第1121回NEW
将来のマイホーム購入に向けた資金の準備はどうすべき?
- 家を買いたいのですが、高くなりすぎて、正直手が出ません。空き家なども増えていると聞くので、地域によってはいずれ下がるのでは?と期待し、今は様子見をしています。買うまでの間に、どのような資金準備をしておけばいいでしょうか?(会社員、30歳)
- 「今は住宅価格が高すぎるから落ち着いたら買う」と当面の購入を見送っている人は、いつか買う日のために、資金準備などはしっかり進めておきましょう。

購入時期が後ろ倒しになる分、頭金を増やそう
近年の住宅市場は、建築資材や人件費の高騰、円安などの影響を受け、特に都市部や再開発地域で価格が上昇傾向にあります。ご相談者さんのように、価格が下落に転じるのを期待して、今は購入を見送っているという方もいます。そうした方は、購入のチャンスが訪れたときに、すぐに対応できるような準備をしておきましょう。
特に、購入時期が後ろにずれる分、頭金を増やしておきたいもの。30歳のご相談者さんをモデルに、完済の時期を65歳と固定、金利は全期間固定2%として試算してみます。毎月返済額が同程度になるよう住宅ローンを組む場合、借入期間により、必要な頭金に次のような変動があることを知っておきましょう。
試算1 30歳。今買う。
4,000万円の新築住宅を、頭金400万円、住宅ローン3,600万円で購入。住宅ローンは、期間35年、ボーナス払いなし、全期間固定2%とする。毎月返済額 119,254円、返済総額 約5,008.7万円、総費用 約5,408.7万円
試算2 35歳。5年後に、100万円予算を下げて買う。頭金は現在より300万円増。
3,900万円の新築住宅を、頭金700万円、住宅ローン3,200万円で購入。住宅ローンは、期間30年、ボーナス払いなし、全期間固定2%とする。毎月返済額 118,278円、返済総額 約4,258.0万円、総費用 約4,958.0万円
試算3 40歳。10年後に、200万円予算を下げて買う。頭金は現在より600万円増。
3,800万円の新築住宅を、頭金1,000万円、住宅ローン2,800万円で購入。住宅ローンは、期間25年、ボーナス払いなし、全期間固定2%とする。毎月返済額 118,679円、返済総額 約3,560.4万円、総費用 約4,560.4万円
上記の例では、購入時期を後ろ倒しするために、年間60万円の貯蓄を続ける必要があることを示しています。
市場の動向に左右されない準備を!
「価格が下がるのを待つ」という選択にはリスクもあります。例えば、思ったほど下がらなかったり、あるいは、待っている間に金利が上昇してしまったりするケースが挙げられます。特に、現在、円安対策として日銀が政策金利の利上げを行っており、金利が上昇傾向にあります。中長期的にどうなるのかは誰にもわかりませんが、物件価格が下がった一方で、金利が上がったことで毎月返済額が増え、家計の状況(教育費がかかる時期になっている)なども含めると、65歳完済が難しくなるかもしれません。そうなれば、返済総額が増えることになります。
また、購入を先延ばしする分、賃貸住宅の家賃を支払い続ける必要があったり子供の教育費がかさむ時期と重なったり、結局、頭金を増やすことができなかった…というケースも考えられます。
理想とする住宅にいつ出会うかはわかりません。「待つ」つもりであっても、頭金を準備したり、住宅ローンに関する知識を身に付けたり、物件も見るなど、いつでも買える準備は整えておきたいものですね。
私が書きました

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。
20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。
※執筆日:2025年03月10日
- 前の記事へ
- 次の記事へ