第1061回

2024年からの住宅ローン控除はどうなる?

家族の夢のマイホームを購入すると決め、物件探しを始めました。気になるのは住宅ローン控除です。縮小するらしいと聞いていましたが、2024年はどう変わるでしょうか。(Mさん・会社員、31歳・千葉県在住)
2024年度の住宅ローン控除の変更点について、税制改正大綱の内容を踏まえて整理しておきましょう。

住宅ローン控除の縮小予定が、子育て世帯・若者夫婦世帯は従来同様に

住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて所定の住宅を購入したり、新築や所定のリフォームをした場合に受けられる、税制上の優遇です。具体的には、年末の住宅ローン残高の0.7%の所得税(上限有り)が、一定期間、税額控除される制度のことです。所得税で引ききれないときには、一部、住民税から引くこともできます。

Mさんも耳にされていたように、住宅ローン控除は、2024年から省エネ基準等を満たさない新築・買取再販住宅は対象外となることが決まっていました。しかし、令和6年度(2024年度)の税制改正により、Mさんのような子育て世帯・若者夫婦世帯が、所定の省エネ基準等を満たす新築・買取再販住宅を購入・建築して2024~2025年に入居する場合は、従前の控除水準が維持されることになりました(その他の住宅を除く)。受けられる住宅ローン控除の上限金額は、長期優良住宅・低炭素住宅で5,000万円、ZEH水準省エネ住宅で4,500万円、省エネ基準適合住宅で4,000万円となります。

新築・買取再販住宅のうち、「その他の住宅」でも、2023年中に新築の建築確認をした場合は住宅ローンの上限2,000万円までは控除対象ですが、それ以外は控除の対象外です。また、既存住宅(中古住宅)を購入する場合は、そもそも変更はなく、長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅で3,000万円、その他の住宅で2,000万円を上限として控除を受けることができます。

2024~2025年の住宅ローン控除の上限金額
住宅の種類 世帯 控除期間 控除率
子育て世帯・若者夫婦世帯*1 その他
新築・買取再販 長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 4,500万円 13年間 0.7%
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 0円*2 10年間
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅 3,000万円 10年間
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅 2,000万円

*1 19歳未満の子がいるか、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
*2 2023年中に新築の建築確認をした場合は2,000万円

床面積要件の緩和措置も1年延長

住宅ローン控除の対象となるためには、いくつかの要件をクリアしなければなりませんが、2024年の税制改正で、合計所得金額1,000万円以下の年の新築住宅の床面積要件を40m2以上に緩和する措置について1年延長され、2024年12月31日までとなりました。改正を含む住宅ローン控除を受けるための主な要件を整理したものが下記です。

主な要件
・自らが居住するための住宅
・床面積50m2以上。ただし、合計所得金額1,000万円以下は40m2以上(2024年12月31日まで)
・合計所得金額2,000万円以下(床面積40m2以上50m2未満は1,000万円以下)
・住宅ローンの借入期間が10年以上
・引渡しまたは工事完了から6ヶ月以内に入居
・昭和57年以降に建築または現行の耐震基準に適合 等

Mさんが検討している物件が住宅ローン控除の対象になるかどうかは、販売会社等で確認可能です。住宅ローン選びもしっかり行い、納得の住宅購入をなさって下さいね。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2024年01月05日