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第1057回

子どもの人数で金利を引き下げ!?「【フラット35】子育てプラス」とは?

1、2年以内にマイホームを購入しようと、今、さまざまな情報を入手して勉強している30代の2児の親です。住宅ローンを選ぶ時、金利上昇リスクがある変動金利よりも、借入時に金利が確定する固定金利のほうが安心できて良いと思っていましたが、最近、変動金利は低水準のまま変化せず、固定金利のみが上昇してきました。そんな折に、全期間固定金利の住宅ローンである【フラット35】に、子育て世帯を対象にした金利優遇策が始まると聞きました。具体的な制度の内容を教えてください。(千葉県 35歳 男性)
独立行政法人住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して取り扱う全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】は、従来から「住宅性能」や「維持保全」、「地域連携等」のメニューの中の一定の要件を満たせば金利を引き下げる優遇制度がありましたが、2023年11月29日に令和5年度補正予算が成立したことに伴い、子どもの人数に応じて金利を引き下げる「【フラット35】子育てプラス」というメニューが加わり、同時に新しいポイント制度が導入され、金利の引き下げ幅が従来の最大年0.5%から最大年1%に拡充されることになりました。「【フラット35】子育てプラス」と従来のメニューと組み合わせて活用することも可能です。子どものいる世帯が制度をうまく利用すれば、金利上昇リスクのない全期間固定金利の住宅ローンを、一定期間低い金利で借りることが可能になります。

子どもの人数や住宅の性能等に応じて金利引き下げポイントが加算される!

今回、「【フラット35】子育てプラス」が新たに加わることになりましたが、同時に、新しいポイント制度も導入され、金利優遇制度のメニューから選んだ項目のポイントの合計数に応じて、金利が引き下げられることになります。

「【フラット35】子育てプラス」で加算されるポイント(P)数は、家族構成によって、以下のようになります。

【フラット35】子育てプラス (家族構成)

* 借入申込時に夫婦(同性パートナー含む)で、借入申込年度の4月1日において夫婦いずれかが40歳未満の世帯

** 借入申込年度の4月1日において18歳未満の子(胎児、孫を含む。ただし、孫は同居が必要)

新築戸建住宅、新築マンション、中古住宅に関して、従来からある「住宅性能」、「維持保全」、「地域連携等」で加算されるポイント(P)数は以下の通りになります。

【フラット35】S (住宅性能)

【フラット35】維持保全型 (維持保全)

【フラット35】地域連携型 【フラット35】地方移住支援型 (地域連携等)

※地方公共団体の支援がある場合

*** 地方移住支援型を単独で利用する場合は、上記によらず当初5年間年▲0.6%となります。

5年間、1ポイントあたり年0.25%の金利が引き下げられる!

「家族構成」、「住宅性能」、「維持保全」、「地域連携等」の4つのグループごとに、それぞれ1つの項目を選択することができ、ポイントの合計数に応じて金利が引き下げられます。具体的には、5年間、1ポイントあたり年0.25%、最大で年1%の金利が引き下げられます。5ポイント以上の場合は、次の5年間に繰り越すことができます。なお、「【フラット35】子育てプラス」を利用する場合はポイント数に上限はありませんが、利用しない場合は4ポイント(当初5年間、年▲1%)が上限となります。

ポイント数ごとの金利引き下げイメージは、以下の通りです。

2024年2月13日以降の資金受け取り分からスタート!

「【フラット35】子育てプラス」と新しいポイント制度は、2024年2月13日以降の資金受け取り分から適用されます。

また、「【フラット35】子育てプラス」も含め、その他の金利優遇制度の多くには予算金額があり、予算金額に達する見込みとなった場合は、受付が終了することに注意が必要です。受付終了日は、終了する約3週間前までに住宅金融支援機構の【フラット35】のサイトに記載されます。

住宅ローンを検討する時に、借り入れ以降の市場金利の情勢に左右されない固定金利を選択しようと考えている人にとっては、とても魅力的な制度といえるでしょう。

わが国では、長い間超低金利時代が続いてきましたが、今後は市場金利の情勢の変化が見込まれそうです。そのため、住宅ローンの金利タイプの選択には、これまで以上の慎重さが求められるでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2023年12月11日