第952回
追加の支払いもある!?残価設定クレジット利用時の注意点を確認!
- 子どもが生まれるため車の購入を検討しています。ディーラーでは残価設定クレジットでの購入を勧められましたが、何か注意点はありますか?(34歳 会社員 男性)
- 残価設定クレジットは、車の下取り価格を差し引いてクレジットを組むので、毎月の返済額を抑えることができます。ただ、契約期間満了時に追加の支払いが発生するケースもありますので利用する際には内容をよく確認しておくことが必要です。
残価設定クレジットとは?
分割払いで自動車を購入する際、残価設定クレジットを提案されるケースがあるかと思います。残価設定クレジットとは、車両代金からディーラーが設定した「残価(残存価格)」を差し引き、残りの金額を毎月クレジットで支払うというものです。毎月の支払額が一般的なクレジットより低く抑えられるのがメリットで、人気の車種にも手が届きやすいと注目されています。
残価の設定金額は車種により異なりますが、支払期間は3年または5年とする場合が多いようです。その間の車の所有権はディーラーにあります。支払期間満了後は下記の選択肢から今後どうするかを選びます。
支払期間満了後の選択肢
- (1) 車両を返却して契約終了
- (2) 残価分を下取りとして、別の新車に乗り換える
- (3) 残価分を支払って(一括払いまたはクレジット)、同じ車に乗り続ける
追加費用が発生してしまうケースもある
残価設定クレジットは、残価がディーラーにより保証されている場合が多く、支払期間終了時に車両が市場価格の影響を受けないというメリットがあります。但し、残価保証を受けるには、一定の条件があります。一般的には、月間走行距離が1,000キロ以下といった基準の範囲内であることや、レース等で使用したり改造したりしていないこと、車体の損傷や事故での修復跡がないこと等が条件です。
仮に走行距離が基準距離の累積値を超えてしまった場合には、超えた距離に応じて追加の支払いが発生するというメーカーが多いので、まずは自分の利用条件に合うかどうかを確認することが必要です。
また、契約終了時に車体の損傷具合の査定があり、免責基準を超えてしまうと追加の支払いが発生しますのでこちらも注意が必要です。なお、車体損傷の査定免責基準はメーカーや車種によって異なります。
マイカーローンと比較して選ぼう
残価設定クレジットは、毎月の支払額を抑えつつ一定期間新車に乗れるというメリットがあり、お子様の成長や生活パターンの変化に合わせて車のサイズを変える予定の方や、一定期間ごとに新しい車に乗り換えたい方に向いている支払い方法といえるでしょう。
一方、最初から同じ車に長く乗り続けたいと考える方は、金融機関のマイカーローンも検討すると良いでしょう。
マイカーローンは、一般的には残価設定クレジットより低金利で利用できるため、同じ支払期間なら、毎月の返済額は増えたとしても支払総額は抑えることが可能になります。最初から自分の所有物にできますのでカスタマイズも自由ですし、走行距離も気にせず利用できるというメリットもあります。またマイカーローンは、金利キャンペーンを実施している金融機関が多いことから、金利適用要件に合えば更に金利を引き下げることができます。
残価設定クレジットを利用する場合とマイカーローン、それぞれのメリット・デメリットを比較し、よく検討して選ぶと良いでしょう。
私が書きました
ファイナンシャルプランナー(CFPR)。
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。
※執筆日:2021年11月22日