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第1025回

「異次元の少子化対策」で注目されるフラット35とは?

「異次元の少子化対策」として、若年夫婦や子育て世帯が家を買う際に、フラット35の金利を引き下げる支援も検討されていることが報道されていました。フラット35とはどのような住宅ローンでしょう?(Nさん 会社員 29歳)
フラット35とは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している、全期間固定金利の住宅ローンです。

少子化対策で子育て世帯等はフラット35の金利を引き下げも

2022年の出生数が80万人を切り、過去最低となったことで、政府は出生数を引き上げるべく、「異次元の少子化対策」を検討中です。2023年3月末にまとめられた「たたき台」では、子育て家庭への支援策として多くの案が挙げられています。

育児休業給付金や児童手当の拡充、大学等の給付型奨学金・授業料等の減免の対象拡大などとともに、子育て世帯の住宅支援策として、フラット35の金利優遇も検討されています。2023年6月に発表される「骨太の方針」の中で、具体化されると見られています。

フラット35の概要

さて、フラット35について特徴などを整理しておきます。フラット35は、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して提供している全期間固定の住宅ローンです。住宅金融支援機構とは、住宅金融市場における安定的な資金供給を支援し、住生活向上への貢献を目指す独立行政法人機関です。

フラット35は、新築住宅の建設資金や購入資金、あるいは中古住宅の購入資金として利用できます。保証料は不要で、繰上返済手数料も無料です。団体信用生命保険は原則加入ですが、加入する場合は金利上乗せとなります。金利や融資手数料などは金融機関で異なります。概要は表1のとおりです。

表1 フラット35の主な利用条件
申込年齢 申込時の年齢が満70歳未満の方
借入金額 100万円以上8,000万円以下
借入期間 15年以上35年以下
借入金利 全期間固定金利 資金受取時に決定
対象となる住宅の面積 一戸建てなど70m2以上 マンションなど30m2以上
保証料・繰上返済手数料 不要
団体信用生命保険 新機構団信・新3大疾病付機構団信あり

フラット35を利用する際には、返済負担率も押さえておく必要があります。返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合を言います。これが、年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下という決まりがあります。

表2 返済負担率
年収 400万円未満 400万円以上
基準 30%以下 35%以下

 

「証券化」という仕組みで組成されている

フラット35が他の住宅ローンと大きく異なるのが、「証券化」という仕組みで投資家から資金調達を行い、組成されている点です。住宅金融支援機構が、提携している民間金融機関からフラット35の債権を買い取り、その債権を担保に「機構MBS(資産担保証券)」を発行し、それを投資家に買ってもらう形で資金を調達しているのです。

機構MBSの金利は長期金利(10年国債利回り)をベースに計算されており、住宅金融支援機構や金融機関のコスト等が加算された形で各金融機関のフラット35の金利が決定します。当然ながら、当初の適用金利は長期金利の変化によって変動しますが、ローン実行後の金利は変わりません。

長期優良住宅など、省エネルギー性、耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する場合に、金利を一定期間引き下げるフラット35Sなどもあります。そのため、全期間固定ではあるものの、実際には、段階金利になっている商品もあります。

異次元の少子化対策で受けられる金利の優遇はどの程度のものなのか、フラット35Sとの併用が可能なのかなど、情報を待ちましょう。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2023年04月26日