第1060回
リボ払いの「残高スライド方式」で返済中なら「借り換え」で利息負担が減る?
- 転職で収入が減った上に一時的な出費が重なり、クレジットカードのリボ払いを利用しています。返済はまだ続いていますが利息の負担が気になっています。利息負担を減らす方法はあるのでしょうか。(Mさん 会社員 29歳)
- カードローンやクレジットカードのリボ払いに多い「残高スライド方式」からフリーローンの「元利均等返済」に借り換えると利息負担を減らせる場合があります。
リボ払いの「残高スライド方式」とは?
残高スライド方式とは、リボルビング払い(リボ払い)の一種です。リボ払いとは、返済期間は設定せず決められた金額を毎月返済していく支払い方法ですが、残高スライド方式では返済が進んで借入残高が減少すると毎月返済額も減少していくのが特徴です。追加の借り入れやカード利用をするとその度に毎月返済額や利息も再計算されます。
残高スライド方式はクレジットカードのリボ払いやカードローンで採用されている場合があります。返済期間が長期にわたり利息も膨らみ、追加で利用すると資金管理が難しくなる可能性もあります。
年利 | 15% |
---|---|
支払い元金 | 500,000円 |
初回~40回目の毎月支払い分の元金充当額 | 10,000円 |
41回目以降の毎月支払い分の元金充当額 | 5,000円 |
支払回数 | 60回 |
支払総額 | 664,434円 |
内手数料(支払利息総額) | 164,434円 |
※株式会社ジェーシービーのHPにて試算。結果は概算値。(ショッピングリボ払い残高スライドゆとりコース)
なお、リボ払いには残高スライド方式の他に、支払い残高の大きさにかかわらず毎月一定額を支払う「定額方式」もあります。
返済総額を抑えるならフリーローンへの借り換えも検討!
クレカのリボ払いやカードローンを利用していて利息負担を抑えたいなら、フリーローンへの借り換えを検討すると良いでしょう。
フリーローンは資金使途が自由なローンで、金融機関で申込みができます。借入時に返済期間、金利、毎月返済額が決まります。金利は一般的には「元利均等返済」ですので、残高スライド方式と比較すると利息負担は少なくなるのが一般的です。また、フリーローンは追加で借り入れをしたい場合には新たに契約を結ばなければなりませんので使いすぎを防ぐ効果もあるでしょう。
前述の例で、50万円を年利15%の残高スライド方式で返済中、5回支払い後の元金が45万円になった段階で年利13%の「元利均等方式」のフリーローンに借り換えた場合の返済総額を試算すると、利息総額が14,074円分少なく済みました。
全て残高スライド方式 (年利15.0%) |
総支払回 60回 | 元利均等方式(年利13%)へ借り換えた場合 | 総支払回数 60回 |
支払い元金 | 500,000円 | 残高スライド方式・元金 | 50,000円 |
支払利息総額 | 164,434円 | 残高スライド方式・利息 | 28,870円 |
残高スライド方式・支払総額 | 78,870円 | ||
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元利均等方式・元金 | 450,000円 | ||
元利均等方式・利息総額 | 149,638円 | ||
元利均等方式・支払総額 | 599,638円 | ||
返済総額 | 664,434円 | 返済総額 | 678,508円 |
※元利均等方式の利息等はイー・ローンの「フリーローンこだわり返済額シミュレーション」にて試算
また、下表のように借り換えにより当面の月々の支払金額が4,629円抑えられます。
全て残高スライド方式 | 元利均等方式へ借り換え | |
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6か月目の支払金額 | 15,532円 | 10,903円 |
内手数料 | 5,532円 | 2,721円 |
内支払元金 | 10,000円 | 8,182円 |
残高スライド方式は、返済が進むにつれて毎月の返済額を低く抑えられるのがメリットですが、一方で返済期間が長くなり支払利息総額が多くなってしまうのが注意点です。少しでも利息負担を減らすためには、お金に余裕がある時の臨時返済や、フリーローンへの借り換えを検討しても良いでしょう。フリーローンは、毎月一定額を返済していくので返済計画も見通しが立てやすいというメリットもあります。生活が落ち着いてきたら、利息負担を減らして早めに返済を終えることができるように返済計画を見直してはいかがでしょうか。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2023年12月27日