第1117回NEW

変動金利のカードローンの金利上昇による負担増への対策は?

カードローンで借り入れをして、現在返済中です。金利タイプは変動金利です。先日、日本銀行が利上げをし、今後も利上げの可能性が高いという報道を耳にしたのですが、変動金利のカードローンを使っていると、金利が上昇して、利息の負担が重くなるのではないでしょうか。対策があれば教えてください。(会社員 男性 29歳)
変動金利のカードローンを借りて返済をしている場合、今後、市場金利の上昇の影響で適用金利が見直され、返済負担が重くなる可能性があります。ただし、一般的には利息制限法による上限金利を超えて設定されることはありません。金利上昇による負担を軽減する最も効果的な方法は、繰上返済を行うことですが、手元にまとまった金額がなくて繰上返済ができない場合は、他のローンに借り換える方法もあります。
銀行の預金通帳とカードを手にする女性の手元

利息制限法によって、上限金利を超える部分は無効になる!

利息制限法によって上限金利を超える部分は無効になります。超過する利息を支払う必要はありません。

この法律は、個人も法人も対象とされ、お金の貸し借りを業務としているか否かも問いません。上限金利は、下記の通り、元本の額に応じて決められています。

利息制限法による借入金額ごとの上限金利
元本の額 利息の上限
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

カードローンも、上記の範囲内で、消費者金融や銀行が貸し出し金額に応じて独自に金利を設定しています。

変動金利で借り入れをしている場合、今後の市場金利の上昇に伴って、適用金利が見直されて上昇し、負担が重くなる可能性があります。しかし、基本的には、上限金利を超えることはありません。

負担増が心配ならば、まず、現在利用しているカードローンの適用金利を確認し、今後、どの程度上昇余地があるかを把握しましょう。

たとえば、現在、ある金融機関のカードローンを利用し、借入残が50万円で、適用金利が年14.0%であれば、上限金利の18%まで、あと4%の上昇余地があることになります。

金利上昇に伴う負担増の効果的な対策は借り換え!

金利上昇に伴う負担増の最も効果的な対策は、繰上返済による完済です。返済の負担を一気にゼロにできます。なお、繰上返済は、全部でなく一部であっても、ローンの残高を減らせるため、負担の軽減に繋がります。ただし、繰上返済は、手元にある程度のまとまった資金がなければ実施できません。

繰上返済ができないときに検討したいのが、借り換えです。

担保になる不動産があれば、不動産担保ローンへの借り換えによって、負担を大幅に軽減できます。なぜなら、カードローンのような無担保ローンよりも、不動産担保ローンのほうが、金利が低く設定される傾向があるからです。なお、不動産担保ローンには、変動金利と固定金利があります。金利上昇リスクを回避するなら、金利は高めでも固定金利を選択したほういいでしょう。

担保になるものがない場合は、フリーローンに借り換える方法もあります。カードローンは、一度申込みをして審査を通過すると、設定された限度額の範囲内で何度でも利用できますが、フリーローンは借り入れをするたびに審査・契約が必要です。カードローンと同様、資金使途に制約はありませんが、カードローンよりも金利が比較的低く設定される傾向があるため、金利上昇による負担を軽減できる可能性があります。なお、フリーローンにも、変動金利と固定金利があります。

カードローンからフリーローンに借り換えた例
(条件)借入額:50万円、返済期間:24回(2年)
借り換え前(A銀行)
カードローン
借り換え後(B銀行)
フリーローン
金利 毎月返済額 総返済額 金利 毎月返済額 総返済額
年14.0% 24,006円 576,143円 年7.0% 22,386円 537,258円

ちなみに、カードローンにも変動金利と固定金利があります。変動金利から固定金利に借り換えれば、金利上昇リスクを回避できます。

複数の金融機関のカードローンを利用している場合、それらをおまとめローンでまとめることで負担を軽減できる場合もあります。

おまとめローンの金利は、金融機関ごとに、借入額に応じて設定されており、一般的に借入額が多いほど、金利は低く設定されています。複数のカードローンを1つにまとめて借入額が大きくなれば、これまでよりも低い金利が適用されて、負担が軽減できることがあります。

複数のカードローンを1つにまとめた例
おまとめ前 おまとめ後
金融機関 借入額 金利 金融機関 借入額 金利
A銀行 40万円 年14% A銀行 110万円 年12%
B銀行 70万円 年15%

借り換えをする場合は、自分にとってどのローンに借り換えるのが適切かを事前に吟味しましょう。借り換えるローンを決めたら、複数の商品の中から、金利タイプ(固定金利か、変動金利か)、金利水準をしっかり比較・検討し、できるだけ有利なものを選ぶようにしましょう。

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私が書きました

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中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2025年02月10日