第994回
リバースモーゲージやリースバック、不動産担保ローンとの違いは?
- 自宅のリフォーム資金が不足しそうなので、不動産担保ローンの利用を検討していますが、不動産を活用したリバースモーゲージやリースバックといった方法も気になっています。どのようなものなのでしょうか。(Tさん 埼玉県 60歳)
- 所有する不動産を活用した資金調達として不動産担保ローンやリバースモーゲージ、リースバックがあります。それぞれの特徴を把握して自分に合った資金調達法方法を選択しましょう。
不動産担保ローンとは?
不動産担保ローンとは、所有する不動産を担保として、その評価額の範囲内で金融機関から資金を借り入れるものです。カードローンなどの無担保ローンよりも低い金利で、大きな金額でも長期で借り入れることができるのがメリットです。
資金使途は自由ですので、生活費やリフォーム資金、教育資金など幅広い目的で利用できます。利用するには借入可能な年齢制限内であることや、安定した収入があること等の条件を満たす必要があります。
一般的な住宅ローンのように、返済計画に従って元本と利息を返済します。返済ができなくなってしまったら、担保不動産を手放さなければならないので注意が必要です。
不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い
リバースモーゲージとは、不動産を担保として融資を受けることができるシニア世代向けの金融商品です。最近、テレビや新聞等でも広告を見かけますので、気になっている方も多いでしょう。一般的には担保評価額の5割~8割程度を借り入れることが出来ます。生存中は利息分だけを返済すればよいので、元本と利息を支払う不動産担保ローンと比較すると、毎月の返済額は少なくすむでしょう。自宅に住み続けながら老後に必要な資金を調達できるのがメリットです。元本は契約者が死亡した後、担保不動産を売却して、一括返済します。
但し、自宅が持ち家である誰もが利用できるわけではありません。金融機関が指定する地域内に居住していることや、担保評価額が一定額以上であること、契約者が担保となる不動産に居住していること、同居人や推定相続人の同意を得ていること等の条件があり、その条件は金融機関によって異なります。
変動金利の商品の場合は、金利が上昇し毎月の返済額が増える場合がありますので注意が必要です。また、金融機関によっては定期的に融資限度額の見直しが行われることもあります。融資限度額を借入残高が上回った場合、超過分の返済を求められることもありますので契約時に内容をよく確認しておきましょう。
リースバックとは?
今の住まいに居住したまま資金調達をする方法として、リースバックという方法もあります。リースバックでは、所有している不動産を売却した後、買主と賃貸契約を結びそのまま住宅に住み続けることができます。もちろん家賃の支払いは必要になりますが、住み続けながら資産を有効活用できるというメリットがあります。
但し、家賃がかかり続けますので、長期間経過すると売却価格よりも支払い家賃が多くなる可能性があります。また、リースバックでの売却価格は、通常の売却より低くなるのが一般的です。また、売却後、資金があれば買い戻すこともできます。
自分に合った資金調達方法を選ぼう
不動産担保ローン、リバースモーゲージ、リースバックは、住み慣れた住宅に住み続けることが可能であることが共通点です。但し、リバースモーゲージ、リースバックでは、手放す時期は違いますが、不動産は売却しますので残りません。コンパクトな住居に住み替えする選択肢はないのか、子どもが相続する可能性はないのか等、今後の生活全般を長期で見通し、よく検討する必要があります。
今回のTさんのように、働くことも可能な年齢で借入金も返済可能でしたら、不動産担保ローンが適しているのではないでしょうか。金融機関によって不動産の評価基準が異なるため、複数の金融機関で金利や融資条件などを比較し、有利なローンを選択すると良いでしょう。
不動産を活用した資金調達方法にはいろいろありますが、これらの商品の違いを把握した上で、自分にあった資金調達方法を選びましょう。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2022年09月14日