第645回
有利な借り換えは、総量規制の例外。おまとめローンで返済負担を減らそう
- 複数のカードローンやキャッシングの返済を続けていますが、なかなか返済が終わりません。返済日の管理も大変なので借り入れを一本化したいのですが、総量規制があるので、おまとめローンの利用は難しいでしょうか。(大分県 Sさん)
- 「顧客に一方的有利となる借り換え」は、貸金業法の総量規制の例外とされています。「総量規制があるから無理」とはじめから諦めず、返済しやすいおまとめローンへの借り換えも検討してみましょう。
おまとめローンで返済をラクにする
複数のカードローンやキャッシングの一本化を検討されているとのことですね。いわゆる「おまとめローン」を使った一本化は、より低金利のローンを新たに借り入れ、その借入金で返済中の複数のカードローンやキャッシングを一括返済し、その後は1本のローンを返済していくという方法です。より低金利のローンに借り換えることで返済利息が減り、毎月の返済日も月に1回となって返済スケジュールの管理もしやすくなるといったメリットがあります。
おまとめローンを使った返済方法の見直しについては、以前のコラムも参考になさってください。
そもそも総量規制とは
ご相談者の方は、貸金業法の総量規制によっておまとめローンが利用できないのではないか、と心配されていますが、結論からいうと、総量規制には例外があり、条件を満たすおまとめローンであれば利用は可能です。
総量規制とは、2010年に施行された改正貸金業法の規制の1つで、個人の借入総額は原則、年収等の3分の1までに制限される仕組みです。そもそも、多重債務者問題の解決のために導入された規制なので、何が何でも「年収の3分の1までの借り入れ」に制限されるわけではなく、緊急に必要な医療費の借り入れや担保によって返済が見込める借り入れ、借り手に有利な条件の借り換えなどの、「例外」や「除外」とされている借り入れもあるのです。
貸金業法については、以前のコラムも参考になさってください。
総量規制の例外と除外
総量規制の「例外」とは、総量規制の対象にはなりますが、例外的に年収の3分の1を超えている場合でも、その部分に返済能力があると判断されれば、貸し付けが受けられるというものです。一方、「除外」は、総量規制の対象とはならず、貸付残高にも含まれない、というものです。貸金業法の施行規則には、下記の図表1にあるような、「例外」「除外」にあたる貸付が挙げられています。
図表1:総量規制の例外と除外
総量規制の例外 | 総量規制の除外 |
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総量規制の例外のうち、「顧客に一方的有利となる借り換え」が、おまとめローンを利用した借り換えにあたります。「顧客に一方的有利となる借り換え」とは、毎回返済額・総返済額が減少し、追加担保・保証なしの場合が該当します。 借り換えのためにおまとめローンを選ぶ際は、事前にシミュレーションを行って、有利な借り換えができるものを選びましょう。
有担保ローンや銀行のローンで一本化も
また、総量規制の「除外」には、有価証券担保貸付や不動産担保貸付(居宅等の生計の維持に不可欠なものを担保とする場合を除く)などの有担保ローンがあります。一般的に、有担保ローンのほうが無担保ローンよりも金利面などで有利なので、担保にできる不動産などがある場合は検討されるのもよいでしょう。 ただし、不動産担保ローンなどは、担保物件の調査費用や担保不動産の登記費用など、無担保ローンよりもコストが多くかかります。また、返済が滞ったりすると、担保にした不動産などを手放さざるを得ない場合もあるので、金利だけでなくコストも加えて比較し、無理のない商品・プランを慎重に検討しましょう。
不動産担保ローンについては、過去のコラムも参考になさってください。
なお、そもそも貸金業法は、消費者金融会社やクレジットカード会社など貸金業者を規制する法律なので、銀行のローンは貸金業法の規制を受けません。銀行のカードローンやおまとめローンは、総量規制に関係なく利用することが可能です。
このように、銀行のローンはそもそも貸金業法の規制を受けませんし、消費者金融のおまとめローンも、「顧客に一方的有利な借り換え」であれば、貸金業法の例外として利用可能です。不動産担保ローンなども、総量規制の除外対象であり、おまとめローンとして利用することもできます。 いずれの場合も、各金融機関それぞれの審査で「返済可能である」と判断されれば、借り入れが可能というわけです。総量規制に躊躇せず、より有利な条件のローンを比較検討し、借り換えを実行して確実に返済を進めていかれてはいかがでしょうか。