第508回

フリーローンは、どんな時に役に立つの?

今春から独り暮らしをする予定です。礼金や敷金、引っ越し費用などは定期預金でまかなうつもりですが、家具や電化製品、雑貨などを購入する費用が不足しそうです。この分として、ちょっとお金が借りられたらと考えています。最近よく銀行のフリーローンの広告を目にしますが、どんな時に利用できるのでしょうか?(Y.O 20代女性 派遣社員)
「フリーローン」は、資金使途が自由な無担保のローンです。住宅ローンや自動車ローンなどの「目的別ローン」と比べて金利は高くなるものの、事業性資金を除いて使いみちは自由です。カードローンと比べても、ある程度まとまった金額を融資してもらうことができます。ご相談者のように新生活に向けた費用を準備するのに最適だと言えるでしょう。

フリーローンは資金使途「自由」?

3月は卒業、退職など旅立ちやお別れといったイベントが多いシーズン。その一方で、来る4月の進学、進級、就職など新しい環境における生活への準備期間でもあります。当然、引っ越しや進学、進級準備のための費用も必要になってくるでしょう。

もちろん、入学金や引っ越し費用など、まとまった資金については、あらかじめ預貯金等で積み立てておいたり、目的別ローンを組んだりして準備しているケースが多いといえます。しかし、思いのほか出費がかさむケースや、予想外の支出が生じた場合などに活用したいのが「フリーローン」です。そもそもフリーローンとは、資金使途が自由なローンです。今回は、無担保で連帯保証人が原則不要のフリーローンについて見てみましょう。

フリーローンは、事業性資金を除くあらゆる用途に利用できる証書貸付ローンです。資金使途を証明する書類の提出が原則不要なので、費用の見積書や検査機関の証明書などをわざわざ準備する手間が省け、簡便な手続きで融資を受けることができます。

その代わりに、住宅ローンや自動車ローンなどの目的別ローンに比べて金利は高くなる傾向があります。今回の場合は、新生活でいろいろな物を購入する点や、金額が数十万円程度とそれほど高額にならず、たとえ金利の高いローンを組んでも比較的負担は軽い点から、フリーローンを利用しても差し支えないと思います。

カードローンじゃダメなの?

資金使途が自由で、利便性が高いといえば、カードローンやキャッシングを思い浮かべる人も多いでしょう。しかしカードローンは手軽な反面、フリーローンよりも金利が高めに設定されています。ですから、ご相談者のように、ある程度目的がはっきりしていて、計画的にお金を借りたい場合、フリーローンがお勧めです。

さらに、カードローンは「借りては返す」といった反復利用が可能です。そのため、自分の返済可能な許容範囲を考慮して貸越限度額を設定したり、どれだけ借りたかをきちんと把握したりしておく必要があります。預金を引き出す感覚で借りているうちに、借金をしている感覚がマヒしてしまい、お金の使い方がルーズになってしまいますので、カードローンの利用については、もう少し慣れてから利用して欲しいと思います。

【参考リンク】

フリーローンは一定の金額を借りたら、あとは計画的に返済するだけです。気が付いたら、ついつい借り過ぎてしまったと後で慌てるようなこともありません。目的別ローンやカードローンに比べて、どんなものに使ったら良いの?とちょっと「中途半端」な印象のあるフリーローンですが、どんな使い方をするのかはあなた次第。まさにフリー(自由)なローンなのです。

なお、計画的にお金を借りることや、お金を借りる/借りないの判断の仕方については過去のアドバイスでも取り上げておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

【参考リンク】

最近のフリーローン事情とは?

個人向け無担保ローン事業を強化する銀行が増えています。特に2010年6月の改正貸金業法の完全施行後は、消費者金融事業を専業で行う企業の融資が伸び悩む一方で、貸金業法の影響を受けない銀行が融資上限の引上げや審査期間の短縮などフリーローンなど商品の拡充を行っています。中にはクレジット会社などと提携して、職種や年収などの審査や回収ノウハウを補完し合っている銀行などもあります。また金利についても、住宅ローンなどの金利優遇制度のように、フリーローンもその金融機関との取引状況に応じて金利が優遇される場合もあります。

これから春に向けて利用できるキャンペーンなどがないか、金融機関のホームページやイー・ローンの新着情報をチェックしてみるのもお勧めです。

【参考リンク】

私が書きました

黒田 尚子 (くろだ なおこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、第2種情報処理技術者、初級システムアドミニストレータ。

92年大学卒業後、日本総合研究所に入社。約5年3ヶ月間、システム開発に携る。退社後、98年ファイナンシャル・プランナーとして独立。 まったくの異業種からの転職のため、できるだけ幅広いテーマを手掛けるようにしている。雑誌・インターネットなどの連載を持つほか、セミナー講師、講演、相談業務などを行う。モットーは「夢をカタチに」。現在、夫1人&猫1匹と暮らす。

※執筆日:2013年02月22日