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第1049回

将来のマイホーム購入に備えて賃貸住まいの間に準備すべきことは?

いつかはマイホームを購入したいと漠然と思っていて、貯金の積立も行っています。家を買うには、どのような準備をしておくといいのでしょう。(Sさん 会社員 32歳 埼玉県在住)
頭金を貯めるための積立を続けるとともに、具体的な資金プランを考えたり、予算を踏まえた上で物件を見て歩くことで、実現に近づきます。

「いつかはマイホーム」という人がやっておくべき3つのこと

当面は賃貸住まいだけれど、「いつかはマイホームが欲しい」と考える人は、何をしておくべきでしょうか。

1. 自己資金を貯める

Sさんはすでに始めているようですが、頭金や諸費用分の自己資金を貯める必要があります。頭金や諸費用を貯める目安は次の通りです。

  • 頭金:物件価格の10~20%が望ましい
  • 諸費用(登録免許税、不動産取得税、印紙税、ローン手数料、ローン保証料、仲介手数料など):物件価格の3~7%程度(新築の場合)、6~10%程度(中古の場合) 

中には頭金なしで借りることができる住宅ローンもありますが、借入金額が大きくなるほど金利負担も大きくなります。頭金を多く準備することによって、金利負担は小さくて済みます。3~5年以上先の購入を考えている場合は、2023年内ならつみたてNISA、2024年からは新NISAのつみたて投資枠を活用して、一部を非課税での投信積立を行うのも1つの方法です。

2. 具体的な資金プランを立ててみる

「できれば」「いつかは」というレベルで、まだ本格的に家を買う気持ちが固まっていない場合でも、1度は具体的に資金計画をたててみるといいでしょう。住宅ローンは、一般的に、最長35年、完済時の年齢も80歳未満と設定されている商品が多いのですが、定年を超えて返済をするプランを組む場合は、退職金が見込めてそれを充てる前提か、繰上返済をして定年までに完済できる見込みがあるか、などを確認する必要があります。

例えば、住宅ローンの完済時期を65歳と設定するのであれば、購入を後ろ倒しにするほど借入期間は短くなります。Sさんが35歳で住宅を購入する場合、住宅ローンは30年返済となり、40歳で購入する場合は25年返済となり、金利が変わらなかったとしても、毎月の返済額が増えます(期間が短いほど、返済総額は減ります)。

住宅ローン試算

(3,000万円を元利均等返済、固定金利2%、ボーナス払いなしで借りた場合)

期間 毎月の返済額 返済総額
30年 110,885円 3,991.9万円
25年 127,156円 3,814.7万円

(イー・ローン「住宅ローンのこだわり返済額シミュレーション」より筆者試算)

もし、毎月の返済額を同額にした場合、借入期間が短いほど、購入予算は縮小します。返済額を12万円とした場合の借入可能額(固定金利2%、ボーナス払いなし)は、30年と25年では410万円もの差になります。

住宅ローン試算

(月返済額を12万円とした場合の借入可能額。元利均等返済、固定金利2%、ボーナス払いなしで借りた場合)

期間 借入可能額
30年 3,240万円
25年 2,830万円

(イー・ローン「住宅ローンのこだわり借入可能額シミュレーション」より筆者試算)

予算を変更しない場合は、購入までに頭金を貯めておいて、できるだけ住宅ローンを小さく組むことが理想と言えます。

3. 予算を踏まえた上で物件を見て回る

前述のように、何歳まで住宅ローンを借りるか、頭金はどれくらい貯められるのかを試算して、大まかな物件の予算を組んでみましょう。今購入する場合、3年後、5年後、10年後に買う場合など、時期を変えて試算して検討するといいでしょう。イー・ローンでも住宅ローンの試算をすることができます。

そして、この予算を踏まえた上で物件を見て回ることが大事です。理想の物件に出会うことができれば、返済計画もより具体的に立てられるでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2023年10月17日